1月2日掲載の【待望の新興株】の中で、新興株に多く見られる傾向として「引値が前日比上昇ならロング」「引値が前日比下落ならショート」という順張り売買が有効、という値動きを紹介しました。
ただ、多くの新興株は非貸借銘柄なので一般にはショート不可。よって、実際にできるのは「前日比上昇ならばロング」だけで、翌日も前日比上昇ならロング継続、翌日が前日比下落ならば手仕舞ってポジションなし、という売買になってしまいます。
この「ロングのみ」の順張り売買でも、株価の上げトレンドに勢いが出ている局面では大いにパフォーマンスが期待できます。しかし、そうでない局面では厳しい状況を強いられる例が少なくありません。累積パフォーマンスを「前日比上昇ならばロング」と(実際にはできない)「前日比下落ならばショート」とに分けてみると、後者のほうがパフォーマンス水準は高く、しかも、その推移は安定的なケースが多数、というのが現実です。
相場が軟調な局面でヤラれにくい、「ロングのみ」でも安定的なパフォーマンスが期待できそうな売買シグナルは何かないものでしょうか。
というわけで、これを調べてみたところ、注目できそうなシグナルが見つかりました。かつて、プロミス(8574)の売買検証例で紹介した「米国市場の前日比上昇下落に逆張り」のシグナルです。
貸借銘柄でショートもできるプロミスの場合、「(日本時間の早朝に確定する)米国の株価指数S&P500の引値が前日比上昇ならば、寄り付きでショート」「前日比下落ならば寄り付きでロング」(いずれも大引けで手仕舞い)という、寄り付きから大引けまでの売買が、良好な検証結果を出していたのでした。
新興株でこの“米国の上げ下げに寄り付きで逆張り”の売買を検証してみると、なかなかの結果が得られる銘柄が、とくに内需系ではかなり見られます。しかも、「米国が下がったら寄り付きでロング」のみのパフォーマンスが悪くない銘柄も結構あるのです。
昨年後半からいい感じのトレンドが出てきたアドウェイズ(2489)について、「S&P50が前日比下落ならば寄り付きでロング」(大引けで手仕舞い)という売買を検証してみた結果です。
この銘柄の引値の前日比上昇下落率の累計も示していますが、この推移が右肩上がりになっているところは株価の上昇局面、右肩下がりになっているところは株価の下落局面と解釈してください。
この「引値の前日比上昇下落率の累計」と「S&P500が下がったら寄り付きでロング」のパフォーマンスの推移とを照らし合わせてみると、確かに、株価が上昇基調にあるときには、パフォーマンスも大きく伸びていることがわかります。
さらに注目したいのは、株価が下落基調にあるときのパフォーマンスです。06年〜08年辺りまではパフォーマンスもマイナスですが、それ以降は株価が軟化していてもパフォーマンスはさほど落ちない、むしろ上昇気味になっている局面もあります。
この銘柄、とくに08年以降は「米国が下げると安く寄り付き、場中買われる」という値動きの傾向がはっきりしてきたと考えられます。
銘柄自身の株価が上昇基調にあろうが、下落基調にあろうが、この“米国が下げたら寄り付きで逆張りロング”だけでパフォーマンスが右肩上がりを描くという、信じがたい新興株もあるようです。
ビーマップ(4316)の検証結果です。07年以降、この銘柄自身の株価は06年前半以降ほとんど下げっぱなしで、09年以降は低迷を続けているのですが、この「ロングのみ」の売買のパフォーマンスはずっと右肩上がり。ザラ場で上がりやすいというアノマリーも混じっていますが、その間の累積益は800%にも達しています。
この銘柄の場合、日頃の出来高が少ないので、実際の売買は十分気をつける必要がありますが、そこそこ出来高もある新興株ならば、この売買シグナル、実践への適用も十分検討に値しそうです。注目している新興株にこのシグナルが有効かどうか、一度調べてみてはどうでしょうか。
当欄にしばしば登場する売買シグナルとしては、「引値が前日比上昇ならロング、前日比下落ならショート」という、引値の上げ下げに対する順張りシグナル。あるいは、225先物の前日比上昇下落シグナルや、「前日引値よりも高く寄り付くか、安く寄り付くか」という“寄り付き方”シグナル。そして今回紹介した米国市場の前日比上昇下落シグナルなどがあります。
いずれも単純なシグナルでありながらも、注目される検証結果が出る例を紹介していますが、では、、自分が注目している銘柄にはどの売買シグナルが有効そうなのか。まずそれが知りたい、という方に、是非参考にしていただきたいのが『株テクニカル情報CD−ROM』です。
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