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【Market Barometer】「日経平均2万円」後の着眼点

さほど過熱感なく「2万円」。そのとき買われていた225採用銘柄とは

4月10日、ついに日経平均株価が2万円をつけました。瞬間タッチでその後上値は伸びなくなってはいますが、07年2月の高値超えから2か月足らずでこの水準まで来るとは。強い相場を改めて実感しました。が、過熱感は思いのほか薄い印象です。

まず、これだけ早期に2万円を達成する決め手となったひとつは、3月の権利落ちからの下落が4月1日に1万9000円処という浅いサポート水準で止まったことでしょう。この日、米国市場は下げて引けていますが、日本市場は高く寄り付いて25日移動平均の上に浮上。1万9500円を超えて以後は、文字通りのトントン拍子となっています。

このトントン拍子の中で値を伸ばした銘柄は何だったのか。4月1日から10日までの225採用銘柄の騰落率を調べてみました。

表1:上昇率上位20銘柄
コード 銘柄名 騰落率
8267 イオン 16.1
6758 ソニー 14.8
4911 資生堂 14.5
4043 トクヤマ 14.4
3865 北越紀州製紙 13.7
7951 ヤマハ 13.1
3099 三越伊勢丹ホールディングス 12.7
2801 キッコーマン 12.7
1925 大和ハウス工業 11.7
4324 電通 11.0
2531 宝ホールディングス 10.8
4151 協和発酵キリン 10.6
5707 東邦亜鉛 10.4
3289 東急不動産ホールディングス 10.1
5413 日新製鋼 9.8
9602 東宝 9.5
2269 明治ホールディングス 9.1
4689 ヤフー 9.0
8252 丸井グループ 8.5
4901 富士フイルムホールディングス 8.2

意外に地味、という感じではないでしょうか。3月後半からのドル安基調に目先反転ムードが出て、再び1ドル=120円台になったにも関わらず、輸出系よりも内需系のほうが目立ちます。

15年2月期決算の業績悪化が響き、14年中は冴えない動きとなっていたイオン(8267)ですが、16年2月期の増収増益見通しがポジティブ・サプライズになった模様です。

業種別の順位は以下のようになっています。

表2:4月の業種別・市場別ランキング
  銘柄名 騰落率
  TSE_33 小売業 7.2
  TSE_33 その他金融業 6.8
  TSE_33 食料品 6.7
  TSE_33 サービス業 5.3
  TSE_33 ゴム製品 5.2
  TSE_33 その他製品 5.1
  TSE_33 情報・通信業 5.1
  TSE_33 不動産業 5.0
  TSE_33 パルプ・紙 4.5
  TSE_33 石油・石炭製品 4.4
  日経225 4.1
  TSE_33 鉱業 4.0
  東証REIT指数 4.0
  TSE_33 陸運業 3.9
  TSE_33 電気機器 3.8
  日経300 3.8
  日経500 3.8
  TSE_33 保険業 3.8
  TSE_33 化学 3.7
  TSE_33 建設業 3.7
  JPX日経400 3.5
  TSE_33 銀行業 3.5
  TSE_33 倉庫・運輸関連業 3.5
  TOPIX 3.4
  TSE_33 証券・商品先物取引 3.4
  日経ジャスダック平均 2.9
  東証2部総合指数 2.7
  東証マザーズ指数 2.6
  TSE_33 機械 2.6
  TSE_33 輸送用機器 2.5
  TSE_33 医薬品 2.5
  TSE_33 精密機器 2.2
  TSE_33 非鉄金属 2.0
  TSE_33 鉄鋼 2.0
  ジャスダック指数 1.9
  TSE_33 電気・ガス業 1.9
  TSE_33 繊維製品 1.8
  TSE_33 卸売業 1.8
  TSE_33 水産・農林業 1.5
  TSE_33 空運業 0.9
  TSE_33 金属製品 0.7
  TSE_33 ガラス・土石製品 0.6
  TSE_33 海運業 -1.5

やはり小売、食料品、サービスといった内需・消費関連が上位です。これらのセクターは、4月に入ってからとくに堅調さが増している感があります。

円安や消費税引き上げがマイナス要因にも思えるセクターですが、原材料費の上昇を価格転嫁しやすい環境になっているのかもしれません。また、訪日外国人客の激増が、業績の追い風になっている面もありそうです。


「主力銘柄は買われにくい」なら、内需・消費関連の中小型株も一策

他方、市場の中で存在感の大きいセクター、主力銘柄は、日経平均株価がここまでの水準に来ると、やはり売り物が出やすくなるのか、日経平均株価が好調な動きになっても、上値が伸びにくくなっている例も目につくようになっています。

この2銘柄以外でも、日経平均株価に対する寄与度は高いながらも4月に高値を更新していない銘柄が少なくありません。この辺りが、薄い過熱感の一因ではないでしょうか。

もうひとつ、市場が熱くなっている局面でまず買われておかしくない証券株がいまひとつ盛り上がっていないことも、過熱感がうかがえない一因のように思われます。日経平均株価が2万円レベルになっても、証券会社はあまり儲かっていない、ということでしょうか。

もっとも、こうした銘柄も上値が伸びないとはいえ、下値が崩れているわけではありません。現状、市場全体の地合いは決して悪くはない、と考えてよいでしょう。

市場全体の地合いは悪化しないながらも、市場の中で存在感を持つ銘柄は買われにくい展開がこの先もしばらく続くと予想するならば、4月に入ってからの流れに乗って内需系・消費関連セクターで、値動きの軽そうな中小型株に注目してみるのも一策かもしれません。食品や小売は、ボラティリティーの低いセクターですが、中小型あるいは新興株は、ちょっと動意づくと比較的短期で値幅が狙える可能性もあります。

すでに株価が超割高になっている銘柄は注意を要しますが、着実なトレンドを描いている銘柄でバリュエーション的に買われる余地が十分残っているならば、押し目を捉える策は検討に値すると思います。ネット証券などで提供している銘柄スクリーニング機能で、業種とPERを指定してみるのもよいかもしれません。

また、その着実なトレンドの背景に配当金や優待の権利が絡んでいるケースがあることも、気をつけておきたい点です。

株主の権利絡みで買われている銘柄は、権利落ちを機に目先のトレンドがもろくも崩れてしまう可能性があります。

食品や小売セクターには優待人気の銘柄がかなりあります。トレンドに着目して売買対象を選ぶ際には、株主優待を含めた実質的な配当利回り、および過去の権利落ち前後の株価の挙動は、必ず事前チェックしておきたいところです。




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