(本稿は、2008年12月13日時点でのデータを元に作成されています。)
冒頭で、先物主導の動きについてふれましたが、ここで先物が現物よりも先に売られる状況を考えてみましょう。
先物が売られれば、まだ売られていない現物(個別株)が割高に見えます。先物と現物の裁定取引をしているトレーダーから見ればなおさらでしょう。その場合、先物が売られる理由がはっきりしていれば、その理由に該当する個別株を売る動きが予想されます。データに用いた12月12日でいえば、この日の前場引け後、1ドルが90円を割り込む円高ドル安となり、その背景が「ビック3救済法案の廃案」であったため、輸出関連、とりわけ自動車が売りの対象になりました。ホンダやトヨタはこの日10%超の下落です。
先物が売られる理由がはっきりしない、あるいは、その理由に該当する銘柄を売り尽くしてもなお先物が安い、現物の指数が割高の場合、影響度の高い銘柄が売りのターゲットになる状況が予想されます。
12月12日の場合、小売など内需関連は比較的確りしていたにも関わらず、ファーストリテイリングは売られていました(日経平均先物が前日比約5%安に対して、ファーストリテイリングは前日比7・3%安)。この銘柄を売ることが、先物と現物の価格差を埋める手っ取り早い方法にもなるわけです。逆から言うと、トヨタをはじめとする輸出関連の主力銘柄が強烈に売られても、ファーストリテイリングが大きく買われれば、日経平均の下落幅が抑制される状況も考えられます。
その他、表3の上位銘柄でいうと、コナミがこの日7%超%下げています。「サービス業」に分類される銘柄ですが、エンターテインメント産業としては内需タイプ、ゲーム関連では輸出型とも捉えられます。このように、分類がいかようにでも解釈できる、あるいは、一般的な業種分類と実体が乖離している銘柄で株価が比較的高位な銘柄は、確たる理由もなく、先物や平均株価の動向に左右される可能性があります。
ここまで、日経平均株価と採用銘柄の関係の一端を見てきましたが、これを個別株のトレードに活かすアイディアはないものでしょうか。次回は具体的なトレードシステムを考えていきます。