日証金が発表している信用取引残高のデータは「日証金貸借取引残高」です。日証金が証券会社に貸したお金(で買われた株数)を「融資残高」、証券会社に貸した株数を「貸株残高」として、その数字を出しています。
取引所の信用取引残高の発表は週一回、前週分についてでしたが、こちらは毎日、大引け後にまとめたものを発表しています。その中身は、個別銘柄ごとに、「その日の新規融資で買われた株数」と「その日の新規貸株数」、それぞれ「その日返済された株数」、そして、その日時点で未決済のまま残っている「買い残高」と「売り残高」などの数字です。
東証が発表する信用取引残高の数字は一般信用取引・制度信用取引を含めたものであり、また、証券会社内の店内食い合いや証券会社自身が顧客に貸した分も合計したものであるのに対して、日証金の貸借取引残高は、日証金自身が融資した分と貸した株数のみにとどまります。
よって、日証金のデータは「信用取引残高の一部」ということになりますが、その日の状況がすぐに把握できるという点は重要です。この貸借取引残高をチェックすれば、信用残高の一部ではあっても、「将来の売り圧力」や「将来の買い圧力」の変化をつかむことができます。しかも、これは制度信用取引だけの数字、つまり「返済期限は6ヶ月」と決まっている数字ですから、より具体的ともいえます。
また、たとえば融資残高(買い残高)が大幅に増加した翌日から株価が急落した場合、まず投売りによって株価の下落が加速することも予想できますし、そこで売らずに我慢した人は、株価が急落した近辺の水準まで戻ってくれば「やれやれ、ようやく売れる」という行動に出ることも考えられます。いわゆる「ヤレヤレの売り」です。となると、その「融資残高が大幅に増え、株価が急落した株価水準」は、株価が上がってきたときに、上値が押さえ込まれる水準になりそうだ、という目安になります。
貸株残高(売り残高)が大幅に増加した直後から株価が急騰した場合には、その逆の動きが予想できます。株価の上昇が続けば、評価損が膨らみますから、その買い戻しによって株価上昇が加速するという、“踏み上げ相場”となる可能性もあるわけです。
日証金の貸借取引残高の日々のデータを蓄積しておけば、自分なりに「これからの株価の動き」を予測するうえで大いに役立ちます。ネット証券の中には、貸借取引残高の過去データが取得できるところなどもありますから、ぜひこれを自分なりの分析や予測に活用してみてください。