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【マザーズ市場】「高値期日」のアク抜けで復活期待が浮上

市場全体が高値をつけた時期に着目してみる

前レポートで、日経平均株価の年足陽線を達成するうえでの需給的な追い風について述べました。需給面での要因から市場の先行きを予測する場合には、日経平均株価をはじめとする株価指数が高値をつけた時期に着目すると、また違った視点が得られることがあります。というのは、株価指数が高値圏にある時期、市場全体が強気ムードにある中では、当然ながら強気スタンスで臨んでいる人が大多数だからです。

ところが、その時期が天井でそこから市場全体が下げっぱなしになれば、利益を拝めた時間はほとんどゼロで塩漬け状態。信用取引で超強気の買い出動していた人ともなれば、途端に追い証、ともなりかねません。追い証を払いながら信用期日の6か月経っても市場が戻らなければ、否応なくも処分の投げ売りが出る。あるいは、強制売却がなされる可能性もあります。そうした売り物が噴出する高値期日辺りが市場の底打ちになる、という例はしばしば観測されます。

高値期日というと、個別銘柄のほうに関心が向きがちかもしれません。しかし、仮に、ある銘柄が高値をつけて6か月下げっぱなしだったとしても、市場全体が良好ならば、他の銘柄は利益が出ていて、よほどのことがなければ追い証はかからないでしょう。6か月後の期日まで我慢していなくても、他の銘柄の利益で高値づかみした銘柄の損切りをすることも可能です。

市場全体が6か月も下げっぱなしになったとすれば、ほとんどの買い建玉は損失状態です。幸いにも利益が出ている銘柄があるならば、期日ギリギリまで待っても損が解消されない建玉の処分を減らすために、その銘柄も手仕舞い売りする。となると、結局はどの銘柄も投げ売り状態になって、全面安状態にもなってしまいます。それが目先の底になる、というわけです。

よって、高値の時期を意識すべきはまず市場全体。個別銘柄以前にインデックスです。


日経平均株価のしこりはBrexitで大部分が解消された

たとえば、日経平均株価が最高値をつけたのは15年6月24日で、以後8月半ばまで高値圏にありました。概ね2部・新興市場も同じと言ってよいでしょう。

この時期、日経平均株価は2万円を超える水準にあり、次の目標値は2万5000円だ、いや3万円もある、という強気の論調が出ていました。が、そこで買い出動した人はどうなったか。おそらく含み益をほどんと見ることもなく、8月19日からの市場崩落に襲われることになっています。

日経平均株価はひとまず9月29日を底に反発し、年末に向けて戻り基調となりましたが、上値は2万円手前まで。そして16年大発会から市場暴落が再開します。

そうすると、15年の6月〜8月にかけての高値圏で買った信用建玉は、6か月後の期日まで我慢して我慢して我慢して、その挙げ句の果てに市場が暴落する中での手仕舞いをする憂き目を見たことになります。これが16年1月から2月12日までの市場暴落に輪を掛けた可能性があります。

また、15年10月から12月にかけて市場全体が戻り基調にあった局面で、「日経平均株価は2万円を回復するだろう」という強気予測で買い出動した人も相当数いると思われます。このとき信用取引で買った建玉はどうなったか。

16年初からの市場崩落が2月12日を以て反転したとはいっても、日経平均株価の戻り高値の水準ははるかに上。最悪期は脱したと我慢して我慢して我慢し続けたところが、日経平均株価は5月31日を高値に軟調化。挙げ句の果てが6月24日の”Brexit“。このとき日経平均株価がつけた安値は2月12日とほぼ同水準です。この6月の下落もまた、15年12月にかけての戻り高値の信用期日と無関係ではないでしょう。

ただ、日経平均株価は今年の大発会から暴落しているわけですから、高値で買った信用取引の建玉の多くはこのBrexitの段階で処分されたと見られます。実際、日経平均株価は7月初めまでは不安定な動きだったものの、7月10日からそれまでには見られなかった勢いを感じさせる反転上昇となっています。日銀のETF買い入れ増額も非常に大きく影響している面はありますが、8月以降は「下がらない」。非常に強い基調です。

