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【好調新興株】いかにしてトレンドの波に乗るか

1月の物色対象セクターは「鉄鋼」「医薬品」

表紙ページの冒頭でも紹介したように、12年大納会から2月1日までの各インデックスのデータを見ると、東証マザーズ指数が突出して上昇しています。ちょうど1年前、1月半ばから市場全体の上げモードが鮮明になりましたが、そのときマザーズ指数は一人負け状態。同時期のパフォーマンスはマイナスでした。どうやら現在進行形の上げ相場は、昨年1月からの上昇とは様相は異なるようです。

この1か月の動向をセクター別に見てみましょう。

表1:セクター別パフォーマンス
東証33業種 騰落率
鉄鋼 16.08
医薬品 15.22
鉱業 14.23
海運業 12.92
輸送用機器 12.83
銀行業 11.73
サービス業 11.28
食料品 11.07
情報・通信業 10.25
卸売業 10.21
小売業 9.92
機械 9.91
金属製品 9.62
保険業 9.42
ゴム製品 9.33
陸運業 9.01
石油・石炭製品 8.82
倉庫・運輸関連業 8.77
精密機器 8.62
非鉄金属 8.10
化学 7.91
証券・商品先物取引業 7.14
電気機器 6.08
その他製品 5.24
建設業 3.23
不動産業 2.98
水産・農林業 2.95
繊維製品 2.90
その他金融業 2.81
パルプ・紙 1.13
空運業 0.63
ガラス・土石製品 0.30
電気・ガス業 -1.77

東証の33業種別指数です。最もパフォーマンスがよかったのは鉄鋼。次いで医薬品でした。医薬品セクターの銘柄には、日経平均やマザーズ指数に寄与度が高いものがあることから、それらが指数を押し上げた模様です。

ちなみに、当欄で以前紹介したように、昨年11月、12月の上昇局面では、証券やその他金融、不動産といったセクターが非常に強かったのですが、これらの先発組は、この1月は一休み状態でした。

今度は、個別銘柄を見てみます。

表2:上昇銘柄TOP50 (1月4日・寄値→2月1日・引値)
コード 銘柄名 業種 騰落率 250掲載
8912 エリアクエスト 不動産業 352.3  
7707 プレシジョン・システム・サイ 精密機器 272.5  
2397 DNAチップ研究所 サービス業 256.5  
4571 ナノキャリア 医薬品 192.8 *
3629 クロス・マーケティング 情報・通信 141.0  
3744 サイオステクノロジー 情報・通信 134.6  
7824 オプトロム その他製品 133.3  
2931 ユ−グレナ 食料品 131.7  
2757 オストジャパングループ 小売業 127.3  
6722 エイアンドティー 電気機器 126.8  
3827 ジャパンインベスト・グループ 情報・通信 121.9  
3325 ケンコーコム 小売業 113.8  
4572 カルナバイオサイエンス 医薬品 105.9  
4579 ラクオリア創薬 医薬品 104.5  
2721 ジェイホールディングス 卸売業 103.4  
2764 ひらまつ 小売業 97.7  
3251 駐車場綜合研究所 不動産業 95.5  
3750 セブンシーズホールディングス 情報・通信 93.8  
2370 メディネット サービス業 90.1  
7774 ジャパン・ティッシュ・エンジ 精密機器 88.2  
8998 SBIライフリビング 不動産業 88.0  
2342 トランスジェニック サービス業 86.1  
4585 UMNファ−マ 医薬品 83.2  
7647 音通 小売業 82.4  
4404 ミヨシ油脂 食料品 81.0  
9704 アゴーラ・ホスピタリティー・ サービス業 81.0  
9385 ショーエイコーポレーション 倉庫・運輸関連業 81.0  
8885 ラ・アトレ 不動産業 80.5  
1407 ウエストホールディングス 建設業 79.8  
3260 エスポア 不動産業 78.4  
7833 アイフィスジャパン その他製品 77.1  
4573 アールテック・ウエノ 医薬品 74.5  
8892 日本エスコン 不動産業 73.4  
9698 クレオ 情報・通信 73.0  
2479 ジェイテック サービス業 71.8  
2180 サニーサイドアップ サービス業 71.2  
4582 シンバイオ製薬 医薬品 71.1  
4974 タカラバイオ 化学 70.8 *
3741 セック 情報・通信 70.4  
4583 カイオム・バイオサイエンス 医薬品 70.2 *
3782 ディー・ディー・エス 情報・通信 69.6  
8738 ひまわりホールディングス 証券業 69.1  
3765 ガンホー・オンライン・エンタ 情報・通信 67.2 *
6072 地盤ネット サービス業 67.1  
2190 JCLバイオアッセイ サービス業 65.7  
1724 シンクレイヤ 建設業 65.2  
3386 コスモ・バイオ 卸売業 65.2  
8260 井筒屋 小売業 65.1  
2122 インタースペース サービス業 64.5  

とにかく目立つのが、マザーズ上場のバイオ関連銘柄でしょう。これらの銘柄の事業が、実際にiPS細胞に関係してくるのか定かではないとしても、現状、市場の関心を集める対象になっていることは間違いありません。


225先物をシグナルに新興株を売買する手もアリ!

