制度信用取引の話が長くなりましたが、もうひとつの信用取引の形態、「一般信用取引」は、先ほどもふれたように、返済期限など取引のルールについて取引所は関与せず、証券会社が顧客との間で独自に決めることができます。
制度信用取引との最大の違いは、証券会社が証券金融会社からお金や株券を借りることができない点です。そのため、一般信用取引では、「信用買いはできるけれども、信用売りはできない」という証券会社が多くを占めています。というのは、証券会社が信用買いする人に貸すお金は調達できても、信用売りをする人に貸す株券を独自に調達するのは容易ではないからです。
とはいえ、まだ数は少ないのですが、松井証券など、一般信用取引で「買い」「売り」ともにできるネット証券もあります。
一般信用取引での信用売りは、証券金融会社からは株券を借りませんから品貸料(逆日歩)はかかりません。この点は、一般信用取引の利点のひとつといえるでしょう。
また、信用買いに関しては、取引対象が「上場全銘柄」となっています。制度信用取引では、東証1部上場銘柄はほとんどが対象銘柄になっているものの、新興市場の銘柄などは対象になっていないものも少なくありません。そうした銘柄も、一般信用取引を利用すれば信用買いをすることができます。
さらに、制度信用取引では「6ヶ月以内に決済する」という期限が決められていますが、一般信用取引の場合、期限を設けず「無期限」としているネット証券が数多くあります。期限を気にせず売買したい人にとっては、これもメリットといえます。
ただし、一般信用取引の買い方金利や貸し株料は、制度信用よりも高く設定してあるケースがほとんどです。決済するまでの期間が長くなればなるほど、それだけコストもかさんでいきます。その点には十分注意してください。