なでしこインベストメント > とっとと儲けてサッサと勝ち逃げ!信用取引の始め方・儲け方


<その3>日経平均株価とTOPIXの違いに着目する

同じ「日本株市場の指数」でも全く異なるその性格

本書では、日本の株式市場を代替するものとして日経平均株価という株価指数を取りあげていますが、日本市場全体の動向を表す株価指数としてはもうひとつ、東証が算出しているTOPIXがあります。3章の中でふれているように、日経平均株価は国内外の多くの市場関係者が注目している指数ですが、年金や保険、投信などの機関投資家は、TOPIXをベンチマークとして日本株の運用を行うのが一般化しています。

日経平均株価とTOPIXは算出方法が大きく異なります。日経平均株価は対象となっている225銘柄の採用株価の合計を「除数」という値で割って算出します。この「除数」とは、銘柄入れ替えなどがあった際にも指数としての連続性が保てるよう調整を行うための数値で、225銘柄の採用株価の合計をこの数値で割ると、225銘柄の採用株価の単純平均になります。そのため、これも3章の中で出てきたように、採用株価水準の高い銘柄ほど、指数の値に対する影響度が増します。

一方のTOPIXは、算出対象が東証1部上場の全銘柄で、「採用株価×発行済み株式数」で計算される時価総額が加味されています。株価水準が低くても、発行済み株数が多ければ時価総額も大きくなるので、指数に対する影響度も大きくなります。

こうした算出方法の違いの結果、それぞれの指数に影響を与えやすい銘柄も顔ぶれにも違いが出てきます。

図3-1は指数に対する影響度(寄与度)の大きい上位30銘柄です(株価は2013年5月24日の引値を使用しています)。ホンダ(7267)やトヨタ自動車(7203)、キャノン(7751)のように、どちらの指数に対しても大きい影響力を持っている銘柄もありますが、日経平均株価は株価の高い輸出・ハイテク関連銘柄が目立ちます。他方、TOPIXは、株価が高くない大手金融機関やNTTなどが上位に名を連ねています。総じて言えば、日経平均株価は外需型、TOPIXは内需型の銘柄の株価の影響が大きいという性格です。

保有する現物株の顔ぶれによってヘッジ策を使い分ける

両指数の違いを押さえておくと、たとえば自分が持っている現物株の値下がりをヘッジするうえでの有効策が考えつきます。保有する現物株の中にメガバンクの占める割合が多いのであれば、TOPIX連動型のETFを信用売りしておく、輸出型の銘柄が多いならば、日経平均連動型のETFを信用売りしておく、といった具合です。

また、日経平均株価とTOPIXの値動きに乖離が生じている局面ならば、強い動きをしている指数に連動するETFを買い、弱い動きをしている指数に連動するETFの売りでヘッジする方法も考えられます。

両指数の動きの違いは、それぞれのチャートを見比べることによって把握できますが、もっと簡単なのは、「日経平均株価がTOPIXの何倍になっているか」を示すNT倍率の推移を調べてみることです。NT倍率は、日経平均株価のほうがTOPIXよりも上がり具合がいい(または下がり具合が小さい)局面では、NT倍率の推移は右肩上がりを描き、TOPIXの上がり具合のほうがいい(または下がり具合が小さい)局面では、推移は右肩下がりの推移を描きます。つまり、NT倍率が上昇トレンドになっていれば日経平均株価が優勢、下降トレンドになっていればTOPIXが優勢と、ひと目で判断できます。

図3-2@は03年以降のNT倍率の推移です。2004年から2005年末にかけてトレンドは右肩下がり。この時期はTOPIXの値動きのほうがよかったということです。

ところが2006年以降、NT倍率の推移が右肩上がりに変化し、2009年以降は上昇トレンドが加速しています。日経平均株価とTOPIXの乖離が拡大する一方になっているのです。両指数のチャートを重ねてみると、図3-2Aの通り、確かに2009年半ば以降、日経平均株価が上がっても、TOPIXはその上げに追いついていません。

日経平均株価の最安値は“リーマン・ショック”時でしたが、TOPIXの最安値は、2012年6月4日。つい1年ほど前のことです。 “リーマン・ショック”が沈静化して以降、日経平均株価は好調な動きを見せることもありましたが、おそらく、「市場がよくなっている」という実感が沸かない、むしろ悪くなっている、と感じていた人もいるのではないでしょうか。その大きな理由のひとつがこれです。TOPIXが弱い動きをしている局面では、市場に対する体感温度は間違いなく下がります。




↑ Top へ戻る。

とっとと儲けてサッサと勝ち逃げ!信用取引の始め方・儲け方 へ戻る。
Copyright (C)2013 Nadeshiko Investment Co., Ltd. All Rights Reserved.