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【FOCUS】次の「底打ち→トレンド大反転」銘柄を探す

「5年前よりも株価が高い」銘柄の共通点

突然ですが、問題です。

今年の6月末時点の株価が、5年前、07年7月初日の寄値よりも高い銘柄数はどのくらいあるでしょうか。

ちなみに、07年6月末時点の日経平均株価の引値は1万8138円。03年から始まった上昇相場の最終局面、高値圏にあった時期です。

答えは、296銘柄(※)。対象銘柄数は3149ですから、全体の1割にも満たないという厳しい結果です。が、現在の日経平均株価は当時の半分程度であることを考えると、300近いというこの銘柄数、「意外に多い」という受け止め方もできるかもしれません。(※内国普通株式。データの取り扱いには万全を期しておりますが、その正確性を保証するものではありません。)

この296銘柄、どういうプロセスを経て現状の株価に至ったのかを見てみると、どれも“リーマン・ショック”の市場暴落をものともしなかった超優良銘柄、というわけではありません。それどころか、08年、09年には、「もはやこれまでか」とも思われる破綻寸前株価だった銘柄も少なくないのです。その悲惨だった株価が底を打ち、トレンドが大反転して、5年前の株価を超えるまでに上昇しています。

表1は、過去5年で見て、直近が高値圏となっており、かつ高値と安値の差が大きい銘柄群です。

<表1>
コード 銘柄名 安値 安値日付 2012年6月末
1407 ウエストホールディングス 45.33 08.11.25 1602
8291 日産東京販売ホールディングス 28 09.2.17 376
8767 ウェブクルー 58 08.11.21 573
7593 VTホールディングス 52 09.4.2 773
3046 ジェイアイエヌ 39 09.2.9 1415
3064 MonotaRO 238.5 08.1.23 1761
6256 ニューフレアテクノロジー 15000 09.3.19 496000
8029 ルック 51 09.2.24 640
2782 セリア 84.4 08.10.10 1270
3360 シップヘルスケアホールディン 245.1 08.10.28 1915
2157 コシダカホールディングス 130 08.10.9 2372
2362 夢真ホールディングス 28 08.10.9 259
6932 遠藤照明 105 09.2.23 2176
3808 オウケイウェイヴ 199.9 09.2.20 1740
6659 メディアグローバルリンクス 11410 09.2.27 80200
5196 鬼怒川ゴム工業 80 08.1.22 525
4350 メディカルシステムネットワー 88.125 09.1.30 538
8103 明和産業 104 08.10.6 649
8508 Jトラスト 13.5 08.1.17 678
2706 ブロッコリー 20 09.2.12 119
1919 エス・バイ・エル 22 09.2.26 162

ブロッコリー(2706)を除けば、5年前よりも高い株価の銘柄です。

VTホールディングスの安値は09年4月の52円。Jトラストは08年1月の13円です。これらの銘柄は04年に高値をつけて以後、日経平均株価が好調に推移しているにも関わらず、強烈な下降トレンドとなっていました。そして、株価が高値の何十分の1にまでなったところで下げ止まり、「底打ち→トレンド大反転」となっています。

なぜトレンドが大反転したのか。その理由が「業績が驚きの大改善」ではなさそうな銘柄もありますが、それはさておき。ともかく、これらは、強烈な下げトレンドから底打ち→トレンド大反転を遂げた“先陣銘柄”と言ってよいでしょう。


高値から強烈に売られたものの、「底は打った」らしい銘柄群

この5年、6年、強烈な下げトレンドを余儀なくされた銘柄は多数あるわけですが、市場全体が改善方向に向かっていけば、その中から「底打ち→トレンド大反転」の“第二陣銘柄”が出てくることも予想されます。

