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【値動き分析】買い出動タイミングの狙い処

“順張り型”の値動きと“逆張り型”の値動き

日経平均株価が1万0952円をつけた1月15日以降、為替が円高にふれていることもあり、市場全体に調整ムードが出てきています。果たして、ここが「押し目買いポイント」になるのでしょうか。

押し目買いは、その名が示す通り「上昇基調にある銘柄の株価が押し下がったところで買う」ことですが、株価が下がったら買えばいいのか、というと、そこは微妙です。というのは、当欄でも折りにふれて紹介しているように、「上がった日の翌日も上がりやすい、下がった日の翌日も下がりやすい」という“順張り型”の値動きをする傾向が強い銘柄もあるからです。そうした銘柄は、「下がったら買い」よりも、下押しした後に「上がったら買い」のほうが有効と考えられます。

逆に、「上がった日の翌日は下がりやすい、下がった日の翌日は上がりやすい」という“逆張り型”の値動きをする傾向が強い銘柄もあります。そうした銘柄であれば、下がった日に買ったほうが、より有利に上昇トレンドに乗れる可能性がありそうです。

では、どんな銘柄が“順張り型”で、どんな銘柄が“逆張り型”なのか。そうした値動きの傾向を掲載しているのが、弊社オリジナルのデータ集「【厳選250銘柄】株テクニカル情報」の「値動き分析」欄です。

1月14日に発売した2013年新春号の中から、いくつかの例を紹介しましょう。

この銘柄の場合、過去3か月のデータでは「順張り型の値動き傾向がやや強い」、過去3年では「順張り型の値動き傾向がかなり強い」という結果になっています。

また、225先物の上昇下落に対する値動きの傾向を見ると、過去3か月では「225先物が上がった日の翌日、この銘柄の株価は下がる傾向がやや強い」という、225先物の値上がり・値下がりにはやや逆張り型で動く傾向があることもわかります。

この値動きの傾向を利用したトレードを検証してみました。

オレンジは、「この銘柄の引値が前日比上昇ならばその日の大引けでロング」「引値が前日比下落ならばその日の大引けでショート」という順張り型の想定トレードの累積パフォーマンスの推移です(この銘柄は貸借銘柄ではありませんが、ショート可として検証しています)。やや不安定な推移ではありますが、累積益は09年7月からのデータ検証で500%超という結果になっています。

青は「225先物が前日比上昇ならばこの銘柄を大引けでロング」「225先物が前日比下落ならばこの銘柄を大引けでショート」という225先物に順張り型の想定トレードの検証結果です(225先物の大引け時間のほうが遅いのですが、仮に、この銘柄の大引け時点で225先物の前日比上昇下落がわかったとして、ということで検証しています)。グラフの推移は緩やかながらも右肩下がり。累積益はマイナスです。ということは、やはりこの銘柄の値動きは、225先物の値上がり・値下がりに対して「やや逆張り」と解釈できます。


ボラティリティーの違いで累積益に大きな差が

<図―03>は、順張り型の値動き傾向がある銘柄で「225先物の値上がり・値下がりに対しても順張り型」の銘柄の例です。

<図―02>と同じ想定トレードの累積パフォーマンスの推移です。グラフの推移はいずれも右肩上がりになっています。確かに、この銘柄の値上がり・値下がりに対しても、225先物の値上がり・値下がりに対しても順張り型の値動きをする傾向があると言えます。

ただし、累積益の数字は160%程度と、先ほどのジアースの例よりもかなり低い水準に甘んじています。この銘柄のほうが「値上がりした日の翌日は上がりやすい、値下がりした日のほうが下がりやすい」という順張り型の値動き傾向は強いにも関わらず、パフォーマンス水準が低いのはなぜかというと、その一因はボラティリティーにありそうです。

ジアースのボラティリティー欄を見ると「非常に高い」。つまり、動く値幅が大きいため、順張り型の値動き傾向は「やや強い」程度でも、利益を取るところでガッツリ取る、という格好になりやすいと考えられます。

これに対して、東芝のボラティリティーは「低くはないが、高くもない」です。順張り型の傾向は強いものの、動く値幅がさほど大きくなく、その結果、1トレード当たりの利益はさほど大きくない。となれば、累積益の水準も伸びにくくなります。


ディフェンシブ系に多い“逆張り型”銘柄

今度は、逆張り型の値動きをする傾向がある銘柄の例を見てみましょう。

先に見た2例と同じ想定トレードの検証結果です。この銘柄の値動きは、「値上がりした日の翌日は下がりやすい」「値下がりした日の翌日は上がりやすい」という逆張り型の傾向があります。そのため、順張り型の想定トレードを検証すると、累積パフォーマンスの推移はオレンジのグラフのような右肩下がりを描きます。つまり、この検証と正反対の売買(引値が前日比上昇ならばショート、前日比下落ならばロング)をすれば、グラフも正反対の右肩上がりを描くというわけです。

