2014年の大発会から2週間。年明け早々、米国をはじめ海外市場が軟調となったことから、日経平均株価はてんで冴えないスタートとなってしまいました。が、市場全体に良からぬムードが漂っているかといえば、年末時点ではやや微妙な感はあったものの、年が明けてみると、そう悪いことにはなっていないようです 。
図01は、昨年12月以降の各株価指数の動きです。これを見ると、12月半ばから年内受け渡し最終日の25日までと、それ以降の動向が明らかに違うことがわかります。12月25日までは、日経平均株価が強い動きをしていたのに対して、2部・新興市場の指数はそれ以前の流れがそのまま続いてダラダラ下げる展開でした。それが26日を境に形勢一転。2部・新興市場の指数は憑きモノが落ちたかのように急発進し、軟調と化した日経平均株価を後目に年明け以降も着々と上値を伸ばしています。日経平均株価は弱い中にありながらも、揚々たる年明けを迎えた投資家も少なくなさそうです。
では、どんな銘柄がいい年末年始をもたらしてくれたのか。12月26日の寄値から、その後の高値までの上昇率が75%超の銘柄をリストアップしてみました。
コード | 銘柄名 | 業種 | 12/26 寄値 |
高値 | 日付 | 高値まで の上昇率 |
---|---|---|---|---|---|---|
6955 | FDK | 電気機器 | 96 | 282 | 1/9 | 193.8 |
7567 | 栄電子 | 卸売業 | 162 | 462 | 1/15 | 185.2 |
6400 | 不二精機 | 機械 | 104 | 284 | 1/16 | 173.1 |
6941 | 山一電機 | 電気機器 | 230 | 627 | 1/17 | 172.6 |
5121 | 藤倉ゴム工業 | ゴム製品 | 660 | 1750 | 1/9 | 165.2 |
7824 | オプトロム | その他製品 | 11 | 28 | 1/10 | 154.5 |
3444 | 菊池製作所 | 金属製品 | 1395 | 3390 | 1/17 | 143.0 |
6433 | ヒーハイスト精工 | 機械 | 147 | 356 | 1/15 | 142.2 |
6487 | 積水工機製作所 | 機械 | 135 | 326 | 1/17 | 141.5 |
5781 | 東邦金属 | 非鉄金属 | 86 | 202 | 1/10 | 134.9 |
6881 | キョウデン | 電気機器 | 139 | 323 | 1/10 | 132.4 |
3772 | ドリームバイザー・ホールディ | 情報・通信 | 71000 | 164600 | 1/15 | 131.8 |
3837 | アドソル日進 | 情報・通信 | 705 | 1600 | 1/7 | 127.0 |
7502 | プラザクリエイト | サービス業 | 1200 | 2650 | 1/8 | 120.8 |
6993 | アジアグロ−スキャピタル | 電気機器 | 134 | 293 | 1/17 | 118.7 |
6669 | シーシーエス | 電気機器 | 189000 | 413000 | 1/17 | 118.5 |
6937 | 古河電池 | 電気機器 | 561 | 1220 | 1/9 | 117.5 |
2307 | クロスキャット | 情報・通信 | 300 | 650 | 1/17 | 116.7 |
6327 | 北川精機 | 機械 | 130 | 276 | 1/16 | 112.3 |
6855 | 日本電子材料 | 電気機器 | 359 | 757 | 1/15 | 110.9 |
1992 | 神田通信機 | 建設業 | 126 | 265 | 1/17 | 110.3 |
6150 | タケダ機械 | 機械 | 135 | 281 | 1/16 | 108.1 |
6647 | 森尾電機 | 電気機器 | 137 | 284 | 1/15 | 107.3 |
3524 | 日東製網 | 繊維製品 | 125 | 258 | 1/16 | 106.4 |
2159 | フルスピード | サービス業 | 954 | 1937 | 1/15 | 103.0 |
4026 | 神島化学工業 | ガラス・土石製品 | 270 | 538 | 1/8 | 99.3 |
3666 | テクノスジャパン | 情報・通信 | 2873 | 5710 | 1/17 | 98.7 |
2345 | システム・テクノロジー・アイ | 情報・通信 | 630 | 1249 | 1/10 | 98.3 |
4752 | 昭和システムエンジニアリング | 情報・通信 | 857 | 1680 | 1/6 | 96.0 |
3150 | グリムス | 卸売業 | 715 | 1400 | 1/17 | 95.8 |
6088 | シグマクシス | サービス業 | 5340 | 10430 | 1/8 | 95.3 |
6323 | ローツェ | 機械 | 430 | 815 | 1/15 | 89.5 |
9514 | ファーストエスコ | 電気・ガス業 | 565 | 1068 | 1/16 | 89.0 |
6666 | リバーエレテック | 電気機器 | 601 | 1134 | 1/9 | 88.7 |
