新年おめでとうございます。
【目次】「日経平均5万円」という時代がやってくるとは。30年前どころか、10年前はおろか、3年前ですら夢にも思わなかったのではないでしょうか。
2025年、それが現実になりました。その結果、年足は3年連続の陽線。それも超巨大陽線です。

もっとも、2025年を通じて株式市場全体が絶好調だったわけではありません。2025年の日経平均株価を振り返ると、まず年初から2月半ばまでは、前年8月に起きた大暴落のリバウンド一巡後から始まった上値4万円・下値3万8000円の上げ下げ。気の滅入る保合いがそのまま続きます。
あろうことか2月末、その保合いを下抜け。ここで前年8月の大暴落が「主要トレンドのベア転換第一段の大下げ」の可能性が浮上します。
3月半ばから一旦戻す動きとなったものの、3万8000円水準で上げ止まってしまい、3月末から強烈な「下げ再開」。4月7日には前日比2644円安という爆落で、このとき日経平均株価は前年8月5日の安値を割り込んでしまいます。
ということは、チャートの教科書的に言えば「この下落はベア転換第二段目の下げ」と解釈されます。その先に予想されるのは第三段目の爆下げ。過去2回にも増して強烈な大爆落で、それがクライマックス、というシナリオです。
4月7日の爆落でひとまず下げは止まってリバウンドモードに転換。それが5月半ばまで続きましたが、そこから3万8000円水準を上値とする保合いが始まります。これを下に抜けてしまうと「第三段目の爆下げ」を覚悟しなければならないパターンです。が、チャートの予測とは反対に、6月終盤この保合いを上放れ。そして4万円台回復で上半期終了です。

この6月終盤の上放れは先行きを期待させる“いい形”でしたが、7月に入ると動きが止まり、日経平均株価は4万円を上値意識する横ばい状態になります。それが8月になると動き出し、9月から勢いが加速。10月にはさらに飛び跳ねて、10月27日にギャップアップで5万円突破。11月4日の5万2636円まで最高値を更新するところとなります。
この最高値以降は水準を落としましたが、大きく下値を崩すことはなく、5万円をはさむ上げ下げとなって5万339円という、5万円台を維持した形で2025年を終えています。

つまり、「日経平均5万円」は8月から10月までの動き、とりわけ9月・10月の超快進撃によってもたらされています。この快進撃の様子は、週足チャートのほうがわかりやすいでしょう。

陰線で下げても13週移動平均線にかすりもしない。それこそ「押し目待ちに押し目なし」の様相です。
日経平均株価がこんな大相場を演じているともなれば、株式市場に参加している人はよほど儲かっているだろうと、株式の売買をしていない人は思ったに違いありません。
個人的な感触で言えば、確かに5月後半から9月初め辺りまではそんな風ではありました。しかし、日経平均株価が「5万円」に向けて突っ走り始めた9月半ば以降は「相場がいい」という感覚は全く薄れました。同じように感じていた人は少数ではなかったらしく、ネット上でも「日経平均5万円の恩恵がない」「全く実感が沸かない」との声があがっていました。
そのことは、日経平均株価以外のインデックスにも現れています。たとえば、スタンダード市場指数の推移はこうです。

4月の爆落を境に何とも美しく陽線が連続しています。そのトレンドが8月後半辺りから変調し、9月22日に最高値をつけて下げに転じて12月初めまで落ち着きのない上げ下げです。そこには「日経平均5万円」の恩恵は見えません。個人的な相場の感覚はこの推移とかなり近いものがあります。
このスタンダード市場指数どころではない、「恩恵ゼロ」というよりも「逆恩恵」のようになっていたのがこの指数、グロース250です。

4月の爆落からのリバウンドは強く、8月19日には800ポイントを超えて前年3月の高値をブレイクするという、長期トレンドの強気転換まで示唆されていたのですが、その高値をピークにベア転。12月半ばまで、実に安定したベアトレンドが継続しています。「日経平均5万円」など、それこそ別世界の話です。
インデックスによって値動きがかくも違うことからもわかる通り、日経平均株価が5万円を超えたと言っても株式市場全体が熱気を帯びていたわけではありません。では、市場全体の実態はどこに現れていたのか。繰り返しになりますが、個人的にはスタンダード市場指数が市場の実態に近いという印象はあります。
ただ、そのスタンダード市場指数にしても、たとえば時価総額の大きい一部の銘柄が突出して強い動きになれば、市場実態とは異なる推移になるでしょう。「株式市場全体を的確に反映する完璧なインデックスはない」などと言われることがありますが、それはインデックスというもののある種の宿命です。
では市場の実態とは何なのか。何によってそれを知ることができるのかというと、これではないでしょうか。高値安値更新銘柄数です。