新興株の魅力といえば、ひとつはボラティリティーの大きさ、値動きのよさにあります。取引が集まってくると、極めて短期間のうちに爆上げする例も珍しくありません。

ただし、逆のことが起きたときも早く、まさに“戻り待ちに戻りなし”の下げ方で、悪くすれば、買値の100分の1、あるいはそれ以下にも平気でなってしまいます。

そうした可能性がある新興株のトレンドの波にうまく乗る方策は何かないでしょうか。

まず、マザーズ指数を調べてみました。

図1は、それぞれをシグナルにした順張り売買を検証した結果です。たとえば、オレンジは「マザーズ指数の引値が前日比上昇ならば大引けにマザーズ指数をロング、前日比下落ならば大引けでマザーズ指数をショート」という想定売買の累積パフォーマンスの推移を表しています(マザーズ指数そのものを売買することはできませんが、値動きの性格を捉えるために、それが可能だとして検証しています)。グラフが右肩上がりを描いているということは、マザーズ指数の値動きは、「上がった日の翌日も上がりやすい」「下がった日の翌日も下がりやすい」という傾向が強いことを意味します。マザーズ指数に限らず、東証2部指数やジャスダック指数の値動きにも、同様の傾向が確認されます。

青は「日経平均先物が前日比上昇(下落)ならば、マザーズ指数をロング(ショート)」という、日経平均先物の値動きをシグナルにした順張り売買の検証結果です。、パフォーマンスの水準は落ちますが、推移は右肩上がり。つまり、マザーズ指数は「日経平均先物が値上がりすると、翌日上がりやすい」「日経平均先物が値下がりすると、翌日下がりやすい」傾向もあるということです。

注目したいのは、日経平均先物の移動平均をシグナルにした順張り売買もまたパフォーマンスが右肩上がりを描いている点です。赤のグラフは、「日経平均先物が、(日経平均先物自身の)100日移動平均よりも上(下)にあるときには、マザーズ指数をロング(ショート)」という順張り売買の結果を示しています。とくに09年以降、累積パフォーマンスは、推移が安定的です。

先物の100日移動平均をシグナルにした順張り売買のパフォーマンスが右肩上がりを描くというのは、「マザーズ指数は、日経平均先物の値動きよりも50日程度遅れて動く傾向がある」と解釈することができます。ただ、時として、日経平均と新興市場の株価指数の値動きの乖離が激しくなることがあります。2006年から2007年半ばにかけての局面がそうでした。その局面では、100日移動平均という長期のシグナルは逆効果になってしまう可能性があります。

図1の□で囲んである部分がそれに当たります。

「崩れはじめると早い。しかも派手」という新興株の性格からすると、もっと短い移動平均を使うほうが安全策かもしれません。たとえば、図1の緑は先物の10日移動平均をシグナルにした順張り売買ですが、なかなかの結果を出しています。マザーズ指数自身の上げ下げをシグナルにした場合よりもパフォーマンスの水準は低くなっていますが、シグナルの発生回数が少ないため、1トレードあたりの売買益は伸びます。


個別銘柄にみる「先物移動平均シグナル」の例

マザーズ指数そのものを売買することはできないので、その代替物で売買検証をしてみました。

マザーズ・コア上場投信の売買検証結果です。このETF自身の前日比上昇・下落をシグナルにした順張り売買は、見ての通り、パフォーマンスは右肩下がりになってしまっています。対して、先物10日移動平均をシグナルにしたケースは、やや伸び悩み感はありますが、マザーズ指数をシグナルにした場合よりも良好な結果になっています。

ジャスダック銘柄を対象にしたETFについても同じように検証してみました。

先物10日移動平均だけをシグナルにするには不安がありますが、複数のシグナルを使う中の1つとして位置づけるには有力な候補になりそうです。なお、これら2つのETFは、このところ売買高も回復してきてはいますが、買い板と売り板が離れていることもあるので、成行注文は慎重にしたいところです。

ETF以外の個別銘柄ではどうでしょうか。マザーズ上場銘柄からいくつかピックアップしてみました。非貸借銘柄は「買いシグナルが出たらロング」のみの検証です。

マザーズ市場の時価総額トップに躍進している銘柄です。マザーズ・コア銘柄でもあります。この銘柄の場合、先物の移動平均よりも、マザーズ指数や日経平均先物が「値上がりした、値下がりした」という単純なシグナルのほうがよい、という結果です。

かつて時価総額トップだった銘柄で、現在は2位です(マザーズ・コア銘柄)。この銘柄は、先物の10日移動平均が奏功しています。

話題のバイオ関連、時価総額3位の銘柄です(マザーズ・コア銘柄ではない)。とくに株価が爆騰する局面で順張り買いが大きくパフォーマンスを伸ばしていることがわかります。

昨年7月から堅調な上昇トレンドを描いている銘柄です。そのトレンドを反映して、いずれのシグナルの順張り買いもパフォーマンスは右肩上がりを描いていますが、先物10日移動平均が最も良好という結果となっています。

この銘柄はマザーズ指数の上げ下げのシグナルが効きそうです。


新興株はリターンが期待できる分、リスクも高いです。1月の実績で言うと、例えばナノキャリア(4571)のボラティリティーは年率換算で約200%近くありました。動きがおとなしかった吉野屋HD(9861)は4%ちょっとでしたので、ナノキャリアは吉野家の50倍近い激しい値動きであった、ということになります。




1月14日に発売した『<厳選250銘柄>株テクニカル情報2013年新春号』では、マザーズ指数との相関性や、日経平均先物の上げ下げに対する順張り・逆張り度なども掲載しています。表2のリストの中の「250銘柄」 に「*」と記載されてある銘柄は、今回の新春号に収録されています。注目している銘柄の攻略に、是非ともご活用ください!



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