3328 | ネットプライスドットコム | 小売業 | 89500 | 168000 | 1/17 | 87.7 |
6907 | ジオマテック | 電気機器 | 1051 | 1965 | 1/10 | 87.0 |
6255 | エヌ・ピー・シー | 機械 | 230 | 430 | 1/14 | 87.0 |
3187 | サンワカンパニ− | 小売業 | 4530 | 8360 | 1/17 | 84.5 |
7777 | スリー・ディー・マトリックス | 精密機器 | 2840 | 5160 | 1/17 | 81.7 |
3113 | Oak キャピタル | 証券業 | 133 | 241 | 1/16 | 81.2 |
6340 | 澁谷工業 | 機械 | 1720 | 3080 | 1/10 | 79.1 |
9765 | オオバ | サービス業 | 212 | 375 | 1/14 | 76.9 |
8789 | フィンテック グローバル | その他金融業 | 5210 | 9200 | 1/15 | 76.6 |
2405 | フジコー | サービス業 | 522 | 920 | 1/17 | 76.2 |
小型株に短期爆上げ銘柄が続出しています。
このリストを一見して感じるのは、ふつう、この種のリストといえば、銘柄名がカタカナの新興株が多いものですが、このリストは漢字がやたらと目立つ、ということではないでしょうか。このリストの銘柄に限らず、たとえば2部・JASDAQ市場の高値更新銘柄を見ても、やはり漢字系の銘柄名が目につきます。どうやら、小型株の中でも社歴の長い、シブめの銘柄が人気を集めている模様です。
1月17日に過去1年来の高値を更新した2部上場銘柄の一例です。
図01のチャートに現れている通り、インデックスの中で2部指数がとりわけ好トレンドです。派手さのない銘柄が多い市場ですが、それが故に指数の動きがよいという見方もできます。現状、短期で値幅を狙いにいくとすれば、この辺りを意識しておくのがポイントのひとつかもしれません。
一方、好ましくない年末年始となってしまった銘柄も見てみましょう。
コード | 銘柄名 | 業種 | 12/26 寄値 |
1/17 引値 |
1/17まで の騰落率 |
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3739 | コムシード | 情報・通信 | 878 | 561 | -36.1 | |
4798 | エル・シ−・エ−ホ−ルディン | サービス業 | 6 | 4 | -33.3 | |
1429 | 日本アクア | 建設業 | 3825 | 3060 | -20.0 | |
6836 | ぷらっとホーム | 電気機器 | 1290 | 1033 | -19.9 | |
3679 | じげん | 情報・通信 | 1960 | 1571 | -19.8 | |
6085 | ア−キテクツ・スタジオ・ジャ | サービス業 | 4650 | 3750 | -19.4 | |
6084 | オウチ−ノ | サービス業 | 6000 | 4850 | -19.2 | |
3662 | エイチーム | 情報・通信 | 7650 | 6340 | -17.1 | |
3843 | フリービット | 情報・通信 | 2110 | 1764 | -16.4 | |
4777 | ガーラ | 情報・通信 | 258 | 220 | -14.7 | |
9983 | ファーストリテイリング | 小売業 | 44800 | 38630 | -13.8 | |
3723 | 日本ファルコム | 情報・通信 | 1210 | 1057 | -12.6 | |
3294 | イ−グランド | 不動産業 | 4505 | 3940 | -12.5 | |
6086 | シンプロメンテ | サービス業 | 1994 | 1754 | -12.0 | |
7992 | セーラー万年筆 | その他製品 | 52 | 46 | -11.5 | |
7836 | アビックス | その他製品 | 193 | 173 | -10.4 | |
4704 | トレンドマイクロ | 情報・通信 | 3715 | 3350 | -9.8 | |
3622 | ネットイヤーグループ | 情報・通信 | 3250 | 2933 | -9.8 | |
5901 | 東洋製罐グル−プホ−ルディン | 金属製品 | 2216 | 2002 | -9.7 | |
2724 | インスパイアー | 卸売業 | 582 | 526 | -9.6 | |
3810 | サイバーステップ | 情報・通信 | 2288 | 2075 | -9.3 | |
6954 | ファナック | 電気機器 | 19210 | 17435 | -9.2 | |
3863 | 日本製紙 | パルプ・紙 | 2010 | 1832 | -8.9 | |
3083 | シーズメン | 小売業 | 905 | 825 | -8.8 | |
8697 | 日本取引所グル−プ | その他金融業 | 2987 | 2725 | -8.8 | |
3664 | モブキャスト | 情報・通信 | 1332 | 1217 | -8.6 | |
2121 | ミクシィ | サービス業 | 7500 | 6860 | -8.5 | |