4月の爆落後、安値更新銘柄数は激減し、高値更新銘柄数は徐々に増勢を強めています。これは、買い出動すれば収益がついてくる銘柄が増えている状態ですから、「相場がいい」と実感する人は多いはずです。
ところが、高値更新銘柄数の増勢は8月7日をピークに止まり、8月終盤には減少傾向に転換。日経平均株価が快進撃となっていた9月後半以降は高値更新銘柄数の水準自体が大幅に低下しています。要は、「買えば収益がついてくる」銘柄が減っている。市場がその状態になっていては、日経平均株価が5万円を超えたところで「相場がいい」と感じるはずはありません。
それどころか、日経平均株価が快進撃の途中でやや深めの下げとなった10月14日には過去3ヵ月来安値更新銘柄数が500を超えるまでに増加。日経平均株価の最高値となった11圧4日の翌日、5日にも過去3ヵ月来安値更新銘柄数が500を超えています。これではむしろ「相場がよくない」という感覚しか持てないのではないでしょうか。
そんな中での「日経平均5万円」。それにしても、これはいったい何だったのか。それを説明しているのがこの3銘柄です。

米国の主力AI銘柄の関連で買われやすく、日経平均株価に対する寄与度が極めて高い3銘柄。日経平均株価は225銘柄で構成されていますが、「これではnikkei225じゃなくてnikkei3だろう」などと揶揄されていたほどです。
日経平均株価は、他のインデックスよりも「ごく一部の銘柄だけで動く」という現象が起きやすいインデックスです。それによって、日経平均株価は最高値を更新している一方で、大方の個別銘柄は売られているという歪んだ状態になることが時として起きます。
それが常態化して、トレンドを悪化させる銘柄の増勢が止まらない事態に進展すると、日経平均株価がどうであろうと、それは市場実態の主要トレンドはもはやベア転換していることを示しています。
個別銘柄のトレンドがどういう状況になっているのか、市場全体の現実を知ることができるのが高値安値更新銘柄の動向です。過去を振り返れば、ITバブル崩壊の半年以上前に、“リーマンショック”の1年半以上前にも「日経平均株価は高値を更新している一方で、安値更新銘柄数が増勢になっている」という事態が観測されています。
これまで長らく株式市場に携わってきた中で、「株式市場の不変の真理のようなものを何かひとつだけでも見つけたい」と考えてきましたが、それはチャート分析の中にはない。テクニカル指標の中にもない。現段階で言えるのは、それは高値安値更新銘柄数の動向にあるのではないか、ということです。
それ故、2025年10月に日経平均株価が5万円を超えた局面で、高値更新銘柄数が既に漸減状態となっていて、安値更新銘柄数は増加基調になっている現実を観測したときには、強い警戒感を持ちました。しかし、幸いにして、安値更新銘柄数の増勢に歯止めがかかりました。また、高値更新銘柄数もまだはっきりはしていませんが増勢に向かいつつあります。その状態で大脳会を迎えることができたのは喜ばしい限りです。
巷では、例によって「今年日経平均株価はどこまで上がるのか」「現状の株式市場はAIバブルなのか」「今年は大暴落が起きる」「今年はどの銘柄が注目か」等々、各種の“予測もどき”が飛び交っています。そういうノイズは無視して、第一に当サイトの四本値市況欄の「高値安値更新銘柄数」を折りに触れてチェックしてください。高値更新銘柄数が増勢にあるならば、日経平均株価がどうであれ、強気スタンスで大丈夫です。対象は、そのときトレンドに乗っている銘柄。難なく複数の候補銘柄が見つかるでしょう。
しかし、その高値更新銘柄数に減少傾向が観測された場合には要警戒。さらに、それが安値更新銘柄数の増勢に進展したときには、株式市場と一旦距離を置くのが最良策だと思います。そのとき日経平均株価が高値更新を演じていたとすればなおさらです。
「日経平均5万円時代」を迎えた本年、市場の実態を反映している高値安値更新銘柄数の動向はより有用性を増すと確信しています。株式市場と末長く付き合っていくために、本年も当サイトの掲載情報をご活用いただければ幸いです。