もっとも、日経平均株価が高値にあったときに現物を買っていた人は、期日などはありませんから、塩漬けにしたまま放置プレイ、というケースも少なくないでしょう。その人たちの買値は日経平均株価の2万円前後に相当すると思われます。ということは、「日経平均株価2万円」が見えてくると、その人たちの売り物が次々と出てくる可能性がある。逆に言えば、1万9000円レベルでは、まだその人たちの売り物はそうは出てこない。これもまた、前レポートで紹介した「1万9000円処のレジスタンスまでの上昇はあり得る」という見方の根拠のひとつと言えます。


年末にかけて市場全体の実態が本格的に改善する可能性あり

2部とJSADAQ指数も8月半ばから完全に復調し、その後の値動きは極めて快調。日経平均株価よりも早く2月の高値、および大発会高値の水準を目指す動きになっています。となれば、市場全体が改善した、と解釈していいはずですが、ところが、マザーズ指数だけが待てど暮らせど復調しない。上値は950ポイント処で頭打ち。日経平均株価が下げると、900ポイントのサポート水準をいまにも割らんばかりの下げ方を延々と続け、10月21日からは日経平均株価と逆行する動きが現れます。

このとき、マザーズ上場銘柄に限らず、マザーズ銘柄を志向する参加者が同時に手掛けていると目される小型・新興系銘柄にも強烈に売られる例が目につきました。他の指数は堅調だったにも関わらず、なぜマザーズ指数だけが一人負け状態を続けていたのか。おそらくこれも高値期日が深く関係していそうです。

年初からの市場暴落が2月12日を底に反転した後、マザーズ指数の上げ方たるや、それこそ飛ぶ鳥を落とすようなすごい勢い。大発会高値など3月にブレイクしたどころか、4月にはアベノミクス相場の最高値をつけるに至っています。当欄でも取り上げましたが、このときのマザーズ市場は、一人陽々と輝いていたのです。

ところが、4月21日に最高値をつけ、5月12日にも同水準の高値をつけた直後の5月16日と18日、未だに理由不明の大急落。6月9日に戻り高値をつけてBrexet急落に突き進むこととなります。その後は、他の指数が好転しても全く冴えない動きを続けていたのは前述の通りです。

そうすると、マザーズ指数が高値圏にあった4月後半から5月12日にかけてマザーズ銘柄をはじめとする小型・新興系銘柄を信用取引で買った人はどうなったか。期日までの6か月、我慢して我慢して我慢して、その挙げ句の果てに900ポイントのサポート割れ。11月9日の“トランプ・ショック”の爆落が起きたところで最終処分です。

マザーズ指数の“トランプ安値”はBrexit安値を下回っています。ここで、高値圏で買った建玉の相当部分は処分されたのではないでしょうか。6月9日に戻り高値をつけていることを考えると、もうしばらくの間、最終処分的なの売り物が出てくる可能性はあります。ただ、最高値圏での買い建玉は処分された、すなわち最悪期は脱したと見られます。戻り高値で買った買い玉の大方が処分されるまで、上がれば売り物が出てきて上値は伸びないかもしれませんが、それも次第に収まっていくのではないかと思います。


割高感がすっかり解消された小型・新興系銘柄が狙い目か

日経平均株価は年足陽線を目指し、2部・JASDAQも堅調。これでマザーズ指数もしこりがほぐれて好転する動きになれば、市場全体が本格的に改善します。株というものを買えば儲かりやすい、これこそが最も楽しい相場です

幸い、マザーズ市場の軟調が続いてきたお陰で、かつての割高感がすっかり解消されたどころではない、激割安と言えるほどの低PERとなっている小型・新興系銘柄を見つけるのはさしたる苦労もありません。もちろん、未だに安値更新を続けている銘柄は避けたほうがよさそうですが、たとえば、底値圏と捉えられる位置にあって、上がれば売られる動きは続いているものの下値は崩さない、わずかずつでも上値を切り上げている銘柄、取引高が徐々に戻っている様相が現れている銘柄は、これからが面白い売買対象になるかもしれません。

マザーズ指数との相関性の高い上位50銘柄のリストを作成してみました。底値圏からの反転の初期段階という、反発力の期待できそうな銘柄を探すうえで参考にしてみてください。

