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全く面白くない相場状況が続いています。
「ダウは上昇したのにこっちは円高で全然上がらない」からではありません。場中、何の理由もなく、単に先物が売られたから、買われたから、というだけで個別銘柄が無機質的に売買される光景。毎日毎日こればかりです。先物に大玉の売りが出ようものなら、その瞬間、一斉に個別銘柄が売られる。極々限られたプレーヤーによる自作自演のようにも映ります。
先物主導で個別株が売買されることはかねてからありましたが、今年、東証にアローヘッドが導入されて以来、そうしたプレーヤーのはびこり度合いが一段と強くなった感は否めません。
こんな状況下、“その他モロモロ”の人はどうすればいいか。
この際、場中は無視、というのもひとつの手ではないでしょうか。
とはいえ、場中は見ないだけで、参加はします。寄りでポジションをとって大引けで手仕舞う、その間は無視している、というトレードです。
おそらく、特定の複数銘柄や225先物を日々ウォッチしている方の中には、「前日の引値よりも高く寄り付くと売られ、安く寄り付くと買われる傾向があるんじゃないか」と感じている向きも少なくないと思います。
実際にどうなのでしょうか。
そこで、「前日引値より高く寄り付いたらショート」「前日引値よりも安く寄り付いたらロング」という、前日引値に対する寄り付き方に逆張りの売買をしたらどういうパフォーマンスが出るのか、全上場銘柄について調べてみました(データ期間:03年4月から10年9月末)。
すると、実に全体の約8割の銘柄は、このトレードで累積パフォーマンスがプラスという結果になりました。今年度上半期(4月〜9月末)の短期の検証では、6ヶ月間の累積パフォーマンスが30%超という銘柄が全体の4分の1にのぼるのです。
銘柄によって程度の差はあるとしても、「高寄りすると売られる」「安寄りすると買われる」という傾向は、確かにある、と言って差し支えなさそうです。
このシミュレーション結果を個別に見てみると、パフォーマンスの数字もさることながら、他のテクニカル指標をシグナルとした売買シミュレーションに比べると、パフォーマンスの推移が安定的な銘柄が多いような印象があります。
<図1>
図1はショーボンドHD(1414)の累積パフォーマンスの推移です。07年後半から19年にかけてパフォーマンスが伸び悩んだ時期はありましたが、総じてみれば堅調な右肩上がりを描いています。ちなみに、期間中の最悪ドローダウンは20%台前半でした。
<図2>
ショーボンドHDよりはやや最悪ドローダウンが高くなりますが、この銘柄もなかなか良好な推移ではないでしょうか。
パフォーマンスと安定度の両面で好結果だったのがセイノーHD(9076)です。
<図3>
最悪ドローダウンは、図1で見たショーボンドHDよりも低い水準です。
ちなみに、この銘柄に限らず、運輸セクターにはこの“寄り付き方に逆張り”の売買が有効な例が散見されます。
セクターとしては、食品セクターもその傾向が確認されます(ただし、食品セクターには場中の値動きが小さいものが多く、小口サイズで実践する場合には難しいかもしれません)。
図3のセイノーHDの結果はかなり注目できるものだと思いますが、ただ、今年に入ってからで言うと、パフォーマンスはちょっと停滞気味です。
トータルの数字はともかく、直近パフォーマンスを伸ばしている銘柄を探してみました。
<図4>
横浜ベイスターズの引き受け手として注目されている住生活グループ(5938)です。とくに08年後半(リーマンショックの頃)から急速にパフォーマンスをあげていることがわかります。過去2年でいえば、トータル180%近い累積益です。
<図5>
ブリヂストン(5108)の場合は、04年半ばから06年末までは非常にきれいな推移を描いていたものの、その後09年初めまで荒れた様相になっていましたが、それ以降は再びきれいな推移となっています。
この銘柄は225採用銘柄ですが、225先物自体が「高寄りすると売られ、安寄りすると買われる」傾向があります。その動きに影響されている部分があるのかもしれません。
225先物の動きについて言えば、高寄り・安寄りを決める最大と言ってもいい要因は、米国市場の動向(および、それに連れて動くケースが多いシカゴの先物の動向)です。
この点を勘案して、「米国市場が前日比上昇かつ高寄りの場合はショート」「米国市場が前日比下落かつ安寄りの場合はロング」というふうに、米国市場の上昇下落というフィルターをつけてみたらどうでしょうか。
<図6>
累積パフォーマンスの数字自体は図5で見たものとほとんど変わりませんが、フィルターをかけた分トレード回数は減り、1トレードあたりの利益は向上しています。
また、最悪ドローダウンも、図5の検証では31.9%だったのに対して、こちらは18.4%と大幅に改善しています。
インデックスプレーヤーが主役となっている昨今ですが、やれることはありそうです。