なでしこインベストメント > 市況 > 【さよならプロミス8574】その代役候補の銘柄とは

【さよならプロミス8574】その代役候補の銘柄とは

あのトレードの成績はその後どうなったのか

昨年来、何度か当欄に登場したプロミス(8574)ですが、9月30日、三井住友銀行がTOBによって完全子会社化すると正式発表しました。TOB価格は780円だそうです。

TOBによって全て買い集められるかどうかはわかりませんが、もうあのザラ場中のエキサイティングな値動きを見ることができなくなるのは確かでしょう。値動きもよく、市場が閑散としているときも日々の取引は闊達で、そのうえ当欄で紹介してきたトレードのシグナルが実にわかりやすかっただけに、お別れするのは惜しい気がします。

最後の記念に、そのトレード「米国市場のS&P500が前日比上昇で引けていたらロミスを寄り付きでショート、前日比下落で引けていたらプロミスを寄り付きでロング」(いずれも大引け手仕舞い)という、“寄り付きで米国市場に逆張る”売買がどんなパフォーマンスを描いてきたかを見ておきましょう。

このトレードを当欄で最初に紹介したのは2010年の8月で、その頃はパフォーマンスが絶好調だったのですが、その後はパフォーマンスの伸びが悪くなり、今年に入ってからはもみ合いのような状態になっています。とはいえ、2005年以降でいえば、トータルで300%程度のパフォーマンスをあげているのですから、これは決して悪くはないでしょう。

また、この米国市場に逆張りの売買は、朝、米国市場が上がったか下がったかを確認したら、あとは寄り付き前に寄り成り注文を入れておくだけ、後場は手仕舞いの引け成り注文を入れておくだけ、という実践しやすいものでした。その実践しやすさを以てしてこのパフォーマンス、という点も注目してよいように思います。

“親”も同業者も実はこの売買が有効だったとは!

このプロミスの売買はもうできません。

では、プロミス亡き後、その代役になりうる銘柄は何かないでしょうか。

当サイトの『読者様向け四半期情報』の「米国に逆張り」の高パフォーマンスランキングを見てもわかるように、新興株の中にはこの売買が有効な銘柄が結構あります。ただ、寄り成りや引け成り注文をするとなると、板がそれ相応に詰まっていないと、不利な価格で約定してしまいかねません。その点が新興株の難点ともいえます。

低位株の中にも同じ売買が有効な銘柄はあるのですが、株価が100円、それ以下という水準では、1ティックのウエイトが大きくなるため、パフォーマンスがブレやすくなる面があります。

株価もそこそこの水準で、プロミス並みの流動性がある銘柄、どこかにないものか。あれこれ物色してみたところ、ありました! 流動性に全く問題なし、板はいつでも1ティックごとにびっしり。株価水準もそれなりにある、という超メジャー銘柄が。

その1は、プロミスの売買をできなくした張本人、三井住友FG(8316)です。

2003年4月以降の検証結果では、パフォーマンスは当初を除けばほぼ一貫した右肩上がりを描いています。累積パフォーマンスは約440%。なかなかなのではないでしょうか。

さらに、その同業者・三菱UFJファイナンシャルG(8306)。これまた右肩上がりパフォーマンスを長く続けています。累積パフォーマンスは450%近い水準です。

メガバンク同士ということもあって、パフォーマンスの推移の形状も似ていますが、1単元100株で最低売買金額が小さく、柔軟に売買するサイズを調整できる点からすれば、こちらのほうがトレードしやすいでしょう。

取りあえず、プロミスの代役候補ナンバー1と言っていいかもしれません。

225先物に「米国に逆張り」は奏功しない

ところで、「米国が上がったら寄り付きで売り、米国が下がったら寄り付きで買え」という逆張り売買が有効だということは、「米国が上がる→市場全体が高く寄り付く→ここぞとばかりに売り物がやってきて場中売られる」といった動きになっていることを意味します。

としたら、市場全体を示す銘柄ともいえる225先物もまた米国に逆張りの売買が有効なのではないでしょうか。

ところが、225先物で同じ売買を検証してみると、これがまるで通用しないという結果が出てきます。正確に言えば、2008年までは米国に逆張りシグナルが有効だったものの、それ以降今日に至るまで、有効とも、有効でないとも言えないような推移です。

この結果を見ると、2008年辺りから、米国市場と日本の市場全体の値動きの関係に何がしかの変化があったと考えるほかはありません。

2大メガバンクというスーパー大型株が、米国に逆張り売買であのような好パフォーマンスが出るとなると、「市場の中核的な銘柄のほとんどはそれでOKなのではないか」という気がするかもしれません。しかし、そうではなさそうです。2大メガバンクは、大型株の中で米国に逆張り型の値動きの傾向が顕著な一例であると考えてください。


↑ Top へ戻る。
Copyright (C)2010-2011 Nadeshiko Investment Co., Ltd. All Rights Reserved.