図表6:マザーズ指数との相関上位50銘柄
No. コード 銘柄名 市場 業種 R2
参考 2042 Next 東証マザーズ ETN 東証 ETF 0.936
参考 1563 マザーズ・コア上場投信 東証 ETF 0.640
1 4974 タカラバイオ 東証1部 化学 0.524
2 3773 アドバンスト・メディア マザーズ 情報・通信 0.484
3 4571 ナノキャリア マザーズ 医薬品 0.457
4 4565 そーせいグループ マザーズ 医薬品 0.428
5 7779 CYBERDYNE マザーズ 精密機器 0.426
6 7774 ジャパン・ティッシュ 東証JQG 精密機器 0.425
7 7776 セルシード 東証JQG 精密機器 0.423
8 3113 Oak キャピタル 東証2部 証券業 0.415
9 3678 メディアドゥ 東証1部 情報・通信 0.410
10 2191 テラ 東証JQS サービス業 0.408
11 4746 東計電算 東証1部 情報・通信 0.400
12 4564 オンコセラピー・サイエンス マザーズ 医薬品 0.393
13 2121 ミクシィ マザーズ サービス業 0.392
14 2370 メディネット マザーズ サービス業 0.390
15 3844 コムチュア 東証1部 情報・通信 0.387
16 4587 ペプチドリーム 東証1部 医薬品 0.384
17 7991 マミヤ・オーピー 東証2部 機械 0.384
18 2160 ジーエヌアイグループ マザーズ 医薬品 0.376
19 3756 豆蔵ホールディングス 東証1部 情報・通信 0.374
20 3680 ホットリンク マザーズ 情報・通信 0.372
21 7999 MUTOHホールディングス 東証1部 電気機器 0.371
22 8739 スパークス・グループ 東証JQS 証券業 0.369
23 2491 バリューコマース 東証1部 サービス業 0.369
24 3843 フリービット 東証1部 情報・通信 0.364
25 2378 ルネサンス 東証1部 サービス業 0.364
26 5915 駒井ハルテック 東証1部 金属製品 0.363
27 3662 エイチーム 東証1部 情報・通信 0.360
28 9305 ヤマタネ 東証1部 卸売業 0.358
29 2497 ユナイテッド マザーズ サービス業 0.357
30 8473 SBIホールディングス 東証1部 証券業 0.356
31 4978 リプロセル 東証JQG 化学 0.354
32 8707 岩井コスモホールディングス 東証1部 証券業 0.354
33 7215 ファルテック 東証1部 輸送用機器 0.354
34 4819 デジタルガレージ 東証1部 情報・通信 0.353
35 5940 不二サッシ 東証2部 金属製品 0.353
36 8737 あかつき本社 東証2部 証券業 0.352
37 9759 NSD 東証1部 情報・通信 0.349
38 8934 サンフロンティア不動産 東証1部 不動産業 0.348
39 3176 三洋貿易 東証1部 卸売業 0.348
40 2760 東京エレクトロン デバイス 東証1部 卸売業 0.348
41 8075 神鋼商事 東証1部 卸売業 0.348
42 5185 フコク 東証1部 ゴム製品 0.348
43 2749 JPホールディングス 東証1部 サービス業 0.347
44 9743 丹青社 東証1部 サービス業 0.347
45 6310 井関農機 東証1部 機械 0.346
46 8869 明和地所 東証1部 不動産業 0.346
47 4245 ダイキアクシス 東証1部 化学 0.344
48 7727 オーバル 東証1部 精密機器 0.344
49 4022 ラサ工業 東証1部 化学 0.343
50 6205 OKK 東証1部 機械 0.342

データの計算期間は、2015年1月1日から2016年11月18日。R2は決定係数で、平方根(1/2乗)をとると相関係数になります。



《memo》

マザーズ指数が復活するならば、マザーズ指数先物もアリじゃないか、という気もするところですが、とうも東京証券取引所は、マザーズ指数先物を個人の皆さんに広く利用してほしいという姿勢を改めた模様です。

というのは、構成銘柄の浮動株比率の数字や浮動株比率変更情報、および、月末時点の各銘柄の指数に対する寄与割合といったデータの公表を9月でやめてしまっているのです。TOPIXやJPX400についても同様ですが、10月以降は、いずれのデータも有料化しています。

先物市場に参加したければデータを買え、ということなのでしょう。ダイナミックな値動きをする指数の先物ということで期待は大きかったのですが、非常に残念な変節です。先物を売買するなら、やはりnikkei225しかありません。


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