【8574プロミス】さらに“追跡”情報
ひと頃は人気があったのに今では取引閑散、ほとんど値動きもしなくなってしまった、という銘柄も散見される昨今ですが、そんな中にあって、一部の消費者金融関連は比較的人気を維持しているようです。
消費者金融といえば、8月29日に「Daily MONEY JAPN・号外の“その後”情報」と題して、プロミス(8574)を掲載しました。「米国市場に逆張り」の寄り→引けトレード例で、かなり注目できそうなシミュレーション結果を出していたわけですが、その後、どうなっているでしょうか。
追跡してみましょう。
図1 |
図1は、検証期間を8月29日に掲載したのと同じ「S&P500の引値が前日比上昇なら、寄り付きでプロミスをショート」「S&P500の引値が前日比下落なら、寄り付きでプロミスをロング」(いずれも大引けで手仕舞い)という売買のパフォーマンスの推移です。
前回の検証期間は7月1日〜8月27日で、39回のトレードで戦績は23勝16敗。累積益は20.2%でした。
今回は、検証期間を9月24日までに延長しています。9月上旬にパフォーマンスを落としていましたが、その後持ち直して、57戦中33勝24敗、累積益は27.1%と、そこそこ堅調に数字を伸ばしているではありませんか。
もっとも、9月17日には累積益が34.6%まで伸びていたのに、そこからパフォーマンスが急落。足元はその落ち込みが、ようやく回復してきた、という状況です。
この時期、株価がどんな動きをしていたのかというと、図2のような推移でした。
図2 |
連休の前後、株価が620円近辺から急反発して大陽線が連続した局面で、「米国上昇=寄り付きショート」がパフォーマンスを落とす原因になったようです。
ただし、こうした局面で、米国が値下がりすれば「寄り付きロング」によりパフォーマンスは大改善します。
と、いうことを考えると、このトレードは結局、「株価が上昇トレンドにあるときにはショートは損を出すけれどもロングポジションが益を稼ぐ。下降トレンドになればロングは損を出すけれどもショートポジションが益を稼ぐ」という構図で累積益を伸ばしている、と いう感じがするかもしれません。
ところが、そういう話でもなさそうです。
図3 |
図3は、検証期間を図2と同じ今年4月1日から9月24日までとして、このトレードの累積損益をロングとショートに分けて示しています(緑線のパフォーマンスと青線のパフォーマンスを足すと、赤線のパフォーマンスになります)。
図2の日足チャートと見比べてみると、たとえば5月の株価急落局面で、確かにショートポジションが大幅に利益を出しているものの、ロングポジションの損益も右肩上がりの推移を描いています。
また、6月初めに株価がやや反発した局面では、ショートポジションが大きくやられていいるのはいるのはわかるとしても、ロングポジションでも損失が続いています。
さらに、7月以降、じわじわと累積益を伸ばしている局面は、株価はもみ合いに近い状況です。
こうしてみると、このトレードはあまり株価のトレンドを拾わない性質があるのかもしれません。とすれば、この銘柄自身の株価のトレンドは気にせずに、淡々とポジションを取るのがよい、ということになります。
とはいえ、9月の連休前後のように強い上昇が続く局面では、いくら「米国が値上がりしたから寄り付きでショートしろ」というシグナルが出たとしても、心情的にはやりにくいものです。
また、目先のトレンドが強烈であれば、このときがそうだったように、そのトレンドに影響されることも十分にあり得ます。
では、強いトレンドが出た局面ではどうすればいいのか。
対応策のひとつとして、この「米国市場に逆張り」のトレードとは別に、トレンドの方向に従った順張りのポジションを取るトレードを同時進行させることが考えられます。
たとえば、強い上昇トレンドが出たと見られる局面であれば、まず大引けでロングポジションを取ります。その日の米国市場が前日比上昇した場合には、「米国市場に逆張り」のトレードは寄り付きショートとなりますが、両トレードのサイズが同じならば、一方がロング、一方がショートで、トータルのポジションはニュートラルです。よって、この日の寄り付きでロングポジションをたたんでポジションなしの状態にする、といった具合です。
このように、シグナルの異なるトレードを同時進行させると、時折ポジションが相殺されて、コスト低減につながる面もあります。
自分の相場観を排除して淡々とポジションを取るのがシステムトレードの眼目ではありますが、相場観とトレードのシグナルが大きく違うときには、この「複数トレードの同時進行」を取り入れてみてはどうでしょうか。心情と裏腹のシグナルが出た際の精神的ストレスも、かなり軽くなると思います。