株価指数についてreturn

指数に対する高寄与度銘柄は指数が売買シグナルになるのか

(本稿は、2009年2月20日時点でのデータを元に作成されています。)

前回、日経平均採用の225銘柄には、日経平均株価に対する寄与度に違いがあり、その差がかなり大きいこと、そして、少数の値がさ株で平均株価の大部分が説明可能であることなどを見てきました。

日経平均株価に対する寄与度の1位はファストリテイリング(9983、以下「ファストリ」と略します)でした。それならば、日経平均の動きをファストリの売買シグナルに使えばよいのではないか、あるいは、ファストリの動きが、たとえば日経平均先物の売買シグナルになるのではないか、とも考えられます。今回は、その検証から始めてみましょう。

なお、これまで検証期間は2000年7月以降としてきましたが、03年からの上昇相場も07年で終了し、現状は上昇しはじめた株価水準に戻ったため、「上昇→下落の1サイクル」ということで今回から03年4月以降とします。

図1のAは、「ファストリが前日比上昇ならば、先物を大引けでロング」、「ファストリが前日比下落ならば先物を大引けでショート」(いずれも翌日大引けで手仕舞い)という売買の累積パフォーマンスの推移です。ファストリの値動きに応じて日経平均先物を売買するわけですが、08年初めまでは「逆のトレードをするよりはまし」といった程度、それ以降は、平均株価への寄与度を高めている状況にあったにも関わらず、パフォーマンスは落ち込む一方となっています。

Bは、逆に、日経平均先物の値動きをシグナルにファストリを売買した結果です。実際には、先物の大引けは15時10分でファストリの大引けの10分後ですから、この売買を厳密に実行することはできませんが、仮に「そうした売買が可能だったとして」という前提で捉えてください。また、ファストリは貸借銘柄ではなく空売りはできませんが、これもショート(売り持ち)が可能なものとして検証しています。

この結果を見ると、06年初までは「先物が上昇しているならファストリを買っておけば大丈夫」という感じだったものの、それ以降は全くふるいません。同期間のファストリと日経平均先物の株価の推移(図2)と合わせて見ると、両者の値動きが乖離した局面でパフォーマンスを落としていることがわかります(この乖離に関しては後に取り上げます)。

図1Aの結果からすると、ファストリの平均株価への寄与度が非常に大きいといっても、今日のファストリの値動きが明日の日経平均株価に影響を与えるか、というと、どうもそうではなさそうです。

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