このような逆張り型の値動きをする銘柄は、食品や医薬品などのディフェンシブ銘柄に多く見られます。


「米国市場が下がったら、買ってみる」の有効例は多数だが…

「値動き分析」欄には、日本時間の早朝に確定する米国市場の株価指数S&P500の値上がり・値下がりに対して、その日のザラ場(寄り→大引け)はどういう値動きをする傾向があるかを示したデータも掲載しています。

順張り傾向が高い銘柄は「アメリカが値上がり(値下がり)すると、寄値よりも引値が上がる(下がる)傾向が強い」。つまり、「アメリカが上がったら、寄付で買う」「アメリカが下がったら、寄付で売る」というトレードで利益が狙いやすい銘柄と捉えられます。

他方、逆張り傾向が強い銘柄は、「アメリカが値上がり(値下がり)すると、寄値よりも引値が安くなる(高くなる)傾向が強い」ということですから、「アメリカが上がったら寄付で売る」「アメリカが下がったら寄付で買う」が有効と見られます。

<図―05>は、「S&P500が値上がりしていたら、寄付でこの銘柄をロング」「S&P500が値下がりしていたら、寄付でこの銘柄をショート」(いずれも大引けで手仕舞い)という、米国市場の値上がり・値下がりに順張り型のトレードを検証してみた結果です。累積パフォーマンスの推移は右肩下がりで累積益はマイナス150%超。ということは、この想定トレードと正反対の「米国市場の値上がり・値下がりに逆張り」売買ならば、グラフは右肩上がり、累積益はプラス150%超となります。

ちなみに、12年終盤辺りから、この順張り売買のパフォーマンスが飛び上がっています。つまり、「米国市場が上がると、この銘柄もザラ場中上がりやすい」「米国市場が下がると、この銘柄もザラ場中下がりやすい」という順張り型の傾向になっているということです。これはおそらく、この銘柄の株価のトレンドが、昨年後半から上昇基調を強めていることと無関係ではないでしょう。

掲載250銘柄の「値動き分析」欄を見ると、S&P500の値上がり・値下がりに対して逆張り型の値動きをする傾向が強い銘柄がいかに多いことか。ただ、この銘柄のように、銘柄自身に強いトレンドが出ると、逆張り傾向が一変することもあります。その点は注意してください。


2つのデータを組み合わせて出動タイミングを考える方法も

ところで、<図―03>で見た東芝は、この銘柄自身の値上がり・値下がりに対しても、225先物の値上がり・値下がりに対しても順張り型の値動きが強い例でした。このような場合には、たとえば「その銘柄自身が値上がりし、かつ、225先物も値上がりならばロング」という策が考えられます。

オレンジは「この銘柄が値上がりならば大引けでロング、値下がりならば大引けでショート」という順張りトレードの累積パフォーマンス、青は「225先物が値上がりならばこの銘柄を大引けでロング、値下がりならば大引けでショート」という225先物に順張りトレードの累積パフォーマンスの推移です。225先物の値上がり・値下がりをシグナルにした売買するとパフォーマンスは高くなりますが、その推移は上下変動が激しく、かなり不安定な感じが否めません。

そこで「225先物の値上がり・値下がりを基本シグナルとしつつも、この銘柄自身の値上がり・値下がりが225先物とは逆だった場合(「225先物は値上がりし、この銘柄は値下がりする」「225先物は値下がりし、この銘柄は値上がりする」)には売買しない」というトレードを検証してみたのが、緑のグラフです。225先物をシグナルにした例よりもパフォーマンス水準は落ちるとはいえ、上下の変動はマイルドになります。これはリスクの低減効果を意味します。また、このように2つのシグナルを組み合わせて使うと、トレード回数が減り、資金効率の向上も期待できます。

もう一つ。225先物に対しては順張り型の値動きをする傾向が強く、S&P500に対しては逆張り型の値動きをする傾向が強い銘柄例です。

オレンジは、「225先物が値上がり(値下がり)ならば、大引けでこの銘柄をロング(ショート)」という順張りトレード、青は「S&P500が値上がり(値下がり)していたら、寄付でこの銘柄をロング(ショート)という、米国市場に順張りのトレードの累積パフォーマンスです。青は右肩下がりですから、これとは反対の売買をすればパフォーマンスは右肩上がりになります。

こうした傾向がある銘柄の場合、たとえば、225先物が値上がりならば大引けでロングし、翌朝、S&P500が値上がりしていたら、寄付で売却(手仕舞い)。S&P500が値下がりしたら、ポジションはホールド。225先物が値下がりならば大引けでショートし、。翌朝、S&P500が値下がりしていたら寄付で買い戻し。S&P500が値上がりした場合には、ポジションはホールド、といったトレードが考えられる、といった具合に、値動きの性格が売買出動や手仕舞いアイディアにつながります。



「【厳選250銘柄】株テクニカル情報」には、ここで紹介した「値動き分析」欄のほかに、株価指数や為替などとその銘柄の相関性を示した「各種指標との相関性」欄や、その銘柄と株価水準・値動きの相関性が高い銘柄をリストアップした「高相関銘柄上位12」欄など、トレードのヒントになるデータが満載です。是非ともご活用ください。



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