《超高寄与度2銘柄》攻略のアイディアを探る
■「米国市場の引値の逆張り」が奏功する銘柄ではあるが…■
第一精工(6640)は指数に対する寄与度が12%超と、日経平均株価におけるファストリやファナックどころではない高さです。
この銘柄は業績もすこぶる良好で、タブレット端末関連という今日的な材料も持っています。すでに注目度が上昇している銘柄ではありますが、2011年、さらに注目度が高まるかもしれません。
この銘柄もまた、「『なでしこ書籍』の読者様向け情報」のランキングに顔を出しています。
「S&P500引値の前日比上昇・下落に対する逆張り」ランキングです。このランキングは、日本時間の早朝に確定する米国S&P500が前日比上昇(下落)で引けると、その日は寄値よりも引値は安く(高く)なる傾向が強いことを示しています。第一精工はランキング28位です。
「S&P500引値が前日比上昇なら寄付で第一精工をロング、S&P500引値が前日比下落なら寄付で第一精工をショート」(いずれも大引けで手仕舞う)という想定売買を検証してみたところ、その累積パフォーマンスの推移は図3−1のようになりました。
@はデータ期間が2010年1年間、Aは08年以降の3年間の結果です。どちらも右肩上がりではありますが、パフォーマンスの推移の不安定さが否めません。
この「米国市場の前日比上昇・下落に逆張り」の売買のパフォーマンス安定化策としてこれまで何度か試したことがあるやり方としては、「±何%超の前日比上昇・下落のときのみポジションを取る」という、“出動条件絞り込み”があります。要するに、米国市場の上げ下げがはっきりしたときだけ売買出動するという考え方です。
そこで、図3−1Aのパフォーマンスを、「前日比プラス1.0%超の場合のショート」「前日比0〜1.0%以下の場合のショート」「前日比0〜マイナス1.0%以上の場合のロング」「前日比マイナス1.0%超の場合のロング」という4パターンに分けて、それぞれのパフォーマンスを調べてみました。
グラフの青線と紫線、つまり「米国が下がったときのロング」はどちらも右肩上がりですが、赤線と緑線、つまり「米国が上がったときのショート」がまるでダメです。
ということは、もしかするとこの銘柄は「米国市場の引値がどうであれ、とにかく寄付で買って、引けで手仕舞うのがいい」という値動きの傾向があるのではないでしょうか。
■とにかく「引けでショート」「寄付でドテンロング」■
今度は、S&P500の前日比上昇・下落とは全く無関係に、単に「寄付でロング、大引けで手仕舞い」という売買を検証してみました。
図3−3の赤線がその結果です。推移は不安定ではあるものの、図3−1Aで見たよりも高いパフォーマンスです。
さらに、青線は「引けでショート、翌日寄付で手仕舞う」という「引け→翌日寄付」の売買の検証結果なのですが、パフォーマンスの水準は高くないながらも、着実な右肩上がりを描いています。
この結果を併せて考えると、この銘柄の値動きは「寄付は安く、引けは高い」という傾向がある、と推測できます。
とすれば、この銘柄自身の引値が前日比上昇だとか前日比下落だとか、あるいは米国市場が上がった・下がった、というようなことは考えずに、単に「引けでショート」→「翌日寄付でショートはたたんでロングにドテン」→「大引けでロングはたたんで再びショートにドテン」という売買が有効ということになります。
■なぜか、あの“強い個性”の京都銘柄の値動きと深い関係が■
ところで、ここまでの話の展開とは全く視点が異なるのですが、今はなき『エコノミスト・マネー』誌の連載「Myトレードシステムをつくろう」の中で、「A銘柄の値動きをシグナルにB銘柄を売買するとなぜかパフォーマンスが上がる」といった例を紹介したことがあります。
本サイトでも、「○○が上がった翌日、××が上がる」という新興株の例や低位株の例を掲載しましたが、第一精工についてもそうした銘柄、すなわち「○○が上がった(下がった)翌日、第一精工が上がる(下がる)」の、「○○」に当てはまる銘柄はないでしょうか。
これを調べてみたところ、かなり注目できそうな銘柄が見つかりました。
図3−4は、「日本電産(大1・6594)の引値が前日比上昇なら引けで第一精工をロング」「日本電産の引値が前日比下落なら引けで第一精工をショート」という、日本電産の値動きをシグナルにした順張り売買の累積パフォーマンスの推移です。
08年以降、過去3年の累積パフォーマンスは350%超。2009年途中から2010年半ばまで、パフォーマンスの伸びが停滞していましたが、昨年後半から再び伸び始めてきた様相がうかがえます。
また、図3−3の赤線(寄りで買い、引けで手仕舞い)のグラフと見比べると、パフォーマンスが急伸する局面が対照的になっている傾向がわかります。この点からすると、図3−3の売買と、この図3−4の売買を組み合わせてみる、といったアイディアも浮上してきます。
それにしても、なぜ「日本電産」なのでしょうか。
本社がともに京都であり、製品に対する需要に共通点があると市場から解釈されているのかもしれません。
いずれにしても、値動きには浅からぬ関係がありそうです。第一精工を手掛けるならば日本電産の値動きも見ておくべし、です。