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【9501東電】“性格激変”のその後

“萌えない系銘柄”の典型だった去年の東電

当サイトの5月4日付け新着情報「値動きの性格は変化する<その1>」で、大震災以後、東京電力(9501)の値動きの性格が逆張り型から極めて強い順張り型に変化していることを紹介しました。

上のグラフはその時に掲載したもので、オレンジが「引値が前日比上昇=大引けロング、引値が前日比下落=大引けショート」という仮想の順張り売買を検証してみた結果です。04年以降右肩下がりだった累積パフォーマンスの推移は、大震災以後、パフォーマンスは爆上げ、グラフは棒立ち状態となっています。

つまり、かつては「上がった日の翌日は下がりやすい、下がった日の翌日は上がりやすい」という“逆張り”傾向の値動きだったものが、「上がった日の翌日も上がる、下がった日の翌日も下がる傾向が極めて強い」という、超絶 “順張り型”に豹変した、ということです。

また、青は225先物の引値が「前日比上昇=大引けで東電をロング、前日比下落=大引けで東電をショート」という、仮想の「225先物に順張り売買」の累積パフォーマンスの推移ですが、こちらも、かつては右肩下がりだったものが、震災以後は棒立ちです。これは、かつて「225先物が前日比上昇(下落)で引けると、翌日東電は値下がり(値上がり)して引けるという、「225先物に逆張り型」の値動きの傾向が、逆の「225先物に順張り型」の値動き傾向に変化したことを示しています。

こうした値動きの性格の変化は、『株テクニカル情報BOOK』の2010年夏号と、『株テクニカル情報CD−ROM』、2011年夏号を比べてみると一目瞭然です。

上が昨年の2010年夏号の東電の「値動き分析欄」です。値動きの傾向は逆張り型、225先物に対しては逆張り傾向が強い、ボラティリティーは引値ベースでもザラ場ベースでも非常に低い、という結果になっています。

この結果からすると、この銘柄を売買するなら逆張りで攻めたほうがよさそうではあるものの、ただし、ボラティリティーが低いので、短期ではあまり値幅は取れそうもない、場中のボラティリティーも低くデイトレも無理そう、といった解釈になります。このような値動き傾向はディフェンシブ系銘柄に多いのですが、短期売買をする人にはおそらく全然萌えないパターンでしょう。

ところが、今年の『株テクニカル情報』の値動き分析欄は、こんなふうになっています。

「過去3ヶ月」(2011年4月〜6月末)でいうと、「引値→翌日引値」の値動きは真っ赤な強烈順張り、ボラティリティーも引値ベース・ザラ場ベースともに真っ赤に燃え盛っています。

この値動きならば期間数日の短期売買でもデイトレでもいけそうです。

【値動き分析】欄のサンプル(項目の詳細)はこちらです。

荒れる値動きには「タイムアウトストップ」で対応する策も

ところで、グラフ1で見たパフォーマンスの推移は2011年4月28日までのものでしたが、その後、パフォーマンスの推移はどうなっているのでしょうか。

追跡検証してみました。

なんと、「前日比上昇ならロング、前日比下落ならショート」の順張り売買は、さらにパフォーマンスを伸ばしているではありませんか。震災後はストップ高・ストップ安があったので実際にこの通りのポジションは取れなかったと思われますが、データ検証の数字だけでいえば、3月11日から7月15日まで、4ヶ月の累積パフォーマンスは300%にものぼります。

一方、グラフ1では棒立ち後に下がり気味だった「225先物に順張り売買」のパフォーマンスも、再び右肩上がりの様相になっていることがわかります。現状は、225先物が上がれば翌日東電も上がる、225先物が下がれば翌日東電も下がる、という傾向が強まっているようです。

そうすると、この銘柄を売買するならば、とにかく順張りに徹するのが有効策、となるわけですが、ただ、先ほど見たように、現状、この銘柄はボラティリティーが非常に高く、値動きはかなり荒っぽくなっています。この荒い値動きというリスクに対処する策は講じておいたほうがよさそうです。

具体的な策としては、ストップロスを使うことが考えられます。

ストップロスというと、「株価が何%逆方向に行ったらポジションをたたむ」という逆指値を入れておくといったやり方がよく知られていますが、その場合、ストップ発動の値幅はどのくらいが有効なのか、現状のボラティリティーをもとにj計算しておく必要があります。さらに、ボラティリティーが変化すれば有効なストップ水準も変わってきますから、その対応にも手間をかけなければなりません。

そこで、ストップの基準として値幅を用いるのではなく、同じポジションを継続保有する日数に制限を設けるという方法を考えてみます。つまり、前日比上昇が続いている間はロングポジション継続、前日比下落が続いている間はショートポジション継続となりますが、同じポジションが何日か続いたら、引値が前日比上昇でも下落でも、そのポジションはたたむ、というルールです。

これは、タイムアウトストップと呼ばれます。ポジション保有日数を減らすことによって、株価が逆方向に行ったときのリスクを抑えるという考え方です。

「3日タイムアウト」と「4日タイムアウト」を検証してみました。

オレンジがストップを設けないパターン、緑は4日タイムアウトです。パフォーマンスはほとんど変わらないことがわかります。

また、3日タイムアウトは、パフォーマンス水準自体は落ちてしまいますが、ポジションを持たない日が増えるので精神的にはラクかもしれません。

このように、1年前の値動きと現状の値動きを比較してみると、より詳細に現状の値動き傾向が把握でき、それが、いまどんな売買が有効なのかを考えるヒントにもつながります。『株テクニカル情報』の2010年夏号と2011年夏号をお持ちの方は是非チェックしてみてください。

ちなみに、東電の場合でいうと、高相関の上位銘柄や米ドルとの相関性などにも昨年との大きな違いがみられます。

この点については、フォロー情報として続編を掲載する予定です。



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