知っておいて損はない!【信用取引と信用残高の仕組み】index

「信用残高」という超重要なデータback

ここまで見てきたように、信用取引には現物取引とは異なる取引上の基準やルールがあります、

たとえば、お金や株券を借りて売買するため、委託保証金という担保を差し入れなければならない点。そして、借りたお金や株券は必ず返済しなければならない点です。制度信用取引ならばその期限は6ヶ月。期限のない一般信用取引(無期限信用取引)であっても、いずれは返済しなければならないことには変わりありません。返済せずに建て玉を持ち続けていたとしても、評価損が膨らめば追証がかかり、否応なくも返済しなければならない事態も起こります。

これらは、信用取引で建て玉を持っている人の投資行動に、いわば制約を与えるものともいえます。

先にもふれたとおり、信用取引の決済方法としては「現引き」や「現渡し」という現物決済もありますが、多くは反対売買です。

そうすると、信用買いの建て玉を持っている人の多くは「いずれは必ず売らなければならない」という株を持っていることになります。信用売りの建て玉を持っている人なら、その多くは「いずれは買い戻さなければならない」株だということです。

しかも、制度信用取引であれば、その「いずれ」は6ヶ月以内と決まっています。また、一般信用取引も含め、相場が急変動したときには「必ず売らなければならない」「必ず買わなければならない」株が大量に動くというよりも、動かざるをえなくなる可能性も十分に考えられます。

これから株価が上がるのか、下がるのかは、その銘柄をこれから買いたい人や売りたい人がどのくらいいるのかという、先行きの需給によって決まります。これを事前に知ることは到底できませんが、信用取引で売買されて未決済状態にある株数(あるいはその金額)は、その先行きの需給の一端を示しているのです。

信用買いの増加は「これからの売り圧力」が増していることを、信用売りの増加は「これからの買い(戻し)圧力」が増していることを示唆します。それが全体の需給の一部だとしても、これは「将来の動き」を予測するうえでは極めて重要な数字です。

信用取引で売買されて未決済状態にある株数(あるいは金額)は「信用取引残高」と呼ばれ、そのデータは定期的に公表されています。誰でも入手できる信用残高という超重要データ、これは信用取引をする、しないに関わらず、ぜひとも注目したいところです。

取引所が公表する「信用取引残高」next


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