(3)「償還時レートX」を出す式をまとめる
前ページで出した「円ベース元本100に対する償還時の為替差損」と、「円ベース元本100に対する受け取り利払い合計」が等しくなる償還時レートxが「損益がゼロになる償還時レート」です。
では、そのレートを出す式をまとめてみましょう。
まず、「償還時の為替差損=受け取り利払い合計」という等式をつくります。
これを償還時レートXについて解くと、
という形にまとまります。(途中式はこちら)
当初レートAが1ドル=85円、クーポンCが3、期間10年、利払い年1回の例で考えてみましょう。
利払い合計回数nは10回ですから、「Σ」の部分は、
で「55」になります。
各数字を代入すると、
損益がゼロになる償還時レートは約63.11円と出てきました。
円ベース元本100に対する為替差損分を計算すると、25.75%。
円ベース元本100に対する受け取り利払い合計は、やはり25.75%と、確かに合っています。
この「損益がゼロになる償還時レート」の式は、「Σ」などというものが出てきて、少々面倒な感じがするかもしれません。
この「Σ」が出てくるのは、各利払い時の適用レートを個々に計算するためですが、この適用レートを「当初レートAと償還時レートXの平均」として式を簡便化することもできます。
つまり、各利払い時の適用レートはいずれも、
(当初レートA+償還時レートX)÷2
として考えてしまうわけです。
これを用いると、
という等式になり、これを償還時レートXについて解くと、
となります。(途中式はこちら)
先ほどの例で計算してみると、償還時レートXは62.83円と出てきます。
先に出てきた結果よりもやや甘めの数字になる近似式ではありますが、おおよその目安をつけるのであれば、この簡便式も結構使えるのではないかと思います。
【外貨建て債券】「損益がゼロになる償還時レート」はいくら?は、以上です。