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【FOCUS】「震災直後の安値」に迫る瀬戸際銘柄

2011年3月15日の安値「8227円」が意味するもの

4月、5月とひどい売られ方をしてきた日経平均株価ですが、6月4日の8238.96円でひとまず「目先反転か」という声も出てきています。とはいっても、SQ日の日経平均先物の下げ方たるや、あれは何なのでしょうか。あのような動きを見ると、「まだ下があるのではないか」との印象も否めません。

この6月4日の安値が目先の底なのかどうかは、もちろん後々にならないと判断できません。ただ、「8238.96円」という株価水準は、大震災直後の3月15日の安値「8227.63円」とほぼ同水準である点は、ひとつの注目点といえます。

テクニカル分析の大前提のひとつに「市場の動きは全てを織り込んでいる」というものがあります。市場の動き(株価、出来高、信用建玉など)は、業績や景気動向をはじめ、政治的要因も、市場参加者の心理も、自然災害や社会的事件、その他もろもろ、「全て」の要因を織り込んだ結果である、という前提です。

もちろん、これは「株価は、大震災や原発の爆発が起きることを事前に予知して動いていた」ということではありません。市場の動きとは何かといえば、需要(買い手)と供給(売り手)の力関係の結果です。需要が供給を上回れば価格は上がり、供給が需要を上回れば価格は下がります。市場は、大震災が起こることなど予知はしていませんでしたが、大震災が起きると、直ちに供給が需要を大幅に上回るという形で「大震災」を織り込む動きとなり、「8227.63円」まで株価が急落したわけです。

そして、8227.63円という株価水準で下げ止まって上昇に転じました。つまり、8227.63円は需要が供給を上回った株価水準ということです。

ということは、震災前、日経平均株価は1万円を超える水準にありましたが、実は、「8227.63円」という水準まで株価を下げるくらいの潜在的な供給圧力が存在していて、それが大震災という突然の事態によって噴出した、とも解釈できます。これは、潜在的な供給圧力を飲み込み得る需要が存在する株価水準が「8227.63円」だった、ということでもあります。

そうすると、もし、株式市場の価値が大震災当時と比べて毀損していない、需要も増えていないが供給圧力も増えていないとすれば、その後、株価が下がった場合でも8227円程度までだろう、という予測ができます。これが、テクニカル分析における予測の基本型です。

実際にその後どうなったかというと、11年11月25日に8135.79円という安値をつけています。「8227円」を割り込んでしまってはいますが、とはいえ、8227円を割り込んでから下げが加速したという動きではありません。大震災直後よりも明らかに市場の環境が悪化し、供給圧力が増していたならば、あの程度の安値では済まなかったはずです。とすると、少なくとも昨年までの時点では、潜在的な供給圧力は8200円前後の水準まで、と考えられます。

現時点の日経平均株価がその水準に来ています。昨年と比べて市場の価値が毀損していない、市場参加者のセンチメントが大震災当時と比べて著しく悪化していないのであれば、この水準から株価が大きく下げる可能性は高くはない、と予測されます。

果たしてどうなのでしょうか。先行きのことはわかりませんが、需給が悪化していないのであれば、この水準辺りで下げ止まって反発する、需給が悪化していれば、この水準を割り込んで下げが加速する、という2つのシナリオを描くことはできます。後者のシナリオになった場合には「即、撤退」を確実に実行するのであれば、この水準で逆張り的な買いも検討してよいかもしれません。あるいは、後者のシナリオが現実化したところで、順張りのショートというやり方もあります。


