(本稿は、2008年12月13日時点でのデータを元に作成されています。)
まず、いつもの本欄とは様相が異なってしまいますが、日経平均株価について、その中身を把握するところから始めましょう。なお、「日経」平均株価と言われているように、著作権は日本経済新聞社に属します。
よく知られている通り、日経平均株価は225銘柄を対象に算出されています。その算出方法ですが、「225銘柄の株価合計÷225」ではなく、「225銘柄の株価合計÷『除数』」です。この除数とは、銘柄入れ替えなどがあった際に、指数としての連続性が保てるよう調整を行うための数値で、現在は24・687となっています。
また、合計株価の元になる個別株の株価は、その時々の取引値を「見なし額面」で調整しています。見なし額面は、かつての額面(01年10月施行の改正商法により廃止)をもとに、各銘柄1株の額面を「見なし」で決めている数値です。旧50円額面を基本として、たとえば旧5万円額面の銘柄は、株価を「50円÷5万円=0・001」倍します。
株価水準に大きく影響する株式分割(あるいは併合)があった場合にも見なし額面は変更されます。現在、50円額面でない銘柄は30あり、見なし額面から計算した個別の株価に掛ける「掛け目」は表1のようになっています。この30銘柄以外は、取引値をそのまま指数算出に用います。
表1に従って、12月12日の終値で日経平均株価を計算してみると、表2のように「8235・8650」となりました(公表の日経平均株価は8235・87)。このように、株価データさえあれば日経平均株価は自分で簡単に計算できます(採用銘柄や除数、見なし額面は変更があるので、最新のデータは日経新聞社のサイトで確認してください)。
最新版の「日経平均株価の計算」はこちら。
ところで、日経平均株価の計算式を見て、「株価が高い銘柄ほど、日経平均株価に与える影響が大きいのではないか」と直感された方もいるのではないでしょうか。そこで、12月12日時点の見なし額面を考慮した株価(株価×掛け目)の上位25銘柄を並べてみました(表3)。
ご存知の方も多いと思いますが、トップはファーストリテイリングです。表3のCDに平均株価に占める金額および割合を示していますが、「ユニクロ」だけで平均株価の約6%を占めています。また、IT相場華やかなりし頃は「ソフトバンクで日経平均が動く」などとも言われましたが、当時より株価がだいぶ下がった今日においてもなお、影響度の大きい銘柄といえます。
表3のEは、Dを順に足していった累積の割合で、この25銘柄の合計で平均株価の47%を占めます。調べてみると、平均株価の50%は上位30銘柄、平均株価の75%は上位77銘柄ほどで成り立っています。上位125銘柄で平均株価の88%になり、残り100銘柄は平均株価の12%分。計算当日の終値でいうと、(見なし額面考慮の株価が)420円前後です。つまり、株価が400円を下回る銘柄は、日経平均採用銘柄といっても、平均株価に与えるインパクトは非常に弱いということです。
では、リストの下位のほうはどうなっているのでしょうか(表4)。
見なし額面を考慮した株価では、ヤフーは100円台。双日は見なし額面が500円であるため、計算に用いられる株価は取引値の10分の1となり、平均株価に占める金額は0・6円となります。
リストの上位と下位を見ると、日経平均株価は。株価の高い少数銘柄で説明可能であることがわかります。つまり、日経平均株価の動きを追うなら、株価の高い銘柄の動きを追うのがよいことになります。