「損益がゼロになる償還時レート」を求めてみる


【考え方】

損益がゼロになるのは、


償還時の為替差損のマイナス分受け取る利払い分合計  ……(1)


となる為替レート。


その償還時レートをXとして、(1)の等式を立てて、その等式をXについて解けば出てくる。


当初レート:A

償還時レート:X

利払い回数合計:n

クーポン:C


とすると、(1)の等式は、


     \displaystyle \frac{\bm{1}\bm{0}\bm{0}\bm{(}\bm{A}-\bm{X}\bm{)}}{\bm{A}}=\bm{\{}\bm{A}\displaystyle \bm{n}-\frac{\bm{(}\bm{A}-\bm{X}\bm{)}}{\bm{n}}\displaystyle \sum_{\bm{i}=\bm{1}}^{\bm{n}}\bm{i}\bm{\}}\frac{\bm{C}}{\bm{A}}


これをXについて解いてみる。


【解き方・途中式】

両辺にAを掛ければ、両辺の\displaystyle \frac{1}{A}が消える。

    100(A-X)=\{An-\displaystyle \frac{(A-X)}{n}\displaystyle \sum_{i=1}^{n}i\}C



カッコを開いて、X関連の項を取りあえず右辺に、それ以外は左辺に移項する。

「Σ」は単に「1+2+3+……+n」を略したマークなので、「ひとつの数」的なものとして扱ってOK。


   100A-100X=AnC-\displaystyle \frac{A}{n}\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC+\displaystyle \frac{X}{n}\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC

     100A-AnC+\displaystyle \frac{A}{n}\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC=\displaystyle \frac{X}{n}\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC+100X


両辺の「n分の1」が少々うざいので、ここで、両辺にnを掛けておく。


   100nA+A\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC-An^{2}C=100nX+X\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC


左辺はAについて、右辺はXについてまとめる。


   (100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC-n^{2}C)A=(100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC)X


右辺のカッコ内「100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC」で両辺を割れば(つまり、「100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}iC」左辺の分母に持ってくれば)、「X=」の式になる。


X=を左辺すると、


   X=\displaystyle \frac{(100n+\sum_{i=1}^{n}i\text{・}C-n^{2}\text{・}C)}{(100n+\sum_{i=1}^{n}i\text{・}C)}A


ここで、分母の「100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}i\text{・}C」が 分子にもあることに注目。

分子を「(100n+\displaystyle \sum_{i=1}^{n}i\text{・}C-n^{2}\text{・}C」と考えて、上式をまとめると、


    償還時レート\displaystyle \bm{X}=\bm{(}\bm{1}-\frac{\bm{n}^{\bm{2}}\text{・}\bm{C}}{\bm{1}\bm{0}\bm{0}\bm{n}+\sum_{\bm{i}=\bm{1}}^{\bm{n}}\bm{i}\text{・}\bm{C}}\bm{)}\bm{A}



となります。◇