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【優待銘柄】新指標?「アノマリー度」に要注目!

トレード期間「やや長め」も検討の余地アリ

2010年4月の高値1万1408円をクリアしてから足踏み状態となっている日経平均株価ですが、ここから崩れるような雰囲気でもありません。市場全体の状況は、ひと頃に比べれば、明らかによくなっているのは確かでしょう。

とはいえ、場中、先物やドルの動向如何で個別銘柄がドカドカ売り買いされる光景は相変わらず、の感が否めません。実際、日銀が1月28日に出した論文「株式市場における高速・高頻度取引の影響」によると、アローヘッド導入以降、東証のコロケーション・サービスを利用したアルゴリズム取引や高速・高頻度取引の取引高は拡大の一途を辿っています。おそらく現状、高速・高頻度取引の全取引高に占める割合は、3割以上になっているのではないでしょうか。

こうした高速取引は、普通の個人にはできません。となれば、これに対抗しようと画策するよりも、全く別のやり方を考えるほうが得策ではないかと思います。たとえば、トレード期間が月単位のような、期間設定が少し長めの売買であれば、高速の人たちの動向はさほど気にする必要もないでしょう。

では、どういう視点で月単位のトレードを考えればいいのかというと、その具体例のひとつが、何度か当欄でも紹介してきた「優待アノマリー」に着目した売買です。


3月権利確定銘柄はもはや「やめるのが無難」

3月といえば、優待の権利確定月の銘柄が多い月。それらのアノマリーを調べてみると、「これから参戦するのはやめたほうがよさそう」との結果が出てきました。

グラフ1は、大戸屋(2705)について、「3月初営業日に買い、4月初営業日に売る」という期間1か月限定のトレードを検証した結果です。08年から12年までの5年間の検証ですが、累積損益は着実にマイナスを続けています。この銘柄にとって3月は「下がりやすい月」というわけです。

同じような傾向は、他の外食系にも見られます。

3月が権利確定月となっている539銘柄の約半数は、この売買の累積益がマイナスです。11年3月の大震災の影響もあると考えられますが、日経平均株価の08年〜12年までのデータで同様の売買を検証してみると、累積で17.5%の上昇となっています。

11年はマイナスではあるものの、その他は堅調です。つまり、市場全体としては、3月は「上がりやすい月」と言えます。優待銘柄はその恩恵がどうやら薄いようです。ですから、もし、純粋に優待の権利を取るつもりでこれから買うのであれば、ヘッジ付きロングを検討することをお勧めします。


