《超高寄与度2銘柄》攻略のアイディアを探る
■「ダウ方式」の欠点は“わかりやすさ”の裏返し■
大阪証券取引所が2010年10月から算出を開始した新指数・JASDAQ―TOP20。この指数に連動するETF「JASDAQ―TOP20上場投信」(1551)が12月に上場しました。相場全体が上向いてきていることもあって、なかなかの滑り出しとなっている模様です。
JASDAQ―TOP20という指数については、「JASDAQ-TOP20」の計算 で紹介していますが、この指数は日経平均株価と同じ「ダウ方式」で算出されます。
ダウ方式は、時価総額などは考慮されず、株価のみが算出の対象になるため、算出に採用される株価が高い銘柄ほど指数に対する影響度が高くなります。
これは、寄与度の高い特定の銘柄を売買することによって指数を動かすことも可能になる、ということでもあり、この点がしばしばダウ方式型の指数の“欠点”として指摘されます。
日経平均株価でいえば、算出対象銘柄は225もありながら、寄与度上位5銘柄(ファーストリテイリング9983、ファナック6954、ソフトバンク9984、京セラ6971、ホンダ7267)で指数の20%近くを占めます。こうした高寄与度銘柄だけを強烈に買えば、市場全体はほぼ全面安でも日経平均株価だけは上昇している、といった状況も創出できてしまうのです。
順位 | コード | 銘柄名称 | 寄与度(%) | 計(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 9983 | ファーストリテイリング | 5.08 | 5.1 |
2 | 6954 | ファナック | 4.90 | 10.0 |
3 | 9984 | ソフトバンク | 3.32 | 13.3 |
4 | 6971 | 京セラ | 3.26 | 16.6 |
5 | 7267 | ホンダ | 2.53 | 19.1 |
この“欠点”のせいからか、世界の主要国のインデックスのほとんどはダウ方式ではなく、TOPIXやS&P500と同様の時価総額加重平均方式を採用しています(ダウ算出方式の指数は、NYダウと日経平均株価だけです)。
時価総額加重平均の場合、時価総額が大きい銘柄の寄与度が高くなります。そうした高寄与度銘柄を集中的に売買すれば指数を動かすことも可能ですが、巨大な時価総額の銘柄の値段を動かすには相当な資金力がなくてはなりません。ですから、「特定の銘柄だけを売買して指数をいじる」ということは、ダウ方式よりは確かに起こりにくくなります。
ただ、「いじられにくい指数」のほうが指数として優れているのか、というと、これは何とも言えません。
見方を変えれば、「いじられやすい指数」はその指数の値動きの根拠が誰からもわかりやすい、ある意味では、透明性が高いと言うこともできます(実際、日経平均株価は誰でも算出できますが、TOPIXは誰でも算出できる指数ではありません)。
また、事の善し悪しはさておき、日経平均先物やオプション取引をしている市場参加者からすれば、そうした指数のほうが使い勝手がよい、妙味がある、という面もあるでしょう。それゆえ、取引高はTOPIX先物よりも日経平均先物のほうがはるかに大きいのだと思います。
より多くの市場参加者から注目され、活用され、親しまれることが指数としての重要な要素であるとすれば、ダウ方式の指数のほうに分がある、とも捉えられるわけです。
■上位2銘柄で合計寄与度20%超!■
大阪証券取引所が、「日経平均のような親しまれる指数をつくろう」ということでダウ方式を採用したかどうかはわかりませんが、世界的にも希少な算出方法の指数でもあり、しばらくこの指数の動向を注目してみたいと思います。
JASDAQ―TOP20構成銘柄 を見てみると、寄与度第1位の第一精工(6640)が12.3%、2位のユビキタス(3858)が8.3%(いずれも2010年12月24日の引値ベース)と、この2銘柄だけで指数の2割以上も占めます。
この2銘柄、現状でも話題性のある人気銘柄ではありますが、指数自体の注目度が上がっていけば、ETFの値動きとの関係からも注目度を一層高める可能性があります。
そしてその場合、この指数を原資産とする先物・オプション市場はありませんから、日経平均のように高寄与度銘柄の高速売買を繰り返すインデックスプレーヤーなどは参加せず、個人投資家主体のエキサイティングな値動きが展開されることも期待されます。
というわけで、2011年の“妙味期待銘柄”の意味も含め、この2銘柄の値動きをもとに売買アイディアを探ってみました。