(本稿は、2009年3月28日時点でのデータを元に作成されています。)
株価指数と個別銘柄の株価との関係が意識される場面として、まず頭に浮かぶのは、株価指数先物やオプションのSQ(Special Quotation。特別清算指数)が決まる毎月第2金曜日の寄付ではないかと思います。
日経平均先物・オプションの場合、採用225銘柄の寄付値でSQが算出されます。この数値は、通常表示されている日経平均株価の寄付値と同じではありません。前夜の米国市場が大きく動いたときなどは、かなりの「ズレ」が生じることもしばしばです。
たとえば、3月13日のSQ値は7491・00.。これに対して日経平均株価の寄付値は7301・12円と、実に190円近くも乖離しています。これは、日経平均株価の寄付値は、市場が開始しても寄り付かない銘柄については前日引値(最終取引価格)を使って算出されているためです。この日は、米国市場が約4%も上昇したのを受けて、市場が始まってもなかなか寄り付かず、しばらく経ってから大幅高で寄り付いた銘柄が多数ありました。日経平均株価の寄付値には、この「しばらく経ってからの大幅高の寄付値」は反映されません。
さて、13日のSQ値7491・33は、日経平均株価の前日引値比で293・1円高(プラス4・1%)でしたが、採用225銘柄の中で、寄付時点で高い上昇率を見せたのは表1のような銘柄です
表中にある「寄与価格」は、「前日比293・1円高という上昇幅に対してどのくらい寄与したか」という値幅を示しています。たとえば、上昇率11位のファナック(6954)は、全体の上昇幅293・1円のうち16・2円分寄与したという意味です。
この上位30銘柄の顔ぶれを見ると、バラエティに富んでいるという印象で、これといった傾向らしきものは見当たりません。
そこで次に、寄与価格の大きい上位30銘柄を見てみます(表2)。
こちらは株価の高い銘柄ばかりで、日本市場を代表する銘柄が名を連ねています。この30銘柄の寄付時点での平均上昇率は5・4%と、表1の銘柄群よりも低いのですが、寄与価格の合計は193・4円、全体の上昇幅の約66%と、表1の銘柄を大きく上回っています。上昇率が高かった銘柄を束ねたよりも、値がさ銘柄を束ねたもののほうが株価の押し上げ効果が大きかったということです。以前に述べた「値がさ銘柄は平均株価に対する寄与度が高く、平均株価の動きは寄与度の高い少数銘柄に左右される」というのは、当然ながら、SQにも当てはまるという結果です。