6月権利確定銘柄を3か月まったりロングする策

これから売買する候補銘柄を探すなら、6月権利確定銘柄に注目してみてはどうでしょうか。

表1:6月アノマリー度ランキング50銘柄 (2月22日)
No. コード 銘柄名 業種 株主優待
権利日
一単元
の金額
決算 信用 累積益 アノマリー度
1 3097 物語コーポレーション 小売業 6月末日
12月末日
208300 6月末日 貸借 133 **********
2 2762 三光マーケティングフーズ 小売業 6月末日
12月末日
88800 6月末日 信用 104 ********
3 9439 エム・エイチ・グループ サービス業 6月末日
12月末日
23340 6月末日 貸借
(申込停止)
178 ********
4 2268 B−R サーティワン ア 食料品 12月末日
6月末日
320000 12月末日 信用 63 ********
5 7585 かんなん丸 小売業 6月末日
12月末日
116900 6月末日 信用 61 ******
6 3053 ペッパーフードサービス 卸売業 12月末日
6月末日
56700 12月末日 信用 91 ******
7 1718 美樹工業 建設業 12月末日
6月末日
230000 12月末日 信用 94 ******
8 4284 ソルクシーズ 情報・通信 12月末日
6月末日
35000 12月末日 信用 61 ******
9 9942 ジョイフル 小売業 12月末日
6月末日
76500 12月末日 45 ******
10 2385 総医研ホールディングス サービス業 6月末日 19450 6月末日 信用 195 *****
11 6328 荏原実業 機械 12月末日
6月末日
121800 12月末日 貸借 74 *****
12 3091 ブロンコビリー 小売業 12月末日
6月末日
213000 12月末日 信用 53 *****
13 2700 木徳神糧 卸売業 12月末日
6月末日
453000 12月末日 信用 79 *****
14 9966 藤久 小売業 6月末日
12月末日
131100 6月末日 信用 39 *****
15 2752 フジオフードシステム 小売業 12月末日
6月末日
215200 12月末日 信用 59 *****
16 4784 GMOアドパートナーズ サービス業 12月末日
6月末日
67300 12月末日 信用 134 *****
17 8928 穴吹興産 不動産業 6月末日 311000 6月末日 貸借 99 *****
18 2772 ゲンキー 小売業 6月20日
12月20日
189500 6月20日 貸借 97 ****
19 2702 日本マクドナルドホールデ 小売業 12月末日
6月末日
228500 12月末日 信用 35 ****
20 4847 インテリジェント ウェイ 情報・通信 6月末日 17300 6月末日 貸借 94 ****
21 8929 青山財産ネットワークス 不動産業 6月末日 22720 12月末日 信用 127 ****
22 3788 GMOクラウド 情報・通信 12月末日
6月末日
69700 12月末日 貸借 120 ****
23 9631 東急レクリエーション サービス業 12月末日
6月末日
458000 12月末日 信用 28 ****
24 5959 岡部 金属製品 12月末日
6月末日
56200 12月末日 貸借 74 ****
25 3326 ランシステム 小売業 6月末日 53300 6月末日 信用 93 ****
26 2369 メディビックグループ サービス業 12月末日
6月末日
9600 12月末日 143 ****
27 9441 ベルパーク 情報・通信 12月末日
6月末日
180200 12月末日 貸借 85 ****
28 7963 興研 その他製品 6月末日 89100 12月末日 信用 59 ****
29 3950 ザ・パック パルプ・紙 12月末日
6月末日
144800 12月末日 貸借 59 ***
30 9173 東海汽船 海運業 12月末日
6月末日
158000 12月末日 信用 36 ***
31 6504 富士電機 電気機器 6月末日 211000 3月末日 貸借 92 ***
32 2573 北海道コカ・コーラボトリ 食料品 12月末日
6月末日
397000 12月末日 信用 25 ***
33 7962 キングジム その他製品 6月20日 63500 6月20日 貸借 44 ***
34 7625 グローバルダイニング 小売業 12月末日
6月末日
13100 12月末日 貸借 75 ***
35 9656 グリーンランドリゾート サービス業 12月末日
6月末日
29600 12月末日 貸借 34 ***
36 2226 フレンテ 食料品 6月末日
12月末日
196500 6月末日 貸借 33 ***
37 3633 paperboy&co. 情報・通信 12月末日
6月末日
333000 12月末日 信用 41 ***
38 2466 PGMホールディングス サービス業 12月末日
6月末日
69300 12月末日 信用 51 **
39 2418 ベストブライダル サービス業 12月末日
6月末日
78900 12月末日 信用 55 **
40 4221 大倉工業 化学 12月末日
6月末日
267000 12月末日 貸借 46 **
41 6866 HIOKI 電気機器 6月末日 137100 12月末日 信用 34 **
42 8179 ロイヤルホールディングス 小売業 12月末日
6月末日
99800 12月末日 貸借 21 **
43 9973 小僧寿し 小売業 12月末日
6月末日
25900 12月末日 信用 57 **
44 2579 コカ・コーラウエスト 食料品 12月末日
6月末日
133300 12月末日 貸借 24 **
45 8011 三陽商会 繊維製品 12月末日
6月末日
230000 12月末日 貸借 27 *
46 9449 GMOインターネット 情報・通信 12月末日
6月末日
55800 12月末日 貸借 37 *
47 4772 デジタルアドベンチャー 情報・通信 12月末日
6月末日
39000 12月末日 信用 46 *
48 5819 カナレ電気 非鉄金属 12月末日
6月末日
128800 12月末日 信用 13 *
49 2305 スタジオアリス サービス業 6月末日 124100 12月末日 貸借 17 *
50 4985 アース製薬 化学 12月末日
6月末日
289800 12月末日 信用 7 *

累積益は日々の上昇下落率合計で計算しています。単位は%です。

表1は、6月に優待の権利が確定する銘柄について、特定の月に「上がりやすい」「下がりやすい」という傾向が偏っているかどうかを指数化した結果をまとめています。上位にある銘柄ほど、特定の月に「上がりやすい」「下がりやすい」傾向が強い銘柄です。それが優待の影響なのかは定かではないとしても、アノマリーで動く度合いが強い銘柄と捉えて差し支えありません。

このうち、物語コーポレーション(3097)、三光マーケティング(2762)、ジョイフル(9942)、日本マクドナルド(2702)の“肉系”優待銘柄に関しては、以前「3月初営業日に買い、6月初営業日に売り」という3か月トレードを紹介しました。このランキングに入っているその他の銘柄の中にも、同様のトレードが奏功しそうな例が少なくありません。ちなみに、表中の「累積益」欄の数字は、この3か月トレードの過去5年間の検証結果です。

日経平均株価について同じ3か月トレードを検証してみたところ、累積損益は14.9%の上昇でした。ただ、ここ3年は下落しています。

これに対して、6月権利確定銘柄の3か月トレードの累積益は平均55%。かなり見所のある数字ではないでしょうか。

なお、この3か月トレードの累積益が高い銘柄の中には、ある年だけ激しく上昇したために数字が高くなっているケースもあります。実際にトレード対象とするときには、月足チャートで毎年の3月〜6月までの値動きの傾向を確認してください。



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