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日経平均株価 - 2021年10月1日の変更

2021年10月の定期入替において、見なし額面と新規採用銘柄の取扱いについて大きな変更がなされました。概要をメモしておきます。

新規採用銘柄が過大な寄与割合とならないように、新たに導入する株価換算係数を使って調整する、という内容です。

見なし額面を廃止し「株価換算係数」を導入

新規採用銘柄の取扱い

最新情報については日本経済新聞社の、日経平均プロフィル、詳細については日経平均株価でご確認下さい。

以下は、同時に発表された今後の変更点です。

指数採用対象銘柄は、東証プライム市場銘柄(2022年4月〜)

プライム未達の銘柄はあるのでしょうか(達成見込みがあれば上場できるみたいですが)。東証が定める浮動株比率(FFW)が0.35未満の銘柄は?東証がデータ販売しているようです(統計情報等・月末指数マスタ)。

除数は、四捨五入して小数点以下8位まで(2022年6月〜)

従来の除数は少数3桁で、変更後の除数で計算した日経平均株価が変更前とは小数点以下がずれることがありました。細かいことですがズレは解消されます。


概要は以上です。以下、細かい話です。

今回の新規採用銘柄であるキーエンス・任天堂はファストリと近い株価であり、従来の組み入れ方法では第2・3のファストリになってしまいます。ついては影響度合いを低減すべく、見なし額面を500円とします、というのはわかりにくいです。株価の掛け目を0.1とします、の方がわかりやすそうです(やってることは同じですが)。

既存の銘柄の掛け目は変更しないので依然として一部の高寄与度銘柄の問題は残っています。

今回の銘柄入替を9月17日の引値を使って試算したところ、除数は27.769から28.375に上昇します(試算での数字です。新除数は9月30日の引値で決まります)。ファーストリテイリング(9983)の引値は、76390円。現除数では、76390×1(掛け目)÷27.769=2750.91円の寄与です。新除数では、76390×1÷28.375=2692.16円の寄与となり、58.75円分寄与価格が低下します。日経平均株価は、30500.05円だったので、0.19%程寄与度低下します。ソフトバンクG(9984)で同様の計算をすると、30.74円(0.10%)程寄与(度)低下します。僅かながら、今回の入替で一部の高寄与度銘柄の問題は弱まることになります。

新規採用銘柄の寄与度は1%までという上限CAPが導入されていますが、掛け目である株価換算係数の最小値は0.1というのが下限CAPにもなっています。

今回の変更で双日(2768)の掛け目は本来0.02となるところですが0.1として取り扱われます。現状の寄与価格は、362円(株価)×0.1(掛け目)÷27.769=1.3円とですが、変更後は362×5(併合後株価)×0.1(掛け目)÷28.375=6.38円となり、5.08円(0.017%)分寄与度アップになります。5円程とは小さいようですが、今の日経平均を5円動かすには5×27.769(除数)で、個別の銘柄において約141円の変動が必要です。ファストリなら一瞬ですが、2、3000円の株価の銘柄だと結構大変です。

既存の高寄与度銘柄の問題を一気に解消するのは現実的ではありません(掛け目を下げるなどしたら大きな売り需要が発生します)。それよりは日経平均株価において誤差のような低寄与度銘柄をなんとかするのが現実的かとも思われます。

現状では掛け目が0.1で株価が1000円以下(1000×0.1÷27.769=3.6円以下の寄与)の銘柄が9銘柄あります。双日もその中に入っています。今回除外の対象となった、スカパーJSAT(9412)もそうです。株式併合していただくか、さもなくば除外の候補という話になってきますが、簡単な話でもないと思います。

株価指数としてどうなのという声が聞こえますが、ETFを含め225投信の残高が相当量ある以上、ゆっくりと変えていくしかありません。今回の変更で変化も少し速くなったのではないでしょうか。


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