その候補としては、たとえば、05年〜07年の高値から大幅に値下がりして著しい安値をつけたものの、もう底は打っているのではないか、という銘柄が考えられます。

そこで、過去5年の高値と以後の安値との差の大きさ、および、安値から現在の株価までの上昇率に基準を設けて、「底は打った」らしき銘柄をリストアップしてみました。

<表2>
コード 銘柄名 安値 安値日付 2012年6月末
7494 コナカ 152 10.10.20 890
7725 インターアクション 7500 11.3.15 41600
7972 イトーキ 131 11.3.15 437
5103 昭和ホールディングス 13 11.3.15 60
9610 ウィルソン・ラーニング ワー 63 11.3.16 248
7868 廣済堂 71 11.3.15 318
7527 システムソフト 22 11.3.15 73
7771 日本精密 21 11.3.15 78
2410 キャリアデザインセンター 6510 10.2.23 60400
4358 ティー・ワイ・オー 30 10.8.19 92
3441 山王 120.5 11.3.17 490
3043 モジュレ 7050 10.2.5 36500
6633 C&Gシステムズ 60 11.3.15 147
4316 ビーマップ 7950 10.11.10 35300
2766 日本風力開発 36150 11.3.14 134900
1712 ダイセキ環境ソリューション 53900 10.10.14 151000
2673 夢みつけ隊 39 11.3.15 105
4840 トライアイズ 690 10.11.2 1750
4712 アドアーズ 40 11.3.15 87
7733 オリンパス 424 11.11.11 1288
8247 大和 26 11.3.15 73
9514 ファーストエスコ 3925 10.11.1 22300
5288 ジャパンパイル 117 10.10.13 309
9973 小僧寿し 74 10.10.26 208
3719 ジェクシード 29 11.3.15 99
6494 NFKホールディングス 20 11.3.14 54
8226 理経 42 11.3.15 84
3851 日本一ソフトウェア 26010 10.11.4 71000
5936 東洋シヤッター 223 10.11.2 418
8254 さいか屋 20 11.3.15 59
6857 アドバンテスト 671 12.1.16 1231
3060 マガシーク 53500 10.11.1 116700
2150 ケアネット 15010 10.11.2 37050
8050 セイコーホールディングス 148 11.11.25 250
8625 高木証券 59 11.11.25 99
8303 新生銀行 56 10.10.5 96
3331 雑貨屋ブルドッグ 112 11.3.17 232
6620 宮越ホールディングス 170 11.3.15 339
5458 高砂鐵工 34 11.3.15 59
3318 メガネスーパー 56 10.8.26 113
6728 アルバック 375 12.5.28 728
8718 JPNホールディングス 200 11.3.15 350
8844 コスモスイニシア 120 11.3.16 610
8890 レーサム 7580 11.11.30 16230
1514 住石ホールディングス 41 11.3.15 81
4744 メッツ 333 11.11.22 2319
4813 ACCESS 27600 12.1.16 57900
3266 ファンドクリエーショングルー 6 11.3.15 59
6255 エヌ・ピー・シー 229 12.6.4 382
8848 レオパレス21 67 11.3.15 265
8934 サンフロンティア不動産 6930 11.8.9 17050
3751 日本アジアグループ 1885 12.6.5 4350
4842 USEN 35 11.3.15 74
8515 アイフル 41 10.10.18 161
6264 マルマエ 14000 11.3.18 26660
6625 JALCOホールディングス 35 11.3.15 60
8927 明豊エンタープライズ 43 11.9.28 81
3825 リミックスポイント 7250 12.1.17 17900
8073 MAGねっとホールディングス 49 10.7.21 110
2159 フルスピード 13500 10.10.21 23800
3856 リアルコム 8150 11.11.22 19800
8892 日本エスコン 3350 12.1.16 6770
8894 原弘産 28 11.3.15 56
3782 ディー・ディー・エス 2000 12.6.5 3325

業績的には未だ厳しそうな銘柄もなきにしも非ずです。ただ、株価的には躍動感が出ている例も目につきます。

月足チャートを見ると底這い状態のようですが、日々の値動きはかなりダイナミックな銘柄です。


「まだ底打ち確認できず」銘柄をどう見るか

さらに先読みをするならば、07年以降強烈に売られ、まだ底打ちすら確認されない銘柄が「底打ち→トレンド大反転」銘柄の予備軍だ、という考え方もできなくはありません。

そうした銘柄の例です。

<表3>
コード 銘柄名 安値 安値日付 2012年6月末
9501 東京電力 146 12.5.28 154
7535 グッドマン 247 12.5.17 268
5411 ジェイ エフ イー ホールデ 1163 12.6.4 1318
4043 トクヤマ 169 12.5.29 195
7007 佐世保重工業 82 12.6.18 91
9132 第一中央汽船 79 12.6.4 90
6022 赤阪鐵工所 110 12.5.30 120
8738 ひまわりホールディングス 64 12.6.4 69
7974 任天堂 8570 12.6.12 9250
2121 ミクシィ 132100 12.6.5 137200
3777 TLホールディングス 637 12.6.4 677
8903 サンウッド 36500 12.1.20 40750
8963 インヴィンシブル投資法人 6060 12.1.5 6380
8925 アルデプロ 118 12.3.26 128
6274 新川 346 11.11.24 394
7744 ノーリツ鋼機 341 11.11.10 380
9110 NSユナイテッド海運 99 11.10.5 114
2804 ブルドックソース 143 11.3.15 160
3159 丸善CHIホールディングス 186 11.3.15 201
6023 ダイハツディーゼル 242 10.11.2 275

チャートを見ると、長い下降トレンドが未だに続いていることがありありとわかります。

表3の銘柄の顔ぶれを見ると、もはや投資不適格、と言ってよそうなものもあり、これらが「底打ち→トレンド大反転」の予備軍銘柄だとは、一概には言えそうにありません。ただ、どれもこれも全部ダメかどうかもわかりません。現状は「とても買えない」、むしろ「売り候補になる」と考えたほうがよさそうでも、表1で見た銘柄も、かつてはそういう状況にあったのは事実です。

その意味で言えば、まだ底打ちが確認されない銘柄で「これは見所がありそうだ」と思うものがあれば、その株価動向をウォッチしておくのは悪くありません。トレンドの劇的な大反転というのは、往々にして、ファンダメンタルズ面では何の変化も認識されていないまま始まっているものです。



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