ネット証券で制度信用取引をすると、直接的には証券会社がお金や株券を貸してくれます。その証券会社は日証金などの証券金融会社から顧客に貸すお金や株券を借りることができます。
この貸し借りの仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。
ある銘柄について信用買いしている人と、信用売りしている人がいるとします。信用買いをしている人は「株を買った」わけですから、本来ならば株券を受け取れるはずですが、この時点では信用買いをした人に株券は渡りません。
一方、信用売りをしている人は「株を売った」のですから、本来ならば、その売却代金を受け取ることができるはずです。ところが、この時点では売却代金は受け取れません。
では、信用買いした人の株券、信用売りした人の売却代金はどういう扱いになっているのでしょうか。
じつは、証券会社内において、ある銘柄を信用買いした人は、同じ銘柄を信用売りした人に「本来受け取るべき株券」を貸しているような図式になっています。
同様に、その銘柄を信用売りした人は、同じ銘柄を信用買いした人に「本来受け取るべき売却代金」を貸しているような格好です。
この仕組みによって、同じ証券会社で同じ銘柄を信用買いしている人が借りるお金と信用売りをしている人が借りる株券は、ここである程度相殺できます。これを「店内食い合い」と言います。
この店内食い合いで相殺されなかったお金または株券については、証券会社自らが賄えるならばそれを貸し、賄えないときには、証券金融会社から借りて、それを顧客に貸す形になります。