大震災直後の安値水準に迫っている銘柄の例

個別銘柄の昨年来の値動きを見てみると、大震災直後の安値が最安値となっていて、まさに現在、その水準スレスレまで株価が下がっている銘柄が少なくありません。

表1:震災安値に迫る銘柄リスト
コード 銘柄名 6/8 引値 震災安値 2011年
1332 日本水産 207 203 3/15
7756 日本電産コパル 775 756 3/17
9432 日本電信電話 3305 3220 3/15
8793 NECキャピタルソリューション 916 889 3/15
7739 キヤノン電子 1660 1608 3/15
5451 淀川製鋼所 282 273 3/15
4116 大日精化工業 307 297 3/15
6023 ダイハツディーゼル 259 250 3/15
8367 南都銀行 313 302 3/15
3036 アルコニックス 1402 1352 3/15
8332 横浜銀行 352 339 3/15
6436 アマノ 635 610 3/15
8418 山口フィナンシャルグループ 627 600 3/15
8078 阪和興業 285 272 3/15
2607 不二製油 1012 964 3/15
3941 レンゴー 435 414 3/15
8282 ケーズホールディングス 1895 1801 3/15
2327 新日鉄ソリューションズ 1354 1280 3/15
7988 ニフコ 1781 1679 3/14
5007 コスモ石油 191 180 3/15
8905 イオンモール 1571 1480 3/15
8343 秋田銀行 204 192 3/15
2810 ハウス食品 1248 1174 3/15
7581 サイゼリヤ 1172 1101 3/15
1379 ホクト 1598 1500 3/15
3333 あさひ 1140 1070 3/15
4022 ラサ工業 80 75 3/15
1969 高砂熱学工業 604 566 3/15
2002 日清製粉グループ本社 880 824 3/17
4401 ADEKA 646 604 3/15
8331 千葉銀行 442 413 3/15
8173 上新電機 768 717 3/17
8342 青森銀行 225 210 3/15
2897 日清食品ホールディングス 2925 2730 3/15
6504 富士電機 178 166 3/15
9433 KDDI 494000 460500 3/15
5301 東海カーボン 335 312 3/15
8361 大垣共立銀行 241 224 3/15
2670 エービーシー・マート 2746 2550 3/15
4023 クレハ 312 289 3/15
2201 森永製菓 174 161 3/15
9022 東海旅客鉄道 623000 575000 3/15
1377 サカタのタネ 1062 980 3/15
5715 古河機械金属 64 59 3/15
7984 コクヨ 549 506 3/15
8248 ニッセンホールディングス 352 324 3/15
8097 三愛石油 339 312 3/15
8354 ふくおかフィナンシャルグループ 284 261 3/15
1515 日鉄鉱業 295 271 3/15
5186 ニッタ 1243 1141 3/15
6454 マックス 901 825 3/15
4665 ダスキン 1464 1340 3/15
9936 王将フードサービス 1850 1691 3/15
7516 コーナン商事 985 900 3/15
3092 スタートトゥデイ 1040 949 3/15
3106 クラボウ 137 125 3/15
8252 丸井グループ 549 500 3/17
6457 グローリー 1490 1355 3/15
4461 第一工業製薬 220 200 3/15
4041 日本曹達 285 259 3/15
2001 日本製粉 333 302 3/15
9684 スクウェア・エニックス・HD 1182 1070 3/15
9064 ヤマトホールディングス 1223 1107 3/17
2215 第一屋製パン 73 66 3/15
8184 島忠 1595 1442 3/15
5108 ブリヂストン 1666 1506 3/15
7013 IHI 155 140 3/15
9302 三井倉庫 278 251 3/15
1334 マルハニチロホールディングス 113 102 3/15
3864 三菱製紙 71 64 3/15
9076 セイノーホールディングス 517 466 3/15
5947 リンナイ 4940 4450 3/15

昨年の安値水準を辛うじてでも割り込んでいない銘柄は、少なくとも現時点まで、株式の価値が大きく毀損していたり、供給圧力が大幅に増えているわけではないとも捉えられます。

いくつか例を見てみましょう。

これらの銘柄例に限らず、ここから反発するにしても、昨年安値を割り込むにしても、この水準でしばらくもみ合う動きになる可能性もあります。売買を急ぐ局面ではないと思われるので、市場全体がどう動くかを見据えつつ、逆張り的な買い出動か、順張りの売り出動か、じっくり検討してみてください。



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