(1)目標の元利合計額に到達する年数を求めるには
複利運用できる金融商品があるとき、まず考えるのは「この金利で満期まで運用したら、元利合計額はいくらになるか」ではないかと思います。
年1回複利の場合なら、元本をP0、金利をrとすると、T年後の元利合計額Pは、
で計算できます。
この計算は、元本と運用金利、そして年数が予めわかっていて、そこから元利合計額を求めているわけですが、金融商品を選ぶときには「いまある元本を○年後にいくらに増やしたい。それには年何%あればいいのか」と考えるケースもあるでしょう。つまり、元本と元利合計の目標額、そして運用年数が決まっていて、それを実現するのに必要な金利を求めたい、というケースです。
この場合は、先ほどの「元利合計額P=」の式を「金利r=」という形に変形すれば出てきます。すなわち、
となります。
※「T乗根」がなぜ「T分の1乗」に??? という方は、「0.5乗」とは一体どういう意味なのか、を見て下さい。
さらに、こんなふうに考えることもあると思います。
「この金利で複利運用した場合、元利合計が目標額に到達するまでに何年かかるのか」。
つまり、元本と運用金利、そして目標の元利合計額が最初に決まっていて、それを実現するのに必要な年数を求めたいケースです。
これは、「1+金利r」をT乗する場合の指数部分「T」を求めるということです。どうやって求めればいいのかというと、こうしたときに登場するのが、高校の数Uで習った対数、あの「log」なるものです。
たとえば、「2をn乗すると8になる」という式は「2n=8」です。これを「2を8にならしめるのは、nという指数である」というふうに、n乗の「n」を表現するときには「n=log 2 8」とします。
この場合、nは3です。
※「対数」なるものとはどんなものだったかな?、という方は、logとは何を表現するものなのか、をご覧下さい。
これと同じようにすれば「年数T」が表現できます。
ここで、T乗する「1+金利r」を「R」という1文字にしてしまいます。金利が4%、つまりrが0.04ならば、Rは1.04。といった具合に、金利rが予め決まっていれば自動的にRも決まりますから、問題はありません。
元本をP0、目標の元利合計額をPとすると、年数Tは、
という式で求められます。
たとえば、元本100万円は金利4%で何年複利運用すると130万円になるのか、という場合ならば、
です。
この log 1.041.3 という式ですが、底の1.04も真数1.3も予め決まっている数なので、この式の値はもはや特定されます。
ですから、「金利4%の複利運用で元本100万円が元利合計130万円になるのは何年後か」という問題を出されたときに、「log 1.041.3 年です」と答えても間違いではありません。
これは、「金利4%で年1回複利運用したら、元本100万円は5年後にいくらになるか」という問題に対して、「1.045×100万円です」と答えるのと同じようなことです。
とはいえ、「必要な年数は『log 1.041.3』年だ」などと言われても、具体的に何年なのか、これではイメージすらできません。
この式の値が普段使っている数値にすると何年になるのかは、関数電卓や『Excel』で計算することができます。
具体的な年数は6.7年です。
※具体的な計算方法を知っておきたいという方は、「log1.041.3」年とは、具体的に何年なのか、をご覧下さい。
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