最初に「信用取引の委託保証金の最低必要額は、約定代金の30%程度」と述べましたが、この基準はあくまでも新規で信用買い・信用売りする時点のものです。この基準は「委託保証金率」と呼ばれます。
新規で信用買い・信用売りすることは「新規建て」と言いますが、新規建てした後、その株を決済せずに持ち続けるためには、「委託保証金維持率」という、また別の基準を満たさなければなりません。
新規建てして持ち続けている株は「建て玉」と呼ばれます。建て玉は、株価が上下する中で評価益が出たり、評価損が出たりしますが、保有している建て玉の合計の評価損益がマイナス、つまり評価損状態になると、その評価損額は委託保証金から差し引かれてしまいます。たとえば、委託保証金を50万円入れていたとしても、建て玉に10万円の評価損が出れば、委託保証金額は40万円とカウントされるのです。
また、委託保証金の中に現物株がある場合、その現物株の値下がりも委託保証金の額を下げることになります。
最初の部分でふれたように、現物株はその時価の80%が委託保証金としての評価額になります。たとえば、時価1000円の株を200株委託保証金にしたとすると、その時価の80%にあたる16万円が委託保証金の評価額になりますが、株価が値下がりして800円になれば、委託保証金の評価額は「800円×200株×80%」の12万8000円に減ってしまいます。