株価指数についてreturn

寄付時点の強さが場中も継続するとは限らない

(本稿は、2009年3月28日時点でのデータを元に作成されています。)

ここまでは寄付値の前日引値比の話でしたが、寄付から大引けまでとなると、また違った値動きも見られます。たとえば13日の日経平均株価の引値は7569・28円で、SQ値より77・9円(1%)上昇しましたが、大幅に高く寄り付いたファストリや京セラ(6971)、などは場中売られています。反対に、寄り付きでは目立たなかった電通(4324)やセブン&アイHD(3382)、市場平均より安く寄り付いた東京海上HD(8766)は場中買われるといった具合です。

こうした「寄り付きで買われた銘柄が売られ、寄り付きで売られた銘柄が買われる」という状況になると、場中に大きく動いた銘柄は結構あるにも関わらず、場況コメント的には「日経平均は小動き」という現象も起きてきます。

別の日の例を見てみましょう。

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表4は3月18日の寄付時点における寄与価格上位30銘柄と下位30銘柄です。前日の米国市場は3%超の大幅高でしたが、225銘柄の寄付値から算出した平均株価の寄付値は前日比1・1%高と、さほど強くありませんでした。

上位・下位の顔ぶれを見てみると、不動産株が上位リストに多く登場し、値がさ銘柄は下位リストのほうにかなり出ています。先ほど見た3月13日と異なるのは、寄与度の高い銘柄の中に買われる銘柄、売られる銘柄それぞれあった、という点でしょう。これが、米国市場が大幅上昇したのに日本市場の寄り付きが盛り上がらなかった背景です。

大引け時点になると、寄与価格の上位・下位は表5のようになります。

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大幅安で寄り付いた銘柄が値を戻す一方で、寄付時点で大幅高だったファストリ、買う気満々の様相を呈していた不動産株などは売り込まれ、小甘い大引けとなりました。表4と比較すると、上位リストと下位リストで入れ替わっている銘柄が目立つのは興味深いところです。

このように、株価指数に対する寄与度という視点から個別銘柄の寄り付き方や場中の動きを観察してみると、たとえば複数銘柄を対象とするトレードシステムのアイディアも浮かんできそうです。次回はその可能性を探ってみます。

今日の寄与度をチェックしてみる。

平均株価に対する個別株の値動きを3タイプに分けてみるnext


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