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【Sell in May】アノマリーにはアノマリーで対抗する策

本当に5月の相場は弱いのか。「Sell in May」を検証する

毎年5月の連休が近づくと、株関連のメディアなどに「Sell in May」の話がよく登場します。要するに、5月の相場は弱いから売れ、という経験則による相場格言のようなものですが、実際のところ、5月というのは相場が軟調になりやすい時期なのでしょうか。2009年以降のデータを検証してみました。

図1は、日経平均株価について、09年以降の毎年4月1日を起点に、6月末までの日々の騰落率を積み上げた数値をチャート化したものです。“リーマン・ショック”が落ち着いて反発に転じた09年を除けば、確かに「Sell in May」。5月に売るのが正解、という結果になっています。

とはいえ、10年、11年、12年は連休明けから売られるという似た動きではあるものの、13年はだいぶ様相が異なっています。連休明けは「Sell in May」どころか、「Super Stong Buy!!」のような極めて強い展開。結果的には、その強い動きも5月22日を以て逆流することとなりましたが、連休明けの軟調相場を予想して空売りをしていた人は、超絶踏み上げ状態で真っ青になったことでしょう。

それにしても、なぜ「Sell in May」などと言われるのでしょうか。

根拠が定かではない規則的な動きはアノマリーと称されますが、こうした規則性に全く根拠がないのか、と言えば、そうとも言い切れません。たとえば、5月は、3月期決算企業の納税時期に当たります。その資金準備として、保有する株式を売っておく、という動きもあるでしょう(米国の「Sell in May」には当てはまりませんが)。あるいは、「連休中に海外旅行に行っていた日本人が帰国する→外貨を円に戻す→円高要因→日本株のマイナス要因」という指摘をする人もいます。こうした要因だけで株式市場全体が動くことは考えがたいとしても、それを材料的に捉えて株を売る(あるいは、円を買う)動きが出やすいのかもしれません。

大型連休で日本人が休んでいる間に海外市場で悪材料が出て、連休明けにまとめて売り物が出てくることもしばしばあります。5月に売られやすいという具体的な背景はともかくとして、「売りが売りを誘う」ということもありますから、「そうした動きが出やすい」というアノマリーは、やはり意識しておいたほうがよさそうです。


「5月に下がりやすい銘柄」「6月に上がりやすい銘柄」に目を付ける

今年の連休明けはどんな展開になるのか。もちろん、現段階ではわかりませんが、ただ、過去の動きをみると、4月の相場が冴えなかった年は連休明けに売られやすいような印象があります。今年もそうだとすれば、連休明け以後はネガティブ予測にならざるを得ません。

では、そのネガティブ予測に対応するにはどんな策があるのか。ひとつとしては、ヘッジとして225先物や日経平均連動型のETFを売っておく方法が考えられますが、仮に、予想に反して市場全体が強い展開になった場合には、当然ながらヘッジ損を余儀なくされます。最悪のパターンは、「日経平均株価および主力銘柄は上昇しているのに、主力以外の個別株はさほど上がらない」、もしくは「日経平均株価や主力銘柄はさほど下がっていないのに、主力以外の個別株はガンガン売られている」という状況です。今日、このような状況は決して希なことではありません。

そこで第二の策。市場全体の影響とは別の要因によって「5月は下がりやすい」傾向がある銘柄を売っておくことです。

図3はロックフィールド(2910)の例ですが、この銘柄の過去の月別の値動きを調べてみると、4月・5月に下がりやすい傾向がかなりはっきり現れます。確かに、日経平均株価が連休明けも好調だった09年や13年もさほど上がらず、日経平均株価が「Sell in May」となった10年、11年、12年はアノマリー通りに下げていることがわかります。

もう少し積極的な策としては、たとえば、市場全体の影響をものともせずに「5月に上がりやすい」傾向がある銘柄を買うことが考えられます。

図4のB−Rサーティワン・アイスクリームは、3月・4月・5月に上がりやすい傾向がある銘柄です。こうした値動きの傾向、アノマリーが確認される銘柄を買い、先の例のような「5月に下がりやすい」アノマリーが確認される銘柄を売っておく、という組み合わせ売買も考えられます。

「売られやすい5月」を逆手に取るならば、5月に株価が下がったときに「6月に上がりやすい」傾向が強い銘柄を安く買っておく策もアリでしょう。

図5のソーバル(2186)は、3月から7月にかけて「上がりやすい」傾向が確認される銘柄です。5月に安いところがあったときには買い候補として注目しておくのもよいかもしれません。

ここであげた3銘柄が、なぜ5月や6月に「下がりやすい」「上がりやすい」傾向があるのかというと、そのアノマリーを生じさせる主因と見られるのは、株主の権利確定、おそらく株主優待の権利です。株主優待を実施している銘柄の中には、その権利確定月を明らかに意識していると目されるアノマリーのある例が、この3銘柄の他にも多数あります。そうした銘柄のアノマリーは、市場全体のアノマリーのヘッジ策としても、また、逆利用する策としても活用できます。

5月以外でも、たとえば9月・10月のように、「市場全体が売られやすい」とされる月があります。その月に「下がりやすい」傾向がある銘柄を売っておく、その月または翌月に「上がりやすい」銘柄を買っておく、といったアノマリー対策を検討してみてはどうでしょうか。




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