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【225先物】その寄付は「今夜の米国市場」を予言する?!

日本株市場は本当に「米国市場の動向次第」なのか

「日本株が明日上がるか下がるかは、今夜の米国株次第」ということは、ほとんどの人が考えていることだと思います。

実際、米国が下げて引けていればこちらも無条件に売り込まれる、という光景は、もう飽き飽きするほど見ています。しかし、じゃあ向こうが上がっていればこちらも無条件に上がるのか、と言えば、どうでしょうか。確かにそういう日もありますが、「向こう調子よく上昇したのに、なんでこっちは売られるんだ!」と叫びたくなる日も少なくないように感じるのは気のせいでしょうか。

もっとも、寄付に関していえば、米国が上昇していれば、少なくともこちらの指数先物は前日引値より高く寄り付きやすい、米国が下がっていれば指数先物も前日引値より安く寄り付きやすい、というのは確かでしょう。

問題は、その寄り付きの勢い、寄付後の場中の展開です。前日引値よりは高く寄り付いたものの勢いが乏しく、場中はこれといった理由もないのにダラダラ売られ、結局、引けてみれば前日比マイナス。そういう日に限って、その夜の米国市場も軟調で、翌朝起きてみれば、米国市場は安く引けている。そしてこちらは続落の憂き目を見る、という日が多い印象があるのもまた気のせいでしょうか。

気のせいかどうか、確かめてみましょう。

グラフ1は、現実には不可能ですが、日本時間の早朝確定するS&P500の引値の前日比上昇下落率と、225先物寄値の前日引値比の上昇下落率とを比較して、

・ 225先物寄値の上昇下落率のほうが高ければ、(早朝に確定した)S&P500を大引けロング

・ 225先物寄値の上昇下落率のほうが低ければ、(早朝に確定した)S&P500を大引けショート」(いずれも翌日引けに手仕舞い)

という売買ができたとしたらどうなるか。その累積パフォーマンスの推移です。

いい感じの右肩上がりを描いています。直近は著しくパフォーマンスを伸ばしているの最中です。

この右肩上がりのパフォーマンスは、「日本市場の寄付の前日引値比が、米国の上昇下落率よりも弱いければ(以後、これを「相対的に安寄り」と表現します)、その日の夜にスタートする米国市場は前日比下落で引けやすい」「日本市場の寄付が、米国の上昇下落率よりも強ければ(相対的に高寄りすれば)、米国市場は前日比上昇で引けやすい」という傾向があることを示しています。

この結果からすれば、「今夜の米国市場の動向は、日本市場の寄り付き方の強弱次第で決まる」とまでは言いませんが、日本市場の寄り付き方には今夜の米国市場の方向を暗示する部分がある、と考えてもよいのではないでしょうか。


「今夜の米国」予測を現実のトレードに活かす策

つまり、日本市場(225先物)の寄り付き方は今夜の米国市場を予測する材料になる、ということですが、いくら予測ができても、既に向こうは引けてしまっているのですから現実にポジションを取ることはできません。

では何か代替策はないのかというと、ひとつには、日本市場に上場しているNYダウ連動のETFを活用することが考えられます。

たとえば、「225先物の寄値が相対的に安寄り(高寄り)ならばNYダウ連動ETFをショート(ロング)する」という売買をしたらどうなるでしょうか。

グラフ2のAは、「225先物の寄り付き方をシグナルに、その日の大引けでポジションを取り、翌日大引けで手仕舞い」というトレード、Bは「225先物の寄り付き方をシグナルに、その日の寄付でポジションを取り、その日の大引けで手仕舞い」というトレードを検証した結果です。

「引け〜翌日引け」のほうは今ひとつですが(とはいえ、直近は高パフォーマンス)、「寄り→引け」のほうはなかなかきれいな右肩上がりを描いています。これは注目してもよさそうです。

もうひとつ、もし225先物が相対的に安寄りした時に、その夜の米国市場の軟調を予言するかのごとく場中売られる状況になるとしたら、225先物自身を「相対的に安寄りしたら寄付でショート、相対的に高寄りしたら寄付でロング」というトレードが奏功するはずです。

こちらはどんな結果になるでしょうか。

悩ましい結果が出てきました。2007年から2008年末にかけてと直近は、目をみはるほどの高パフォーマンスですが、2009年から今年半ばまで、2年以上も右肩下がりです。

これでは「実践では使えそうもない」という判断にならざるを得ないところですが、それぞれの局面がどんな状況だったかを考えてみると、パフォーマンスが右肩上がりの時期は、市場が不安定でボラティリティーが高水準だった局面とほぼ一致することに気がつきます。逆に、2009年や、2010年後半から今年前半にかけては米国の株価は堅調ではありましたが、ボラティリティーは低下していました。

そこで、グラフ3に“恐怖指数”として知られるボラティリティー指数(VIX指数)を重ねてみました。

2008年の“リーマン・ショック”以降、この売買の累積パフォーマンスの推移とVIX指数の動きとの間にかなり鮮明な連動性が出ています。

米国市場が不安定になり、「VIX指数が上昇している」などと報道されるような時期、この売買を試してみるのもよいかもしれません。

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