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【日経225】東証再開後2位記録「年足5連陽」はあるか

1万9000円のレジスタンスに到達すれば年足陽線もあり得る

あんな人がアメリカの大統領になったらもう世界は終わりだ、とばかりに、日経平均株価が場中1000円以上もの爆落を演じた11月9日。あのトランプ・ショックなるものは一体何だったのでしょうか。場が引けてみれば、ドル円は急騰。ナイトセッションの225先物は1000円爆上げ。翌日から日経平均株価は上がる上がる。4月高値のレジスタンス1万7600円処をあっさりとブレイクして、いまや1万8000円に乗っているではありませんか。まず絶好の買い場を創出し、直後、短期間でこれだけ日本株を上げてくれるとは。米国次期大統領は実に有り難い人物ではないでしょうか。

トランプ氏の掲げた減税と積極財政出動を先取りする形で、米国の金利上昇はいまなお進行中。連れてドル高基調も続いています。となると、中間期決算で円高ドル安要因によって減益見通しを余儀なくされた銘柄も、一転して上方修正となる期待が浮上してきます。1万8000円処のレジスタンスに到達した日経平均株価はまだ上に行く可能性がある、という見方も決して大風呂敷ではないでしょう。

ここから先、日経平均株価のレジスタンスになると目されるのは、まず1万8500円処。15年のサポート水準であり、それが今年1月にブレイクされてレジスタンスに機能が逆転したと見られる位置です。

その上は、今年の大発会高値の1万8951円。ここから市場急落が始まり、2月と6月に1万5000円割れまで株価が下げています。この大発会が今年の最高値で、そこから最安値まで4000円もの下落幅ですから、米国の次期大統領がトランプ氏でなければ、今年の年足はほぼ間違いなく陰線で終わったことでしょう。ところが、トランプ氏当選によって、どうなるかわからなくなりました。

もし、このレジスタンスまで上昇して1万9000円台に乗せて大納会となったとしたら、今年の年足は陽線です。まさか今年の年足が陽線になるなどとは、少なくとも数ヶ月前までは想像もしなかったのではないでしょうか。


重大な歴史的意義を持つ「年足5本連続陽線」

今年の年足が陽線だとすれば、2012年から5連続の年足陽線ということになります。年足の5本連続陽線と言えば、1949年の東証取引再開以来、78年から89年までの12本連続に次ぐ記録。バブルに向かっていったこの時期を除けば4本連続が最高で、5本連続が達成されたことは過去にありません。

4本連続だろうが、5本連続だろうが、大した違いではない、という気がするかもしれません。しかし、過去に起きたことがなかったことが起きたとすれば、それは非常に大きな変化を示唆するシグナルです。この点が非常に重要です。

たとえば昨年、日経平均株価は前回の上昇相場の高値を超えて、2万952円まで上昇しています。これは、90年以降一度もなかったことです。これによって、25年来継続してきた超長期のベアトレンドが終わった可能性が示唆されました。

次いで今年、年足の5本連続陽線という、90年以降どころか、78年からの12年を除けば戦後復興の高度経済成長時代にすら起きなかったことが起きたとすれば、後生「あの2015年と16年が日本株市場の歴史的な転換点だった」となるかもしれません。もしかすると、今年の年足陽線が、12本連続の最長記録を破る狼煙だった、ということにならないとも限りません。と、ここまで言うのは少々大袈裟ですが、5本連続が実現しなければ、12本連続は100%あり得ないことだけは間違いありません。

そうした歴史的転換点になる可能性もある、という意味で、これから年末にかけて日経平均株価がどういう動きをするのか。年足陽線になるか否かを注視したいと考えています。


1万8500円処のレジスタンスはそう堅くもない?

もっとも、現在の株価から1000円も高い1万9000円に乗せて年を引けるというのは、可能性としては高くはないかもしれません。ただ、需給面を見ると、1万9000円乗せのフォローになると思われる要因がいくつかあるのは確かです。

まず、先述したように、1万9000円の下に1万8500円前後というレジスタンスがありますが、これは意外と堅くない可能性があります。

そもそも、かつてのサポートがブレイクされた後にレジスタンスに逆転するという根拠は、今回もそこで下げ止まるだろうと思って買ったところが、下げ止まらなかったことによって、その水準にしこり玉が集まっていると考えられることにあります。しかし、1万8500円処という15年中のサポート水準は、今年の大発会の急落でどーんとあっという間にブレイクされていますから、「ここで下げ止まるだろう」と予想して買った人はおそらくそう多くはないと見られます。

しこり玉が集まっているとすれば、1月21日にいったん下げ止まって再上昇した後、とくにマイナス金利導入が発表された直後の1月末から2月初の戻り高値の近辺、1万8000円手前の水準でしょう。しかし、もうこのレジスタンス水準には到達しています。現状、「ようやくここまで戻ってくれた」というヤレヤレの売りはそれ相応に出ているとは思われますが、その売り物に押されて大幅下落する状況にはなっていません。この戻り高値の時期に信用取引で買った人ならば、6か月後の期日、7月後半から8月初までの間に処分しているはずですから、その売り圧力はもはやありません。

そうすると、現状の1万8000円処のレジスタンスではどうも押し戻されそうもない。となれば、いずれ上抜けするしかありません。上抜けすれば、次のレジスタンス1万9000円処まで、「待ってました」という売り物はさほど出てこない。というわけで、大納会まで1か月少々ですが、それまでに1万9000円に乗せる。かくして年足陽線達成というシナリオも描けます。


225銘柄は引き続き売り長状態。株価押し上げ潜在力は十分ある

需給面のもうひとつの追い風は、225採用銘柄の貸借倍率です。以前にも取り上げたことがありますが、売り長状態はいまだに続いています。11月18日時点の日証金残高は、融資残610億円に対して貸株残が1718億円。巨大時価総額のメガバンクにも逆日歩がつく日があったりします。

かねてからのショート参加者の中には、“トランプ・ショック”で大幅下落した際に手仕舞った向きもかなりあると思われますが、それでも売り長状態が続いていることからすると、このとき改めてショートに出た参加者もいると見られます。ところが、直後からまさかの急反発。日経平均株価はあれよあれよという間に1万8000円超えです。

この1万8000円というレジスタンスに到達したところで、またまた新規ショート、あるいは売り増しが出ている模様です。結局のところ、売り物が多そうな1万8000円処のレジスタンス水準に達しても株価が下がらないのは、多少株価が下がるとちょこちょこ買い戻しているショート参加者がいるからではないでしょうか。

これで1万8500円を軽く飛び越え、1万9000円が視野に入ってきたらどういうことになるのか。これは大いに期待したい、年足陽線に向けてのポテンシャルと言えます。

もちろん、こうした需給要因が株価の押し上げにどれだけ寄与するのかはわかりませんが、売買スタンスを考えるならば、少なくとも、そう簡単には下がらない。下げれば戻す。ともすれば1万9000円もあり得る。という想定で目下のところはよいのではないかと思います。

たとえば、以前も当欄で紹介した日経平均株価連動のベア2倍型のショートは引き続き有効策でしょう。ちなみに、11月に入って株価がやや弱い動きを見せてからトランプ安値まで、ベア2倍型の売り上がりを実践していた人はいまウハウハのはずです。

個別銘柄においては、貸借倍率が要注目ポイントのひとつです。時価総額の大きい銘柄ですら逆日歩がついている昨今、利益の上乗せが期待できる銘柄が少なくありません。


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