株価指数についてreturn

平均株価と個別株の「乖離」は埋まるのか

(本稿は、2009年4月18日時点でのデータを元に作成されています。)

平均株価に対する個別株の値動きの関係を売買システムに取り入れる場合、「平均株価の上昇・下落率から見て、相対的に個別株の上昇・下落率は高いか、安いか」に着目する考え方もあります。

たとえば、平均株価が前日比で3%下落した日に、ある個別株の下落率が1%だとすると、その銘柄は平均株価から見て相対的に2%高い(−1%−(−3%))ことになります。これは、「2%のプラス乖離が生じている」と捉えられます。

こうした乖離が生じれば、それを埋めようとする動きも出るのではないでしょうか。だとすれば、「本日の大引け時点で個別株の前日比上昇・下落率が平均株価の前日比上昇・下落率よりも高い(プラス乖離)ならば、大引けで個別株をショート、先物で買いヘッジ」「個別株の前日比上昇・下落率が平均株価の前日比上昇・下落率よりも低い(マイナス乖離)ならば、大引けで個別株をロング、先物で売りヘッジ」という売買が奏功することになります。

先に見た3銘柄で調べてみました。なお、先物はヘッジ比率を掛けたサイズの売買を想定しているため、乖離の計算式は「個別株の上昇下落率−(日経平均先物の上昇下落率×ヘッジ比率)」となります。

まず、図表4は、「どちらとも言えない型」の大日本印刷の結果です。

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Aは、翌日寄付で手仕舞った場合で、前日大引け時点での乖離を翌日寄付きに取り戻そうとする傾向がうかがえます。さらに、手仕舞いを翌日大引けまで延長すると、Bのようになります。より右肩上がり度合いが高まっているということは、ザラ場中も乖離を取り戻す動きが継続する傾向がある、と解釈できます。

逆張り型の花王はどうでしょうか(図表5)。

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この銘柄の場合、翌日寄付き時点では、乖離を取り戻すどころか、最近ではむしろ乖離が拡大する傾向が出ています(A)。

ただ、手仕舞いを大引けにすると、パフォーマンスはBのように改善されます。この銘柄は、寄り付いた後、ザラ場中に前日の乖離を埋める動きが出る傾向がありそうです。ならば、前日の大引け時点の乖離をシグナルに、本日の寄付でポジションを取ったらどうなるか、というと、その結果がCです。Bよりも一段、パフォーマンスが向上しました。

順張り型の日立建機は、図表6が示す結果となりました。

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寄付時点では、前日大引け時点の乖離がより拡大するようです。また、ザラ場中には乖離を埋める動きはありそうですが、08年後半以降はザラ場中でさえも乖離が拡大する傾向が現れています。

同じ売買システムでも、平均株価に対する値動きのタイプによってそれが有効な銘柄と、そうでない銘柄がありそうです。

平均株価が上がっても高寄与度銘柄が上がるとは限らないnext


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