6767 | ミツミ電機 | 電気機器 | 891 | 816 | -8.4 | |
8508 | Jトラスト | その他金融業 | 1460 | 1339 | -8.3 | |
3046 | ジェイアイエヌ | 小売業 | 4425 | 4075 | -7.9 | |
9301 | 三菱倉庫 | 倉庫・運輸関連業 | 1649 | 1520 | -7.8 | |
3291 | 飯田グル−プホ−ルディングス | 不動産業 | 2129 | 1963 | -7.8 | |
3110 | 日東紡 | ガラス・土石製品 | 540 | 498 | -7.8 | |
4316 | ビーマップ | 情報・通信 | 1640 | 1515 | -7.6 | |
4585 | UMNファ−マ | 医薬品 | 3740 | 3455 | -7.6 | |
8692 | だいこう証券ビジネス | 証券業 | 991 | 916 | -7.6 |
12月26日の寄値から1月17日の引値までの騰落率の低い銘柄です。12月26日以前の段階で大上昇していた新興株が多いのですが、225採用(銘柄名が太字)の、それも寄与度の高い銘柄も複数入っています。ファーストリテイリングやファナックの寄与度の高さはよく知られていますが、トレンドマイクロや東洋製罐、三菱倉庫なども比較的寄与度の高い銘柄です(東洋製罐や三菱倉庫については、『「先物主導」「高速取引」に翻弄されない 本気の<株>再入門』の中でその役割を紹介していますが、宝HDやミツミ電機もその仲間銘柄です)。日経平均株価が年初からなかなか上がらない、下げるときには大きく下げる、という状況になっているのは、結局、このリストに入っている225採用銘柄の値動きによるところが多分にある、というわけです。
日経平均株価が右往左往の動きを続けている背景がわかったところで、今度は、これを売買に活かすことを考えてみましょう。
たとえば、トレンドマイクロの株価を調べてみると、「225先物が上昇した翌日は値下がりする」「225先物が下落した翌日は値上がりする」という、225先物の値動きに逆張り的な値動きをする傾向があります。
図04は、「225先物が前日比上昇ならばトレンドマイクロを大引けで買い」「225先物が前日比下落ならばトレンドマイクロを大引けで売り」という225先物の上げ下げをシグナルにした順張り売買を検証してみた結果です。累積パフォーマンスは右肩下がり。つまり、「225先物が上がったら、この銘柄を売る」「225先物が下がったら、この銘柄を買う」という、この検証とは正反対の逆張りポジションを取れば、累積パフォーマンスの推移は右肩上がりになる、ということです。
そこで、この銘柄とは対照的に、225先物に順張り型の値動きをする(つまり、225先物が上がると翌日値上がりする、225先物が下がると翌日値下がりする)傾向がある銘柄と、この銘柄を組み合わせてみます。
図05の緑のグラフが、T&Dホールディングスを「225先物が上がったら買い」「225先物が下がったら売り」という、225先物をシグナルにした順張り売買をする一方で、トレンドマイクロは逆のポジションを取るという組み合わせ売買の検証結果です。要するに、225先物をシグナルにしたT&Dホールディングスの順張りポジションをトレンドマイクロでヘッジする形ですが、T&Dホールディングス単独の売買よりも、ヘッジをつけたほうがパフォーマンスは向上しています。
トレンドマイクロという銘柄は “ヘッジ役”してかなり使える銘柄で、T&Dホールディングス以外にも同様の組み合わせ売買が有効と見られる銘柄が少なからずあります。具体的にどんな銘柄のヘッジに向いているのか。ヘッジする相手方の銘柄を探すときには、『株テクニカル情報』を参考にしてみてください。ポイントは3つあります。
です。
以前、当欄でも紹介したように、2部指数は日経平均株価に先行して動く傾向があります。その2部指数はいま高値をどんどん更新している、ということは、いずれは日経平均株価も上向くだろう、という予測もできるわけですが、ただ、そうなるにしても、しばらく時間を要さないとも限りません。仮に、日経平均株価が現状のような動きを続けた場合には、この「トレンドマイクロでヘッジする」策を検討してみてはどうでしょうか。先物に引っ張られて個別銘柄が売り込まれる展開になっても、利益を確保する一策になると思います。
ところで、株価指数と個別銘柄の関係については、この年始にひとつ新しい注目材料が登場しています。日本証券取引所グループと日本経済新聞社が共同開発した「JPX日経インデックス400」の算出・公表がスタートしたことです。
既にこの新指数に連動する投資信託が設定されているほか、1月28日にはETFが2本上場します。さらに、真偽のほどはまだ不明ですが、年金資金のベンチマークとしてこの指数を採用するとか、現在TOPIX運用されている日本株資金が、この指数運用に切り替わるといった話も出ています。となれば、どんな銘柄が指数に対して高い寄与度なのか、TOPIXや日経平均株価とどう違うのか等々、無関心ではいられない要素も多々出てきます。
この新指数に関しては、現在、日経平均株価やTOPIXとの比較も含め、データをまとめています。近日中にフォロー情報でお知らせしますので、いましばらくお待ちください。
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