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【気になる低位株】有効な売買シグナル、実はみんな同じ?!

低位株に垣間見える「悪くない兆し」

早いもので今年も残り2週間。相変わらず精彩を欠いている株式市場は、クリスマスモードから年末モードへと、さらに盛り下がるのかもしれません。

が、そんな中にあっても、「悪くない兆し」が出ている感はあります。「いい兆し」とか「好転の雰囲気」と言えるほどのものではないのですが、このところ、低位株の中に、かつてよりも売買水準が増え、上がらないまでも下がらなくなっている銘柄が散見されます。サプライズの好材料があるわけでもなく、かといって、単に目先筋の物色の矛先が向かっているだけでもなさそうな低位株です(中には、「単に目先筋」の可能性が否定できない銘柄もありますが)。

市場全体にいい話が全くなく、むしろ暗い雰囲気にある中で、低位株、あるいは新興株の一部が実は悪くなかった、という状況になっていた例は過去にもあります。たとえば金融危機があった98年、02年の秋以降の相場です。現状は、このときほど顕著ではありませんが、新年も近いこともあり、「これは悪くない兆し」と解釈してしまいます。

そこで、そうした“ちょっと気になる低位株”の値動きをいくつか調べてみました。、すると、驚くことに、これらの銘柄にかなり有効であろうと見られる売買シグナルが、どれも同じであるという結果が出てきたのです。

そのシグナルとは、以前、当欄でも紹介したことがある「225先物の引値が前日比上昇だったか、下落だったか」です。


業績堅調。株価は超割安なこの銘柄

グラフ1はGSIクレオス(8101)について、225先物が前日比上昇ならば同日大引けでこの銘柄をロング、225先物が前日比下落ならば大引けでこの銘柄をショートという、225先物の前日比上昇下落に順張り型の売買を想定し、累積パフォーマンスを調べた結果です。

右肩上がりがずっと続いています。とくに、08年途中からは上がり具合がより鮮明になっています。

「225先物の大引けは15時15分で、東証はそれより15分早いのだから、225先物の引値の前日比上昇下落を見てから、この銘柄を売買することなどできないじゃないか」と思うかもしれません。確かに、厳密には実践できませんが、たとえば、東証大引けの段階で、225先物が40円か50円(前日比0.5%程度)、前日引値よりもプラスかマイナスだったら売買出動する、というやり方なら可能です。東証引け後の15分の間で先物の動きに大変化が起きないとは言い切れないまでも、大方は大丈夫だろうと思われます。

ちなみにこの銘柄、旧社名「グンゼ産業」のイメージから、仕手っぽい印象を持っている人もいるのではないでしょうか。

その面がないとは言いませんが、業績は想像以上にしっかりしています、08年3月期に黒字転換し、09年3月期以降は毎年増収増益です。12月16日の引値は108円。予想PERは6倍台にまで下がっています。

グラフ2は大京(8840)について、同じシグナルの順張り売買を検証してみた結果です。この銘柄は累積パフォーマンスが1000%超になっています。

この銘柄、10月以降の株価のトレンドも悪くはありません。業績も上方修正し、12年3月期の減益予想は一転、70%超の増益見通しです。予想PERは実に3倍台。

冬になると注目されることの多い紡績セクターから1銘柄。シキボウ(3109)について、同じシグナルの順張り売買の累積パフォーマンスです。

紡績セクターの低位株はマスク需要がしばしば材料となりますが、来年は放射性物質が付着した花粉の問題が浮上するかもしれません。12月16日の株価は105円。PBRは0.48倍です。


約4年間で累積益が1000%超の銘柄も

業績、財務ともによくないものの、同じシグナルの順張り売買がものすごいパフォーマンスになった銘柄があります。

アーク(JQ7873)の例です。累積パフォーマンスの推移を見ると、サブプライムローン問題が表面化した07年半ばから、とくに利益の伸びが高まっていることがわかります。07年後半から4年少々であげた累積益は1000%超にも 達します。

それにしても、225採用銘柄でもなく、225先物とは何ら関係がなさそうななのに、なぜ225先物をシグナルにした順張り売買がこうも高いパフォーマンスを出すのでしょうか。

その理由としては、低位株は株価に対する1ティックのウエイトが高いので、1円、2円の利益であっても、それが積み重なれば高い数字になって表れる面が大きいと考えられます。

ですから、これらの高パフォーマンスを額面通りに受け取ることはできません。ただ、そのパフォーマンスの推移の右肩上がりが長らく続いている からには、やはりこの傾向を無視することはできないでしょう。

おそらく、低位株は何らかのきっかけで注目されると華々しい相場を演じる可能性がある、ということで、常時気に掛けている参加者はいるのでしょう。しかし、日経新聞の見出しに登場することなどは滅多になく、日々売り買いする材料がこれといって何もない。それゆえ、市場平均、とりわけ日々の相場を動かす推進力ともなっている225先物を意識した売買が行われているのではないでしょうか。

なお、取引が活発に行われていない低位株は、板がまばらにしか入っておらず、売り注文と買い注文の値段がかけ離れているケースが往々にしてあります。多少のまとまった注文を入れると突拍子もない値段で約定することにもなりかねませんから、取引状況は事前に十分要チェックです。少なくとも、アークのような銘柄 に「引け成行で1万株」というような注文を入れるのはやめておきましょう。



ここで紹介した、225先物をシグナルにした順張り売買のほか、米国の株価指数をシグナルにした売買、同じセクターの銘柄の値動きに着目した売買、その銘柄特有の値動きをシグナルにした売買など、多数の売買のアイディアを掲載したCD−ROM書籍を刊行します。

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