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【場中の大乱高下】この高値・安値をどう解釈するか

株もドル円も荒れに荒れた18日の午後

12月18日、今年最後の日銀金融政策決定会合がありました。後場寄り約20分後に出てきた内容は“K田バズーカ2”のフォローアップ的な追加緩和策。市場の反応は、毎度お馴染みの「上げて、下げる」でしたが、今回の「上げて、下げる」はこれまで以上の凄まじさがありました。

まず、日経平均先物の5分足チャートでその様子を振り返ってみましょう。

12時45分からの分足は前日引値近辺で引けています。そこで日銀の決定事項の情報がどういう形で流れたのかは定かでありませんが、最初は1万9260円まで下げ、そこから一転して棒上げ状態。12時50分からの5分間で1万9860円まで、600円も上昇しています。「2万円」はもう完全に射程内、というものすごい勢いの上げ方だったわけですが、施策の中身にネタ切れ感が出たのか、1万9880円で上昇は止まり、今度は急落。1万9500円まで下げたところで再上昇したものの、上値は1万9700円に届かずに再び下落。13時20分の分足で前日引値を下回り、そのあとは売り方優勢が確定。15時には1万8940円まで下げるところとなっています。高値1万9880円から1万8940円まで、値幅は実に940円です。

このとき、ドル円もものすごい動きでした。施策の発表直後にドルは買われに買われ、円が売られに売られて、あれよあれよという間に123円50銭を越えるドル高に。そこから強烈な巻き返しで、ドルは売られに売られ、円が買われに買われて121円台。日経平均はこのドル円の乱高下にぴったりついて動いていた格好です。

日経平均とドル円の相関性については折りに触れて取り上げていますが、改めて相関関係を確認してみます。

X軸がドル円、Y軸が日経平均です。β値が240.92ということは、「ドル円が1円動くと、日経平均は240円動く」という解釈になりますが、2014年10月末の“バズーカ2”以降で言えば、ドル円が1円動くと日経平均は420円ほど動いています。また、決定係数もここ数ヶ月の間に上昇傾向が出ています。日経平均は、ドル円の動きに反応しやすくなっている、その反応度合いが大きくなっている、という点は、これからの市場動向を考えるうえで強く意識しておいたほうがよいと思います。


日経平均オプションをドル円予測で売買する方法もある

日経平均がこうも激しく動く展開になると、そのボラティリティーを取引対象にしている日経平均オプションは輪をかけて激しく動きます。

図3は、16年1月限の権利行使価格1万9000円プットの18日立合時間5分足です。追加策が好感され、日経平均が「2万円も視野!」という動きになった局面では、1万9000円の行使価格は遙か彼方となってしまい、プレミアムが半減。ところが、12時55分から日経平均が急落に転じた後には、アウト・オブ・ザ・マネー状態がイン・ザ・マネー状態に一転して、プレミアムは385円まで、安値110円の3倍以上になっています。

よりアウトな1万8000円および1万7000円プットも同様の動きです。

通常、先物が大きく動くときにはプット・オプションのほうがコール・オプションよりもダイナミックに動くものですが、今回の乱高下では、コール・オプションの動きのほうがダイナミックでした。たとえば、16年1月限の権利行使価格2万円コールは、12時50分の5分足の安値は80円。その後の日経平均急上昇で同じ分足の高値は340円。5分足らずで4倍以上の爆上げです。が、日経平均が急落に転じたことから、そのプレミアムは瞬く間に剥げ落ち、15時15分の引値は55円。高値の6分の1以下になってしまいました(ナイト・セッションではさらに下げて40円)。

2万1000円および2万2000円コールに至っては、当初5分の急上昇局面で価格が10倍以上になる爆噴火を演じています。おそらく、14年10月末の“バズーカ2”のときに、日経平均が一挙に高値を更新してしまい、株価の居所を変える展開となった記憶が蘇ったのではないしょうか。

オプションの価格は、日経平均が突拍子もない動きになると、より一層とんでもなく突拍子のない動きをします。先述したように、ドル円の動きに日経平均がより連れやすくなっていること、加えて、大きな動きが出たときには株価のほうが大きく動くケースが多いことを考えると、日経平均オプションをドル円の予想に応じて使う策もアリでしょう。ドル高を見込むならばコール買い、円高を見込むならばプット買い、レンジ内の動きを予想するならばコールもプットも売り、といった具合です。


「1万9869円高値」「1万8982円安値」が示唆する先行きとは

ところで、先物やオプションの原資産である日経平均株価は、この18日の大乱高下で極めて興味深い動きを見せています。

図7は、9月から今回の乱高下の前日17日までの日足チャートです。歯止めのかからない原油安が悪材料視された12月初めからの下落は15日で止まっています。この15日の安値となった1万8562円は、10月22日と23日に形成されたギャップのサポート水準です。これは、9月30日からの反転上昇過程の中で唯一埋まっていなかったギャップでしたが、15日の安値で埋めるところとなっています。

この水準がサポートになって反転し、17日はギャップアップしています。この段階では、

● ここから上昇するならば、12月3日と4日の間に形成され、7日の戻しでは埋められなかったギャップの上端1万9862円がレジスタンスになる

● 下げた場合の目先のサポートは、16日と17日の間に形成されたギャップ(1万9325円―1万9054円)の水準

と予測されます。レジスタンス水準のギャップを完全に埋めて、一旦反落したとしても、サポート水準で下げ止まって再上昇という動きになれば(ギャップを埋めきらずに再上昇すればベスト)、比較的早い段階で2万円回復もあり得る、という見方になるところでしょう。

実際に18日の日経平均はどう動いたかというと、まず、追加策発表直後の急上昇でつけた高値は1万9869円。レジスタンスと目されたギャップは完全に埋まっています。これは大好感できる動きだったのですが、ところが、その後の急落でつけた安値は1万8982円。サポートになると期待されたギャップをがっつり埋めています。

わずか半日のうちに、予測されたレジスタンスもサポートも、どちらも示現してしまったということですが、そうなると、先行きはどういった予測になるのか。22日までの動きを見ると、乱高下の翌営業日21日には、安値を切り下げ、次のサポートとなる15日の安値1万8562円の水準に迫っています。つまり、予測された1万9325円―1万9054円のサポートゾーンは下値にはならなかったことになります。となると、目先第一の最重視ポイントは、とにもかくにも次のサポートである15日の安値を下回らないかどうかにほかなりません。

この安値を割り込まずに上昇基調に転じ、18日の上値となったレジスタンス越えに再チャレンジする動きになれば、「2万円」は十分に見込めます。が、15日の安値を割り込んで下げることになると、1万8000円割れも想定する必要があります。週足で中期トレンドを捉えるならば、9月29日の安値を下回り、1万6000円台半ばまで下げる可能性も浮上してきます。こうなると、よほどのことがない限り「2万円」は“夢のまた夢”でしょう。

今年も残りわずかとなり、祝日明け以降は市場参加者もかなり減少すると予想されますが、大納会まで5営業日の値動きが新年相場を予測するうえで重要な示唆になるかもしれません。日経平均株価が12月15日の安値を下回ることなく、18日に形成した長い上ヒゲの水準辺りまでしっかり戻して15年を終えれば、ひとまず安心して新年を迎えられそうです。ドル円が122円台に戻せば、その展開になることも期待できると思います。



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