まず、指数の寄与度2位に浮上した日本マクドナルド(2702)について考えてみます。
想像はつくと思いますが、ボラティリティーが低い、要は、あまり動きません。したがって、短期のトレードには不向きな銘柄なのですが、取りあえず、値動きの基本的な傾向を調べてみましょう。
グラフ1は、マクドナルドの引値が前日比上昇なら大引けでロング、前日比下落なら大引けでショートという、引値の前日比上昇下落に順張りの売買シミュレーションの結果です(貸借銘柄ではありませんが、空売り可能なものとして検証しています)。累積パフォーマンスの推移は比較的きれいな右肩上がりを描いています。
ということは、この銘柄は「上がったら買え、下がったら売れ」というシンプルな順張りトレードが向いていることになります。ただし、1トレードあたりの利益が0.3%程度なので、手数料などコストを払うと 利益はほとんどなくなってしまいそうです。
そこで全く別の視点。この手の外食銘柄といえば、とにもかくにも「株主優待」です。この銘柄の権利確定月は6月と12月。その優待取りから発生するアノマリーがあるのではないでしょうか。
やはりあるようです。グラフ2は、権利確定月に向けた3月〜5月と9月〜11月の各3ヶ月はロング、権利確定月から3ヶ月はショート、というふうに、3ヶ月タームでポジションを交互に取ったと仮定した場合の累積パフォーマンスの推移です(ポジションは3ヶ月間ホールドしますが、(含み)損益は日々精算して累積益に加える形で計算しています)。1トレードあたりの利益は5.48%です。
この結果は、権利確定月にはすでに株価が下がり始めていることを示唆しています。非貸借銘柄でも空売りができる人たち(ネット証券などから預かり株券を借りて売ることができる人たち)に狙われている気がしないでもありません。
また、この銘柄を優待目的で買うならば、3月と9月がよさそなこともわかります。
ありとあらゆる優待取りをしている人たちにとっては、3月・9月は最も資金が必要となる時期で、優待の権利確定まで3ヶ月もあるマクドナルドを相手にしている場合じゃない、というところかもしれません 。そういう時期こそ実はチャンスのようです。
新規採用されたクルーズ(2138)とはどんな値動きをする銘柄なのか。この銘柄についても、まずは基本的な値動きの傾向を調べてみます。
先ほどのマクドナルドと同様、引値が前日比上昇なら大引けロング、前日比下落なら大引けショートという順張りトレードの累積パフォーマンスの推移です。順張り型の値動き傾向はある、とは言えそうではありますが、かなり荒れた推移を描いています。単純に「上がったら買う、下がったら売る」ではダメなようです。
値動きといえば、前日比上昇下落や陽線・陰線に目がいきがちですが、「寄り付きが前日引値より高い」(高寄り)、「寄り付きが前日引値より安い」(安寄り)という、寄り付き方に注目する方法もあります。
これを試してみましょう。
グラフ4のAが、高寄りしたらその日の大引けでロング、安寄りしたらその日の大引けでショート、という売買シミュレーションの結果です。累積パフォーマンスはかなり向上したうえに、その推移もグラフ3に比べるとだいぶ安定しています。
ちなみにBは、この銘柄自身の高寄り・安寄りではなく、日経平均先物の高寄り・安寄りをシグナルに同様のポジションをとった場合の累積パフォーマンスです。こちらのほうがさらに高いパフォーマンスとなっています。
もしかするとこの銘柄は、銘柄自身の値動きをシグナルにするよりも、市場全体の値動きをシグナルにするほうが効果的なのかもしれません。
そこで、市場全体に順張りのトレードを検証してみました。
日経平均先物とJASDAQ指数の前日比上昇下落をダブルでシグナルにしたシミュレーション結果です。それそれ単独で使うと不安定だったので、双方の指数ともに前日比上昇ならロング、ともに前日比下落ならばショート、としてみたところ、予想以上の好パフォーマンスが出てきました。
ただ、ここ半年はパフォーマンスが伸び悩んでいます。グラフ中の黒のラインを割り込んでくるようだと、このやり方は再考したほうがよさそうです。