大阪証券取引所が昨年10月から算出を開始した新指数・JASDAQ―TOP20。12月に上場したETF「JASDAQ―TOP20上場投信」(1551)は好調な滑り出しを見せ、当サイトでも今年1月、この指数とETFを取り上げました。
この指数、その後もなかなか堅調な動きを見せていたのですが、3月11日の東日本大震災で爆落し、一旦は強い戻しを見せたものの、震災時に形成したギャップは埋められず、5月以降、延々と右肩下がりを続けています。
ETFの価格は、引値ベースで大震災後につけた安値を9月に割り込んでいます。
売買高の水準もガタ落ちです。市場全体も売買高は細る一方ですが、この新興株指数連動のETFのガタ落ちぶりは、個人投資家が市場から離れてしまったことを物語っているように見えてなりません。
ところで、今年1月にこの指数を紹介したとき、注目点として指数の算出方法がダウ方式であることをあげました。
ダウ方式では、指数算出に用いられる株価が高い銘柄ほど指数に対する影響度が高くなります。
ETF上場当初の寄与度ランキングは表1のような顔ぶれでした。
<表1>上場当初の寄与度ランキング
コード | 銘柄名 | 業種 | 掛け目 | 指数用 株価 |
寄与 割合(%) |
(左) 累計 |
---|---|---|---|---|---|---|
6640 | 第一精工 | 電気機器 | 1 | 4165 | 12.3 | 12.3 |
3858 | ユビキタス | 情報・通信 | 0.01 | 2810 | 8.3 | 20.6 |
3268 | 一建設 | 不動産業 | 1 | 2679 | 7.9 | 28.5 |
3765 | ガンホー・オンライン | 情報・通信 | 0.01 | 2673 | 7.9 | 36.4 |
2702 | 日本マクドナルド | 小売業 | 1 | 2078 | 6.1 | 42.5 |
4819 | デジタルガレージ | 情報・通信 | 0.01 | 1950 | 5.7 | 48.2 |
6787 | メイコー | 電気機器 | 1 | 1830 | 5.4 | 53.6 |
8410 | セブン銀行 | 銀行業 | 0.01 | 1676 | 4.9 | 58.5 |
9438 | エムティーアイ | 情報・通信 | 0.01 | 1553 | 4.6 | 63.1 |
7458 | 第一興商 | 卸売業 | 1 | 1498 | 4.4 | 67.5 |
2656 | ベクター | 小売業 | 0.01 | 1408 | 4.1 | 71.6 |
4080 | 田中化学研究所 | 化学 | 1 | 1332 | 3.9 | 75.5 |
6769 | ザインエレクトロニクス | 電気機器 | 0.01 | 1275 | 3.8 | 79.3 |
4348 | インフォコム | 情報・通信 | 0.01 | 1267 | 3.7 | 83 |
4239 | ポラテクノ | 化学 | 0.01 | 1249 | 3.7 | 86.7 |
6890 | フェローテック | 電気機器 | 1 | 1035 | 3 | 89.7 |
3811 | ビットアイル | 情報・通信 | 0.01 | 1012 | 3 | 92.7 |
6871 | 日本マイクロニクス | 電気機器 | 1 | 977 | 2.9 | 95.6 |
4817 | ジュピターテレコム | 情報・通信 | 0.01 | 847 | 2.5 | 98.1 |
4755 | 楽天 | サービス業 | 0.01 | 681 | 2 | 100.1 |
トップの第一精工(6640)の寄与度が12.3%と、、この1銘柄の指数に対する存在感はすごかったのですが、この銘柄、東証に鞍替えすることとなり、すでに指数から除外されています。
替わって新規採用されたのはクルーズ(2138・サービス業)です(指数算出に用いられる掛け目は0.01)。
この銘柄入れ替えがあったのは2011年10月21日だったのですが、銘柄入れ替えに伴う指数の断層を排除するための値「除数」がいくらなのか。その発表がどこにも見当たりません。
そこで、入れ替え前日の旧20銘柄の株価合計と、新20銘柄の株価合計をもとに計算してみました。旧株価合計が24484、新株価合計は23619なので、「23619÷24484×20(旧除数)」で19.29341。おそらく、新しい除数は19.293です。
入れ替え後の寄与度ランキングは表2のようになっています。
<表2>第一精工が外れてクルーズが新規採用
コード | 銘柄名 | 指数用株価 | 寄与割合% | 累計% |
---|---|---|---|---|
4819 | デジタルガレージ | 2430 | 10.3 | 10.3 |
2702 | 日本マクドナルドホー | 2054 | 8.7 | 19.0 |
3765 | ガンホー・オンライン | 2015 | 8.5 | 27.5 |
3268 | 一建設 | 1873 | 7.9 | 35.4 |
3811 | ビットアイル | 1556 | 6.6 | 42.0 |
7458 | 第一興商 | 1460 | 6.2 | 48.2 |
8410 | セブン銀行 | 1411 | 6.0 | 54.2 |
2138 | クルーズ (new) | 1308 | 5.5 | 59.7 |
3858 | ユビキタス | 1050 | 4.4 | 64.2 |
6890 | フェローテック | 1013 | 4.3 | 68.5 |
4239 | ポラテクノ | 996 | 4.2 | 72.7 |
9438 | エムティーアイ | 972 | 4.1 | 76.8 |
4755 | 楽天 | 883 | 3.7 | 80.5 |
4817 | ジュピターテレコム | 804 | 3.4 | 83.9 |
4348 | インフォコム | 794 | 3.4 | 87.3 |
6787 | メイコー | 752 | 3.2 | 90.5 |
4080 | 田中化学研究所 | 710 | 3.0 | 93.5 |
2656 | ベクター | 566 | 2.4 | 95.9 |
6769 | ザインエレクトロニク | 521 | 2.2 | 98.1 |
6871 | 日本マイクロニクス | 451 | 1.9 | 100.0 |
上位数銘柄で指数の半分ほどが説明できる状況は変わっていませんが、表1と比べると、順位がかなり変動していることがわかります。トップはデジタルガレージ(4819)、日本マクドナルド(2702)が2位に浮上しています。他方、以前は第2位という高寄与度だったユビキタス(3858)は9位にランクダウン。新規採用のクルーズ(8位)よりも下になってしまいました。
JASDAQ―TOP20は、ダウ方式で算出されるわかりやすい指数であるという意味でも、また、トレード可能な指数という意味でも貴重だと思うのですが、売買高の低迷が続いている現状、売り買いがしにくいかもしれません。
しかし、たとえば日経平均株価が少しでも明るさを取り戻し、売買高も回復してきたときには、内需関連やスマホ・携帯関連が多い新興株、その中心的存在ともいえるJASDAQ―TOP20銘柄は注目できる存在になるはずです。
その期待を込めて、4銘柄について売買の視点を探ってみました。