では、この「1」「-1」のポジションがどのような損益を出したかを見てみましょう。
検証<その1><その2>と同様、まずは1日ごとの損益を出します。1月7日の印は「-1」。これにE3に出してある「1月7日の終値の始値に対する上昇下落率」を掛ける式をG3のセルに入力します。
1月7日の終値は始値よりも1.16%安かったので、この日は1.16%の利益です。これ以降の日については、図3-2Bと同じやり方で「以下同様」の計算結果を表示させます。
トータルの損益は、H2のセルに「0」を手入力しておいて、これにG3に出した1月7日の利益1.16%を足す式をH3のセルに入力します。
それ以降のデータは「以下同様」の計算結果を出します。
このデータの最終地点7月10日の累積損益は28.33%。プラスではあるものの、ちょっと低いですね。どんな経緯を経てこの数字になったのか、グラフにしてみましょう。
本書で紹介している累積損益のグラフはかなりきれいな右肩上がりになっていますが、今年に入ってからで言えば、パフォーマンスは荒れ気味、という感じのようです。この累積損益を「買いポジションの損益」と「売りポジションの損益」分けてみると、こんなふうになっています。
3月中旬辺りまでは「高く寄り付いたら売り」が右肩上がりのパフォーマンスを出していましたが、その後は右肩下がりになっています。対照的に、その時期、「安く寄り付いたら買い」がパフォーマンスを伸ばしていて、トータルすると「利益は横ばい」となっていることがわかります。
この損益の動向を株価の推移と照らし合わせてみましょう。
株価がもみ合い状態にあったり、下げ基調にある局面では「高く寄り付いたら売り」がパフォーマンスを伸ばす、株価が上げ基調にある局面では「安く寄り付いたら買い」が非常に効果的で、「高く寄り付いたら売り」は逆効果になっている様子がうかがえます。
ここでの売買検証は、「売り」と「買い」のポジションを機械的に設定したシミュレーション結果で、「その通りに売買をやれば儲かる」ということでは決してありません。ただ、こうして検証の結果を調べていくと「どんな相場状況のときに、どういう売買が有効なのか」を考えるうえでのヒントが見えてくることも少なくありません。株価の時系列データが個人でも簡単に手に入るというのは、かつてでは考えられなかったことです。せっかく与えられている好環境を目一杯活かしましょう!