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エコノミスト・マネー10月号・「移動平均線」特集 詳細情報

『エコノミストマネー』10月号の特集「移動平均線 本当の読み方」の中で、「引値が移動平均より高ければロング、引値が移動平均より安ければショート」という順張り売買を検証した結果を紹介しています。

検証期間は03年4月1日〜10年8月15日で、5日移動平均と25日移動平均について全上場銘柄を調べたわけですが、本文にもある通り、どちらの移動平均でも半数以上の銘柄は累積パフォーマンスがマイナス、との結果が出てきました。

とはいえ、このシンプルな売買シミュレーションで非常に高いパフォーマンスを示した銘柄が相当数あったのも事実です。P16に「パフォーマンス上位銘柄」のリストを掲載していますが、5日移動平均を使った場合、約7年間の累積益が実に1000%超という銘柄も4銘柄ありました。

もっとも、これは全銘柄を同じ条件で比較する都合上、非貸借銘柄もショート可能として機械的に検証した結果なので、実際にはこのリストのような高パフォーマンスにはならない銘柄もあります(ちなみに1000%超の4銘柄とも非貸借銘柄)。

「だったら、実際にショート可能で移動平均のシグナルが有効なのはどういう銘柄なのか」と思った方もいるのではないでしょうか。

そこで、本誌には掲載しきれなかったデータをこちらに追加しておきたいと思います。

■“不人気”銘柄は「逆張り有効」が多い■

まず、対象を貸借銘柄のみとして、さらに、流動性も考慮して「1日の平均売買代金500万円以上」かつ「値付き率(取引所の全営業日数に対する取引が成立した日の割合)が90%以上」という条件もつけてみました。

検証期間は03年4月1日〜10年9月17日で、9月17日時点の引値が30円未満の銘柄も除外しています。

その結果、対象銘柄数は1724銘柄となりました。

表1は、引値が5日移動平均よりも「高ければロング」「安ければショート」という順張り売買の累積パフォーマンス上位25銘柄です。

累積パフォーマンスがマイナス上位25銘柄のリストも掲載しています。こちらは、引値が5日移動平均よりも「高ければショート」「安ければロング」という逆張り売買でパフォーマンスが出る銘柄ということになります。

<表1>

マイナスパフォーマンス上位銘柄の中に地銀が目立ちます。

25日移動平均をシグナルにした結果が表2です。

<表2>

こちらも、マイナスパフォーマンス上位に地銀が…。

これらの地銀をはじめ、市場からの注目度が薄く、取引が閑散としている“不人気”銘柄は、移動平均の順張り売買のパフォーマンスがマイナス、つまり、逆張り売買が有効なケースが多いようです。

また、事業内容が地味めで、材料視されにくく、業績はさほどよくないながらも財務はよく経営不安は少なそうな銘柄、あるいは、ディフェンシブ系の銘柄も、逆張り売買が有効な例が散見されます。

一方、人気化している銘柄は順張り売買が非常に有効になる傾向があります。

そもそも人気化して株価が上がる状況というのは、「上がるから買う。買うから上がる」という展開です。それで行き過ぎて株価が急落する状況になると、これまで買ってきた人は、我先に、とばかりに逃げようとするので、「下がるから売る。売るから下がる」といった逆の動きになります。

ということで、値動きの順張り度合いが強くなると考えられるわけです。

■「順張り有効型」が「逆張り有効型」に変化するケースも■

そうすると、不人気だった銘柄が何らかのきっかけで人気化すると、逆張り売買が有効だった値動きが順張り売買有効に変化する、といったことも起こります。

逆に、人気化して大相場を演じていた銘柄も、人気が去ってしまうと、かつての順張り有効だった値動きが逆張り有効型に変化するようなことにもなります。

こうした変化は、ごく短期的に起きることもあれば、長期的な値動きの傾向の大転換であるようなこともあります。

ですから、中長期的な傾向と、短期的な傾向とどちらも見ておくほうがよさそうです。

表3は、検証期間を今年4月から9月17日までとして、5日移動平均の順張り売買で累積益が±50%以上の銘柄です。

<表3>

表1の長期データ検証の結果と比較してみると面白いと思います。

たとえば、表1では順張り有効型の上位リストに入っていたフージャースコーポレーション(8907)は、今年4月からの短期データでは逆張り有効型の上位に来ています。

この銘柄に限らず、03年辺りからブリブリ値を伸ばし、06年を境に株価急落の憂き目を見て、現状の株価は安値圏に沈んでいる新興系の不動産関連の中には、同じような傾向が確認できるものがかなりあります。

少し古い話でいえば、かつてITバブル時に超人気化していたネット関連銘柄の多くは、当時は強烈な順張り型の値動きをしていたものの、今日ではむしろ逆張り有効型になっているものも少なくありません。

その中には、人気がすっかり失せてしまった銘柄もありますが、かつては「これから高成長が期待できる分野」と捉えられていた事業内容が、今では内需・インフラ型のように解釈されるようになったとみられる銘柄もあります(通信関連などはその一例といえます)。

表3の銘柄は、ここ半年の値動きが5日移動平均のシグナルに対して「順張り売買有効」「逆張り売買有効」が顕著な銘柄で、この傾向が今後も続くかどうかはもちろんわかりません。ですから、あくまでも「ご参考まで」という感じではありますが、日足チャートで足元の状況をチェックしてみて、その有効性が継続していると見られるならば、売買の出動ポイントを捉えるヒントになるのではないかと思います。

その銘柄は順張り有効型? それとも逆張り有効型?

<超絶!>カンタン判定法、あります!

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