当欄の2月13日付け情報で、過去の日経平均株価と高値・安値更新銘柄数の動向を見ることによって、相場が天井や大底から反転する局面の特徴を捉えてみました。具体的には、
・ 日経平均が大底をつける局面では、安値更新銘柄数はもはやさほど増えない
・ 大底からの本格反転局面では、高値更新柄数が大幅に増加する(下げトレンド途中の一時的な戻しの場合は、高値更新銘柄数はあまり増えない)
・ 日経平均は高値を更新していても、安値更新銘柄の増加のほうが目立つ局面は、市場実態は既にピークをつけつつあることを示唆している
などです。
目下のところ、日経平均は堅調な動きを続けています。2月末から3月初めにかけての9700円〜9800円のところで「一旦ストップか?」という状況もありましたが(先物主導で無理やり下げようとする動き、にも見えましたが)、9500円は割り込まず。3月9日のメジャーSQの日は、ザラ場中1万円にタッチする場面もありました。
この値動きだけを見ていると「この相場、結構強いのではないか」と思えなくもない感じですが、今年に入ってからの上昇は過去の上昇相場と比べてどうなのでしょうか。2月13日に掲載したデータを更新して、1998年1月から2012年3月8日時点までの高値・安値更新銘柄数と日経平均株価を出してみました。
グラフ1は、過去1年の高値を更新した銘柄数(赤)、過去1年の安値を更新した銘柄数(青)、および日経平均株価の推移です。
直近の上昇では、確かに高値更新銘柄数が増加していて、その水準は、“リーマン・ショック”暴落後の2009年の反転局面よりも高くなっています。日経平均株価だけを見ると、2009年の反転局面のほうが強い上昇のようにも映りますが、高値更新銘柄数は意外に増えていない。ということは、このとき買われていたのは日経平均算出に絡む一部の銘柄が中心で、「市場全体が総じて買われる名実ともに強い上昇」ではなかった可能性があります。
その点でいうと、現状の上昇相場のほうが2009年の反転局面よりも強い、と見ていいかもしれません。
とはいえ、1999年のIT相場のスタート局面や2003年の長期上昇相場の始まりの時期と比較すると、高値更新銘柄数の水準はまだまだ低い状況に甘んじています。現段階では、「強い本格上昇相場が始まった!」とまでは言い切れないようです。
ただし、高値・安値更新の対象期間を「過去6ヶ月来」としてみると、少々様相が変わります。
高値更新銘柄数は、IT相場当初や2003年からの上昇相場当初に劣らない水準に達しています。
注目したいのは、“リーマン・ショック”後の反発局面の最高値をつけた2010年4月から現状まで、日経平均株価は、上値・下値をともに切り下げる下落基調からまだ脱出していないという点です。震災前2011年2月の高値は2010年4月より低く、現在の株価水準は2011年2月の高値に届いていません。にも関わらず、過去6ヶ月来の高値更新銘柄数のピーク水準は「2010年4月<2011年2月<現状」となっています。
過去にこのような状況が観測された局面はないので、「その後どうなるか」の予想がつきにくいところではありますが、「日経平均が下落基調にありながらも、高値更新銘柄が増えている」というのは、悪くない現象であることは確かです。
さらに、「過去3ヶ月来の高値・安値更新銘柄」を見ても、現状の上昇は過去の上昇相場にひけを取っていない様子がうかがえます。
今度は、今年に入ってからの日々のデータを見てみます。
2012年 | 一年(12ヶ月) | 半年(6ヶ月) | 四半期(3ヶ月) | |||||
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1月4日 | 8560 | 105△ | 56 | 7 | 119 | 14 | 303 | 23 |
1月5日 | 8489 | 71▲ | 32 | 9 | 89 | 15 | 197 | 26 |
1月6日 | 8390 | 98▲ | 27 | 20 | 71 | 36 | 137 | 54 |
1月10日 | 8422 | 32△ | 55 | 31 | 125 | 46 | 261 | 74 |
1月11日 | 8448 | 26△ | 52 | 19 | 123 | 38 | 211 | 59 |
1月12日 | 8386 | 62▲ | 31 | 32 | 78 | 58 | 153 | 87 |
1月13日 | 8500 | 114△ | 37 | 21 | 90 | 40 | 180 | 59 |
1月16日 | 8378 | 122▲ | 51 | 43 | 115 | 74 | 198 | 119 |
1月17日 | 8466 | 88△ | 59 | 40 | 132 | 68 | 266 | 103 |
1月18日 | 8551 | 84△ | 36 | 24 | 110 | 57 | 268 | 85 |
1月19日 | 8640 | 89△ | 34 | 11 | 85 | 32 | 228 | 53 |
1月20日 | 8766 | 127△ | 48 | 10 | 123 | 24 | 340 | 38 |
1月23日 | 8766 | 0△ | 53 | 4 | 162 | 12 | 381 | 24 |
