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【4680ラウンドワン】
明日の株価の行方を「225先物」に聞いてみる

相関性の高さは売買シグナルに使えるのか

いまに始まったことではありませんが、225先物に大玉の売りが出ると、個別銘柄が一斉にバタバタ売られる、先物に買いが入れば、今度は個別銘柄が一斉に買われる。先物・個別の売り買いはほとんど同時。同じトレーディングハウスの人たちが「いっせーの」でやっているようにも見えてしまいます。

そんなドタバタ売買に付き合うのはご勘弁なのですが、この先物ばかりが意識される相場状況、何かトレードに活かすアイディアはないでしょうか。

たとえば、ここ数年、225先物をはじめインデックス絡みの売買の存在感が増しているせいもあって、株価の動きが225先物と似通ったものになっている銘柄が少なくありません。

グラフ1は、225先物と225寄与度の高い京セラ(6971)の株価の推移です。ところどころ乖離は生じていますが、かなり似た動きをしています。

この期間(07年7月〜11年9月22日)について両者の相関関係を調べてみると、相関係数は0.88(その2乗の決定係数は0.77)と、かなり高い相関性です。

225先物が上がると京セラも上がる。225先物が下がると京セラも下がる、という傾向が強いのであれば、225先物が上がったら京セラを買う、225先物が下がったら京セラを売る、という225先物をシグナルにした売買をしたらいいのではないでしょうか。

ところが、これが全くよくありません。

グラフ2は、225先物が前日比上昇ならその日の大引けで京セラをロング、225先物が前日比下落ならその日の大引けに京セラをショート、という順張り売買を検証してみた結果です(実際には、225先物の引値が確定するのが15時15分なので、この売買を厳密に行うことはできませんが、取りあえず、傾向を調べるために過去データを検証しています)

上下にふれてはいますが、累積パフォーマンスの推移の傾向は右肩下がり。09年以降は、その傾向がはっきり出ています。「先物が上がったら京セラを買う」「先物が下がったら京セラを売る」は逆効果ということです。

相関性は高いのに、一体なぜこのような結果になるのでしょうか。

その理由は、この高い相関性は「今日の225先物の引値」と「今日の京セラの引値」の位置関係を示していることにあります。

検証した順張り売買が奏功するのは、「『今日』225先物が値上がりしたら、『明日』京セラが値上がりする」という傾向が強い場合です。つまり、シグナルにする225先物の値動きと、それより1日遅れた京セラの値動きの間に相関性が認められる必要があります。

同じ日の引値同士の高い相関性は、たとえば裁定取引などには活用できるとしても、一方の値動きをシグナルに他方を売買するという短期トレードには使えないわけです。


「今日の225先物」が示唆する個別銘柄の「明日の値動き」

「今日の225先物の前日比上昇下落」と「明日の個別銘柄の前日比上昇下落」の間に高い相関性があるとすれば、それはまさに、「今日225先物が値上がりしたら、その個別銘柄は明日値上がりする」「今日225先物が値下がりしたら、その個別銘柄は明日値下がりする」という、個別銘柄の「明日の値動き」を示唆するシグナルになります。

実は、その「今日の225先物の値動き」と「個別銘柄の明日の値動き」の相関の強さを表したのが、『株テクニカル情報』の「225先物引値の前日比上昇下落に順張り・逆張り」欄です。また、当サイトで四半期ごとに掲載している「225先物に順張り・逆張りのパフォーマンスランキング」は、その傾向が顕著に出ている上位25銘柄をリストアップしています。

順張り度の高い銘柄は、今日225先物が値上がり(値下がり)すると、明日値上がり(値下がる)する傾向が強い銘柄、逆張り度の高い銘柄は、今日225先物が値上がり(値下がり)すると、明日値下がり(値上がり)する傾向が強い銘柄です。

一例を見てみましょう。

グラフ3のAは、225先物が前日比上昇ならラウンドワン(4680)をその日の大引けでロング、225先物が現実比下落ならラウンドワンをその日の大引けでショート、という225先物をシグナルとした順張り売買のシミュレーション結果です。『株テクニカル情報』のラウンドワンのページを見ると、確かに225先物の前日比上昇下落に対して順張り傾向が強いことがわかります。

データ上のシミュレーションではありますが、03年4月からの累積パフォーマンスは600%超。とくに2010年半ばからのパフォーマンスの伸び具合は注目に値します。売買高が急増し、ボラティリティーが高まった時期ですが、そうした状況になると、「今日先物が上昇したら、明日ラウンドワンが上がる」という順張り傾向がより強くなるのかもしれません。

ちなみにBは、この銘柄自身の引値が前日比上昇ならば大引けでロング、前日比下落ならば大引けでショート、という売買のシミュレーション結果です。

累積パフォーマンスの数字はAほどではありませんが、これも悪くはありません。

この売買でパフォーマンスが上がるのは、「上がった翌日も上がる、下がった翌日も下がる」という値動きの傾向が強い銘柄です。Bの結果を見ると、その値動き傾向は08年の“リーマン・ショック”の頃から強くなっている様子がうかがえます。


なぜか、三井造船もラウンドワンの有効シグナル

ところで、『株テクニカル情報』には、その銘柄と相関性の高い銘柄をリストアップした「高相関銘柄上位12」という欄があります。この欄では、株価(引値)の位置関係の相関性を示す「株価の高相関」と、2銘柄の値動きの相関性を示す「上昇下落率の高相関」の2つについて、それぞれ12銘柄ずつを掲載しているのですが、とくに「上昇下落率の高相関」の中にトレードのヒントが見つかることもしばしばです。

ラウンドワンの「上昇下落率の高相関」銘柄を見ると、1位がTOPIX連動型ETF、2位は日経225連動型ETFです。ここからも、この銘柄はインデックスを意識した動きをする傾向の強さがうかがえます。「株価指数連動型ETF=市場平均=225先物」と考えれば、この銘柄は、市場平均をシグナルにするのが有効そうだ、というアイディアにも結びつきます。

3位以下を見ると、この銘柄のセクターとは全く無関係そうな銘柄が並んでいます。「なぜ、この銘柄と値動きの相関が高いのか?」とも思える面々ですが、もしかすると、これらの銘柄の前日比上昇下落をシグナルにラウンドワンを順張り売買するのもまた有効なのではないでしょうか。

試してみました。

いずれの銘柄もなかなかの好パフォーマンスでしたが、とりわけ目を引いたのが三井造船(7003)の前日比上昇下落をシグナルにしたケースです。累積パフォーマンスの推移は、先ほどの225先物の前日比上昇下落をシグナルにしたシミュレーション結果と似ていますが、推移の安定感はこちらのほうが勝っています。

では、逆のパターン、すなわち「ラウンドワンが前日比上昇なら三井造船を大引けでロング」「ラウンドワンが前日比下落なら三井造船を大引けでショート」という順張り売買もアリなのでしょうか。

逆もまた真なり、ではありませんでした。

おそらくこれは、三井造船の「今日」の値動きには市場平均(225先物)の動きがかなり含まれているものの、ラウンドワンの「今日」の値動きには市場平均の動きがあまり含まれていないことが一因と考えられます。

ラウンドワンが「今日」の市場平均の動きを意識するのは、「今日」よりも「明日」と見てよさそうです。


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