株価指数についてreturn

高寄与度の“似たモノ”銘柄が正反対の動きをすることも

(本稿は、2009年5月22日時点でのデータを元に作成されています。)

前回は、個別銘柄の値動きを、日経平均株価の値動きに対して「順張り型」「逆張り型」「どちらとも言えない型」の3タイプに分けて捉えてみました。改めて紹介すると、それぞれのタイプは、
  ・ 日経平均先物(以下、「先物」と略します)の引値が前日比上昇ならば個別銘柄をその日の大引けでロング+先物をショート
  ・ 先物の引値が前日比下落ならば個別銘柄をその日の大引けでショート+先物をロング
というポジションを取り、いずれも翌日寄り付きで反対売買を行う、というトレードを想定して、その累積パフォーマンスから判定します。なお、先物で個別株と逆の売買を加えているのは、個別株の値動きから市場全体の値動き部分を差し引くことによって、個別株独自の値動きを取り出すためです。先物のポジションのサイズは、各個別株のベータ値(日経平均が「1」動いたときに、個別株がいくら動くかを示す値)をヘッジ比率として掛けた金額相当分とします。

この売買シミュレーションのパフォーマンスが右肩上がりならば「順張り型」、右肩下がりになっていれば「逆張り型」、どちらでもなければ「どちらとも言えない型」となります。

今回は、日経平均株価に対する寄与度の高い銘柄を取り上げてみます。図表1は、前回掲載した「日経平均株価に対する寄与度の高い上位30銘柄」(4月17日大引け時点)です。このリストの中にある銘柄の一部の詳細を見ていきましょう。


図表2は、ファナック(6954)と京セラ(6971)の売買シミュレーション結果です。“2大値がさハイテク銘柄”であり、平均株価に対して似たような値動きをするだろう、というイメージがあるかもしれません。ところが、京セラは06年から順張り型になっているのに対し、長年順張り型だったファナックは08年を境に逆張り的な動きが顕著になっています。

つまり、少なくとも08年以降、この2銘柄は平均株価に対して逆の動きをしていることになります。この2銘柄で同じポジションを取っていたら市場平均とほぼ同じ、すなわち、マーケットニュートラルの組み合わせということです。


もう一例。図表3は、2大半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン(8035)とアドバンテスト(6957)です。どちらも「逆張りではない」という程度の順張り型ですが、アドバンテストは08年辺りから逆張り的な動きを見せています。この2銘柄もまた、08年後半からは平均株価に対して逆の動きになっていますから、両者を足せばマーケットニュートラルに近くなるでしょう。

ということは、これら4銘柄を足して4で割れば平均株価とほぼ同じことになります。これは、たとえば日経平均が2%下落したとき、同じセクターで寄与度の高いこれらの銘柄が総じて2%程度下落するわけではなく、ある銘柄は強烈に売られ、別の銘柄はむしろ買われた結果、合計するとマイナス2%になるというような、銘柄ごとにかなり温度差のある値動きをしている可能性を示しています。

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