1月24日 | 8785 | 19△ | 43 | 4 | 125 | 7 | 314 | 17 |
1月25日 | 8884 | 98△ | 56 | 2 | 168 | 6 | 411 | 13 |
1月26日 | 8849 | 34▲ | 60 | 2 | 158 | 9 | 359 | 16 |
1月27日 | 8841 | 8▲ | 58 | 5 | 146 | 8 | 286 | 18 |
1月30日 | 8793 | 48▲ | 68 | 3 | 170 | 9 | 313 | 20 |
1月31日 | 8803 | 9△ | 55 | 5 | 154 | 12 | 281 | 29 |
2月1日 | 8810 | 7△ | 56 | 6 | 157 | 12 | 309 | 21 |
2月2日 | 8877 | 67△ | 48 | 13 | 168 | 19 | 373 | 27 |
2月3日 | 8832 | 45▲ | 40 | 10 | 120 | 17 | 217 | 30 |
2月6日 | 8929 | 97△ | 66 | 5 | 241 | 11 | 410 | 28 |
2月7日 | 8918 | 12▲ | 56 | 9 | 185 | 18 | 324 | 27 |
2月8日 | 9016 | 98△ | 60 | 2 | 249 | 7 | 454 | 16 |
2月9日 | 9002 | 13▲ | 52 | 4 | 237 | 8 | 443 | 16 |
2月10日 | 8947 | 55▲ | 59 | 6 | 193 | 10 | 355 | 13 |
2月13日 | 8999 | 52△ | 56 | 5 | 178 | 17 | 290 | 22 |
2月14日 | 9052 | 53△ | 71 | 235 | 5 | 377 | 12 | |
2月15日 | 9260 | 208△ | 102 | 2 | 385 | 7 | 652 | 14 |
2月16日 | 9238 | 22▲ | 55 | 4 | 225 | 5 | 382 | 11 |
2月17日 | 9384 | 146△ | 76 | 3 | 361 | 11 | 592 | 19 |
2月20日 | 9485 | 101△ | 95 | 3 | 456 | 13 | 708 | 14 |
2月21日 | 9463 | 22▲ | 62 | 4 | 248 | 9 | 408 | 14 |
2月22日 | 9554 | 91△ | 108 | 1 | 447 | 2 | 693 | 3 |
2月23日 | 9596 | 42△ | 147 | 594 | 3 | 883 | 4 | |
2月24日 | 9647 | 52△ | 153 | 2 | 639 | 3 | 900 | 8 |
2月27日 | 9634 | 13▲ | 175 | 1 | 721 | 5 | 972 | 10 |
2月28日 | 9723 | 89△ | 141 | 5 | 348 | 9 | 476 | 15 |
2月29日 | 9723 | 1△ | 210 | 6 | 585 | 9 | 783 | 17 |
3月1日 | 9707 | 16▲ | 105 | 8 | 252 | 14 | 307 | 24 |
3月2日 | 9777 | 70△ | 85 | 5 | 208 | 11 | 286 | 22 |
3月5日 | 9699 | 78▲ | 143 | 5 | 301 | 10 | 393 | 13 |
3月6日 | 9638 | 61▲ | 118 | 3 | 220 | 9 | 281 | 21 |
3月7日 | 9576 | 62▲ | 72 | 4 | 131 | 14 | 168 | 29 |
3月8日 | 9769 | 193△ | 177 | 5 | 317 | 11 | 384 | 24 |
日経平均株価に強い動きが見え始めたのは1月の後半からですが、表の「1年来の高値・安値更新銘柄数」を見ると、その時期から高値更新銘柄数が急増したわけではなく、年初からすでに50銘柄前後の水準にあったことがわかります。
1月後半から変化したのは、安値更新銘柄数の水準です。1月20日以降、安値更新銘柄数が2桁になる日はほとんど見られなくなっています。
高値更新銘柄数に変化が出てきたのは2月の半ば以降です。銘柄数が3桁を超える日も珍しくなくなっています。これは、強い値動きを見せる銘柄の層が一段拡大した、相場の強さが増したと解釈できます。
ちなみに、大震災前の昨年2月、日経平均株価は1万1000円に迫る水準にあったわけですが、そのときの相場の強さは、当時の「過去1年来の高値更新銘柄数」にも表れています。
現状の「過去1年来の高値更新銘柄数」は昨年2月の水準には足りませんが、先ほど見たように、「過去6ヶ月来」では昨年2月を上回っています。
この「6ヶ月来」に表れている傾向が「過去1年来」にも出てくれば、ひとつの強気シグナルと考えてよいでしょう。これから1、2ヶ月間の動きはとくに注目です。
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