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 【日経ヴェリタス連載・フォロー情報】 
この相場局面で買うと「ノックインしまくり」になる

ノルウェー輸出金融公社」、仕組み債に興味のある方は聞いたことがある名前かもしれません。激しく格下げされました。

ここの仕組み債は「EMTN」という債券登録発行プログラムから随時発行されているものです。仕組み債にとっては、オプション部分のリスク以上に、債券としてのデフォルトリスク(クレジットリスク)がクローズアップされる事態となってしまいました。

ちなみに、ノルウェー地方金融公社は別物で、こちらのレーティングに変化はありません。ほかにフィンランドとかスウェーデンとかに似た名前の発行体もありますね。

株やら為替やら気にしなければならないのに、元本までも気にしなくてはいけないのか?本当に仕組み債はリスクばっかしだな、という思いの方もいるでしょう。それは否定できません。

ノルウェー輸出金融公社は、10月にAa3に格下げされるというワーニングがあったとはいえ、今回は一気にジャンク(投資不適格債券)のBa1にまで落とされました。こんな劇的な格下げが、他のナントカ公社にも起きないという保証 があるものなのでしょうか。困ったモンです。


“ネットバブル”時に販売された日経リンク債はどうなった?

日経ヴェリタスの連載「仕組み債のリスクとリターン」の最終回、11月27日発売号で、期間3年の日経リンク債を想定し、90年以降の株価データから算出した「ノックインする確率」や「あってしかるべき利率」などを紹介しました。

この「ノックインする確率」の数字ですが、これは過去データから計算した平均であって、いつでもその程度の確率だという話ではありません。相場局面を区切って調べると、「ここで日経リンク債を買ったら悉くノックインしたであろう」時期と、「ここで日経リンク債を買ったら全くノックインせずに高い金利がもらえたであろう」時期が鮮明に表れます。

と、いうような話が、実は原稿段階には入っていたのですが、スペースの関係上、その部分を載せることができなくなってしまいました。

そこで、フォロー情報として、ここで「ノックインしまくり相場局面」について紹介します。

個人向けに仕組み債が盛んに販売されるようになったのは、ネットバブル相場の頃からです。当時の日経リンク債は期間が短いものはあまりなく、期間4年、5年というタイプが多かったように記憶しています。

そこで、期間5年の日経リンク債を想定し、1998年1月から2011年10月までの株価データによって、ノックインの状況を調べてみました。

想定した5年債は、利払いが年2回、ノックイン価格=当初価格60%、早期償還条項=当初から6ヶ月(126営業日目)応当日ごとに判定日を設定して、その日の株価が当初の105%以上で期限前償還、というタイプです。

調べ方は、日経ヴェリタス掲載記事と同様、1998年初の営業日の終値で日経平均株価(当初価格)を買って5年間保有したとして、その間の株価データで、ノックインの条件にヒットしたか、早期償還の条件にヒットしたかを調べます。同様の想定を1営業日ずつ後ずれさせながら、全2137回分行い、そのの結果からノックインした日数の割合や早期償還した場合の平均利払い回数などを求めます。

表1はその結果の数字をまとめたものです。

ノックインした確率は(わずか!)14.79%、ノックインした場合の平均の損失額(期待値)からすると、損失に見合う利率は年率2.54%という、驚くほど低い数字が出てきてしまいました。

期間が5年もあればノックインする確率が高くなりそうなものですが、ヴェリタスで紹介した期間3年の数字よりも低くなっています。

一体、なぜこんな結果になったのかというと、使用したデータの最終日が2011年10月なので、5年分のデータが取れる検証最終日が2006年9月(※)と、相場が好調なところまでしか検証結果が得られないためです。(※1ヶ月21営業日、1年252営業日として計測しているため、カレンダーの1年単位とはずれが生じます)

ただ、この想定リンク債のノックインの様子を日経平均株価のチャートに乗せてみると、興味深い様子が描かれます。


仕組み債が盛んに販売される時期は要注意

チャートの赤色になっている部分が、以後5年内にノックイン条件にヒットした「当初価格」に当たる時期の日経平均株価です。相場の天井圏と、そこから落ちていく局面に集中していることがわかります。

ちなみに、99年3月1日から2000年8月31日までを「当初価格」とした期間5年のリンク債を想定すると、ノックインの確率は61.83%にまで跳ね上がります。

また、当時は早期償還条項が付いていないリンク債もありました。早期償還条項が付いていない「ノックイン価格=当初価格60%」のリンク債だとすると、ノックインの確率は何と100%。文字通り「悉くノックイン」です。

この結果からすれば、2006年9月以降に販売されたリンク債も、仮に早期償還条項が付いていたとしても、“リーマン・ショック”の暴落で悉くノックインしたであろうことは想像するに難くないと思います。

つまり、相場の天井圏でリンク債は「買ってはいけない」ということですが、いまが相場の天井だなどということは、当然ながら、その時点ではわかりません。ただ、相場が天井に向かっていくときには、高い利率をうたった仕組み債の発行が増える傾向にあります。個人向けに仕組み債が盛んに販売される状況は、「投資は要警戒」の重要なシグナルと考えてよいと思います



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2011年夏号
【禁断の仕組み債】
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